サビ猫 師匠
左江内 光眼はふと近所のブロック塀に羽が生えた猫がいるのを見た。悠然と歩く姿はごく普通のサビ猫だが、スズメに似た羽が生えている。
ファンタジーの住人だ!
「可愛い〜〜! 羽が生えたキャットだ!」
「おい、見つけたぞ。光眼」
背中の襟を掴まれて行く手を阻む邪魔者がいる。振り返るとナタを携えた四ツ目がいる。
「イヤッ! 猫ちゃんぶった切らないでっ!」
「あ? はあ。コイツは俺の恩師だ。それに猫じゃない」
「え?」
猫はあくびをすると、鋭い眼光でこちらを見やる。猫の目玉ではない、人の目玉。
「うわっ」
「――コイツが過去の四ツ目、いや、光眼か。過去の残留思念が再生されているだけじゃあないのか」
「いいや、どうだか。俺には実体を持っているように思う」
「ふうむ、私は半信半疑だ。四ツ目、この幻影に好きなよーに手取り足取り教えやればいい。話はそれからだ」
何とも放任主義な恩師である。
「このひと? 本当に恩師さんなの? 見えないんだけど」
「百年以上一緒にいりゃー恩師にもなるさ」
四ツ目は大して気にしていない様子で羽が生えた猫を見送った。
「ボクは……」
「どうやって外に出た?」
「あっ」
窓ガラスを割って、アクティブに飛び降りて――散歩を楽しんでいたのだが……。
「Boo」
「監禁し直しだ!」
羽根が生えた猫ちゃんの精霊??いたような……?




