在りし日
左江内 光眼は定番の、暇で授業を抜け出し、ベタに屋上で寝転がりながら空を見ていた。
白と灰色の雲。
ボンヤリと眺め、流れていくのをずーっと傍受していると眠くなってくる。
「うわ、汚い。制服が汚れるとか思わないの」
いきなり声をかけられ、光眼は我に返り顔を横に向けた。
「ひどい顔。間抜けな顔」
「誰? どこのクラスのひと?」
「私? 四組よ」
「ふーん。てーかサボってるんだ、いけないんだー」
すると脇腹を蹴られ、咳き込む。見下ろしてきたのはたまに見かける女子生徒だった。
「私は廊下に立ってなさいと言われたから、ここに来ただけよ。貴方みたいに無断で消えたりしてない」
ジャージには変わった名前が刺繍されている。
「けいてき……? けいてきさん? ボクは光眼、よろしく」
「……。それでいいわ。もう」
ケイテキという女子生徒はサラサラの長髪を揺らし、隣りに座る。
「ケイテキちゃんはどうして廊下に立ったの? まさか百日以上教科書忘れたの?」
「はあ? それくらいで廊下に立つ訳ないでしょ。クラスメイトを殴ったからよ」
何とも喧嘩っ早い人だ。冷静そうな顔つきに反して。
「ふ~ん……」
「何その反応。ムカつく」
「ケイテキちゃん、いつか警察に捕まえられちゃうね。いいなぁ、パトカー乗れて」
「殴るわよ」
目を覚ました。昔、いや、この世界に来る前の記憶を見ていた。
「ケイテキちゃん……か」
あの女子生徒は今も人間でいるのだろうか。それともこちらに来ていないのかもしれない。
「生きてればいいな」




