猿芽という少女
外は大荒れで、ビームの被害が酷かったのが丸分かりだ。
(やべー。目を描くだけでこの有り様……すごいマジカルな世界……)
焦燥とワクワクを同居させながらも、左江内 光眼は夜の街を久しぶりに歩く。
夜なのにスズメが鳴き、満月と三日月が空に並んで光っている。
防災無線からすすり泣く声がして、胴体が長過ぎるプードルを散歩する首の長いマダムが道を歩いている。
めちゃくちゃな世界では、光眼は常識的の範疇に置かれてしまった。
(チェッ。ボクはまだまだひよっ子かあ)
赤い望月と、金色の三日月。そうしてパステルカラーの雲。
空を眺めながらも、鼻歌を口ずさむ。夜風は甘い匂い。
いい気分でいるとしゃがみ込み、泣いている女子生徒がいた。見た事のない制服。
ここの街にある学校の子ではないだろう。
「あのー」
「ヒャッ! だ、誰? 化け物?!」
ピョーン、と飛び跳ねるくらい驚いて、女子生徒はこちらをみやる。大人しそうな二つ結びの同い年くらいの子だった。
「あ、あの、誰」
「あ、え、ボクは光眼。化け物じゃないんだ……けど」
「良かった! 人間だ! わ、私は猿芽! こ、この街に住んでるんだけど、気がついたらお母さんとお父さんが変な化け物に、あ、あの、この不思議な世界にっ」
彼女はせきを切ったようにまくし立て、ハッと恥ずかしがった。
「やっと人間に会えて嬉しくてごめんなさいっ! あ、あの、また会えたらよろしくお願いします!!」
「あ、あーっ、いなくなっちゃった。足早っ」
あのひとは街の外の私立高校に通っているのだろうか。たまにあの制服は目にした事があった気がする。
(ボク以外に人間? がいるなんて……いや、待って、人間ってどういこと。今も街にたくさんいるよな?)
ハテナまみれだが、四ツ目に見つかる前に色々探索しなければ……。
「もう一回目玉神社にいってみよ」
猿女とかけています。




