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聖邪混濁 〜寒い冬から暑い夏へ〜  作者: anishina
第三章 青年時代〜サンガル
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サンガルの未来

なあ、アイス、なんで人は生きるってだけがこんなに難しいんだろうな。


そうですね。動物と違い、人は複雑に考えるからでしょうか。

動物でも相手を慈しむ気持ちを持っていますし、敵を排除しようと牙も剥きます。

ですが、動物は自分を憐れむことは無いと思いませんか?

自らの存在を憐れむ。その気持ちを持つから生きる事が難しくなるのかと。

だからこそ、生きる為に自分を奮い立たせなければ、すぐ、足元を掬われる。

生きる事は簡単に見えて、本当に難しいですね。

それを人は愛で持って克服しているのではないでしょうか。


ああ、そうか。

俺が今生きているのは、みんなの愛があってこそだもんな。

ルーバが死んだ時、俺も死にたいと思ったんだ。

もうこんな身体で生きたくないって。

でもグレイが、俺を大切に想ってくれてた。

マイカール王が、ルーバが、サムイが、公爵領のみんなが俺を大切に愛してくれた。

人に支えられて俺は生きてる。

だから、俺も懸命に生きる事を選んだ。

みんなが大切で、みんなを愛してる。


なあ、アイス、サンガル王は、ずっと俺を待ってたんだ。

俺じゃなくてもいいんだが、多分1番近い存在が俺なんだ。

その為に、戦争もして、薬も飲んで、人も殺して。

でも必死に生きて、民にも大切にされてた。

過去に執着せず、周りを見回せば幸せな一生を送れたのに。

俺は、今、サンガル王を憐れんでる。

そんな資格なんてないのにな。

俺もここに生まれたら、同じ事をしてたかも知れない。

そう、考えちまう。


アツイ様・・・、それでもあなたはサンガル王とは違う。

人から受け取った愛を、きちんと返しているではありませんか。

私はちゃんと受け取っていますよ?

あなたは前を向いて懸命に生きてる。

私がアツイ様をお慕いするようになったのは、そういう所も含めてです。


はは、そうか。

返せているのか。

なら。サンガル王にも。


※※※※


「アツイさまーー!!ご無事ですかあーー?」

サムイが俺を見た途端、まだ馬の上だというのに大きく手を振って前のめりになって叫んでいる。


「大丈夫か、あれ。落ちそうなんだが。」


「ふふ、大丈夫ですよ。後ろの護衛が慌ててしっかり捕まえてます。」


王城の入り口で、サムイ達一行を出迎えた。

門から城まで直通の連絡が入ったからだ。


ここ、こういう通信は発達してるんだよな。

やっぱ何気にあいつ凄いわ。

あ、そうだ。


「なあ、アイス、ここの通信技術凄いと思わないか?」


「ええ、一応、ヨークにもゲートや緊急通信出来るものはありますが、

こう気軽に使えるものではありません。

どのような魔道具なのでしょうね。」


「んー、俺が思うに、ヨークで考えてるような物とは全く違う技術だと思うぞ。

なあ、これをサンガル製として、ヨークが技術を習いにくるのはどうだ?

この王城にまで、沢山人が行き来出来るように。

出来ると思うか?」


「アツイ様・・・。ええ!もちろんです!早速、話を詰めましょう!」


リョウタ、お前、日本で技術者だったんだろ?

営業は下手くそだけど。

ここにお前が持ち込んだ技術をしっかり根付かせてやるよ。

俺にはそれが出来る力がある。

もう自分を卑下しない。

使えるものは使ってこそだ。

あ、いい事思いついた。あーま、それは後でもいいか。

今は・・・


「アツイ様ー!」

サムイが馬を降りて駆けてくる。


「ああ!サムイ!元気だったか?」

抱きついてきたサムイをぎゅっと抱きしめる。

俺は俺の大事な者を、絶対幸せにしてやる。


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