妖精 現る
ファンタジーな世界には妖精がいるという。
妖精は美しくイタズラ好きで、子供をあちらの世界へ連れて行ったり、楽しそうなイメージがある。
左江内 光眼も妖精と会うために、良く森に出かけたが……おばあちゃんに見つかってお説教をされたものだ。
この世には妖精はいない。
いたのなら、光眼は既にあちら側に連れて行かれてしまっておばあちゃん家にはいないんだから!
と、ビンタされた。
光眼はおばあちゃんっ子だったが、その時だけは妖精の国へ連れて行かれてしまえばよかったと後悔したものだ。
「あアアアあぁあぁあぁあぁあぁ!! いやあああああ!!」
今、妖精が窓際で絶叫している。
妖精というよりは近隣に住む奥さんだった。もはや人間だった頃の意識はないのか、断末魔だけを発し、光眼を見ている。
苦悶の表情と妖精の象徴たる翅。
「妖精って大人もなるんだ! ボクもなれるかな? いいなーっ、妖精さーん!」
呑気に手をふると彼女は一瞬、ハ? という顔になり違う場所へ飛んでいってしまった。
「妖精さーん! あっちの世界に連れてってくれないの?!」
「お前さあ、頭が幼稚園で止まってんの?」
「うわ、いつからいたの?」
四ツ目がドアによりかかり、呆れた様子でこちらを見ていた。
「お前が妖精とかいうのと鉢合わせしてから」
「妖精でしょアレ」
「ババアだろ」
「妖精だよッ!」




