宇気比
「ボク、魔法が使えるように――」
「魔法? もっと禍々しい、まさに破壊だよ。四ツ目と同じだ。なあ、四ツ目、お前は嬉しいか?」
「ああ、嬉しいよ」
ナタを構えるのを止めた四ツ目は今までに目にした事がないくらいに、爽やかな笑顔を浮かべていた。
「生きていて良かったと思えるくらいには」
「……気狂いが」
罵られてもなお、奇妙な色の瞳を細め――血みどろのナタをキケンへ向けた。
「今ならお前を真っ二つにできる気がする」
「や、やめて! 人殺しになっちゃうわっ! そ、それにソイツ、未来の私らしいじゃない!」
ケイテキが慌てて止めに入る。「え、キケンさんってケイテキちゃんの」
「だから私の名前はケイテキじゃないわよ!」
「そうなんだ」
ユニコーンの角はまだ存在している。少しだけ安心して、そうして凶器の刃先がか弱い少女に移ったのに気づいた。
あの四ツ目は躊躇なくケイテキを切り裂くに違いない。根拠はないが、理解している。
「俺はこの現状を壊すヤツを許さない。例え人間だとしてもな」
「殺人罪よ! いや、脅迫罪っ、わ、私は好き好んでこの世界に放り込まれた訳じゃないし!! 第一、不可思議な出来事なんて大嫌いなのよ! なんなのよっ」
「ほう、ならば未来を変えてみせよ。ケイテキとやら」
サルタビコもクツクツとわらい、四ツ目の肩にスタリと飛び乗った。
「ま、まつんだ、」
「良いわ! ――未来を変えてみせる!」
「ようく言った」




