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聖邪混濁 〜寒い冬から暑い夏へ〜  作者: anishina
第四章 二人の世界
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魔道具の作り方

じいさーん、いるかー?


魔道具屋のドアをコンコン叩きながら、返事を待たずにはいる。

いつもの事で魔道具師も文句を言わない。


「どうしましたかな?アツイ様。

今日はサムイ様は一緒ではないのですか?」


「ああ、置いてきた。

なあ、じいさん、今急ぎでなんか作ってるか?」


「そうですな。急ぎの物はありませんがー、何か欲しい物でも出来ましたかな?」


「そうなんだよ。ちょっと遠出の旅行に出たいんだけど、連絡手段が欲しくてさ。

片手で持てるくらいの大きさで持ち歩き出来て、この城と旅先で通信できるような物が欲しいんだ。

出来れば王都や神殿とか各所にも双方向で通信したい。

サンガルで偵察機みたいなのを飛ばしてたのを見たんだ。

なんか参考になるかもしんないから、作った奴を探して来ようと思ってるんだけど。」


「ふむ。通信装置の小型化と、移動しながら双方向で使えるようにですか。

それはまた、面白そうですな。

ですが、サンガルに店を開いた魔道具師はいなかったはずです。

あそこは我ら魔道具師にとっては、禁足地ですからな。

ただ、街に留まらず、流れの魔道具師は存在します。

気まぐれに作っては、移動するのでもしかするとそういう者が作ったのかもしれませぬな。」


「禁足地?初めて聞いたぞ?

確かグレイが言ってたな。

あそこは、神から見捨てられた土地だって。

俺も実際見てきたが、草木や動物が一切無かった。

気味が悪かったが、それと関係してるのか?」


「ふむ、アツイ様、魔道具についての勉強はどこまでされましたかな。」


「んー、魔道具は魔道具師にしか作れない。

魔道具師は、その固有スキルが無いとなれない。だったか。」


「はい。この固有スキルの事を、我々は神の祝福と呼んでおります。

魔道具はどの様に作られるか知っていますか?」


「んー、魔道具師の裁量で多様な物に多様な付与を行なえる。とか

魔道具を作る材料さえあれば、依頼を受諾した物は必ず作ってくれる。とか

なんかざっくりした事しか知らないぞ。

魔道具の種類はある程度教わったが、作る過程は教わっていない。

詳しい事は、秘匿されているとも聞いたぞ?」


「ふむ。そうですか。

まあ、魔道具師によっては、知られて色々勘繰られるのが嫌な人もいますからな。

では、今からお話しする事は、私の独り言としましょう。


魔道具を作るには、まず明確な完成形を頭に描くことから始めます。

何をどうすればその完成形になるのかを考え、材料となる物を用意し、

手の平から材料へ魔素を注いでいきます。

この魔素を注ぐ時に、明確な完成形を思い浮かべて置くこと。

また、材料の選別も大切で、かけ離れているものだと思い通りの物が作れません。


我ら魔道具師は、材料と魔素でもって魔道具を生成するのです。

この魔素と言われるものが、生物、植物などの生命力を元にしております。

なので、人の生命力も魔素として使われる事がありますので、

秘匿されている訳ですな。」


「じいさん!そんなサラッと何でも無い様に説明してるが、

俺にそんな大事な事言っていいのかよ!

これって魔道具師にとっちゃ、知られたら大変な事じゃねえか!」


「ははは、ジジイの独り言です。

アツイ様には知っておいて欲しくて・・・

使用する魔素は、内容が難しい物ほど必要ですので

その時は、植物や虫や小動物の生命力を少しずつ糧にします。

また余程の事がない限り、人を糧にはしません。

この国は、肥沃な土地で土自体から生命力が溢れております。

何も用意せずとも空気中に漂う生命力で魔道具が作れるのですよ。」


「そうなのか。ああ、だからサンガルでは魔道具が作れないと。

そのせいでサンガルには魔道具師がいないんだな。

人しか糧になるものがないから。」


「ええ、もし、いたとすれば、その魔道具師は人のみを糧にして魔道具を生成していると

我ら魔道具師にはわかりますのでな。流石にそのような魔道具師がいれば、耳に入ってくるでしょう。

ただ・・・これは我ら魔道具師にとっては禁忌ではありません。

必要に応じて人の生命力を使う事もありますのでな。

その魔道具師の裁量となる訳です。」


「なるほどな。そういや、サンガルから持って帰った銃は魔道具じゃ無かったな。

ドローンは流石に魔道具だと思ったが・・・

テスト機って言ってたしなあ。」


「テストですか・・・、それは魔道具師が最後まで作った訳ではありますまい。

魔道具は、中途半端な物はそもそも作れません。

もしかすると、人が魔道具を使って別の物にしようとしたのかもしれませんな。

ああ、なるほど。

先程アツイ様のご依頼のあった移動しながらでも通信出来る物。

やりようによっては、人でも作る事が出来ますな。

サンガルは、今ある魔道具を複数くっつけたんでしょうが、

それでは結局失敗するでしょうな。

ふむ。大体作る物が想像出来ましたので、作ることは出来るでしょう。

材料は、鉱石と金属があれば大丈夫でしょう。いくつ必要ですかな?」


「じいさん、失礼かもしれんが、聞いておきたい。

魔道具師って本当に人間なのか?神の子とかじゃ無くて?

想像出来たら作れるって、それはもう人間通り越してるよな。

どうなんだ?」


「ははははは!こりゃすまない。

神の子とな。ククク。そんな事言われたのは初めてじゃわい。

魔道具の魔から悪魔だと言われた事はあったがな。

まあ、姉弟子は悪魔に近いかも知れんが。ククク。

はあ、アツイ様、我ら魔道具師も貴方様と同じ人間ですよ。

ただ、固有スキルが特殊というだけです。」


「そうか?まあ、俺のスキルも魔王っぽいけど、人間だしな。

すまんな。いらん事言ったわ。

個数だったな。10個程あると良いな。大丈夫か?」


「ええ、ひとつ作れば、同じ物であれば、何個でも生成可能ですよ。」


「あ!それと、もうひとつ作って欲しい物があるんだ。

カバンかリュックの中身を城の部屋と繋ぎたい。

欲しい物を取り出せるようにしたいんだ。

難しいか?ゲートのリュック版みたいな感じなんだが。」


「それはまた・・・、よく思い付きましたな。

それがあれば、戦争時でも糧食の運搬が必要無くなる。

画期的な思い付きですぞ。

生成は可能ですが、内緒にしておいた方が良さそうです。

口外禁止の契約を結びましょう。

アツイ様も秘匿しておいた方がいい。」


「あ、ああ。そうしよう。

ただ、これを思い付いたのはサムイだ。

サムイにも秘匿するように言っておくよ。」


「そうでしたか。サムイ様が。

良い伴侶を持ちましたな。

では、生成に取り掛かりましょう。

一ヶ月程かかりますので、出来上がりましたら、ご連絡致します。」


「ああ、よろしく頼むよ。」


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