サンガル王都
おい!あれを見ろ!誰か来るぞ!
サンガル王都、グルリと城壁に覆われていて、外からは中が見通せない。
王都の後ろは絶壁の山がそびえ立ち、そこが土地の最後だと分かる。
王都から東にのみ平らに均してある街道が延びる。
北側には、何か枯れた草みたいな者が一面植っている。
恐らくあれが瑠璃麻と言われるものなのだろう。
このサンガルで唯一育つ植物のようだ。
城壁の上に数人、こちらを見て騒いでいる。
さあ、どう動く?
銃で撃ってくるのか?
門は閉ざされていないから、兵士がぞろぞろ出て来るのか?
アツイは、あちらこちらをキョロキョロしながら
馬でカポカポ言わせながら門へ近づく。
「と、とまれ」
まだ若い兵士らしき男が槍を突き出してくる。
「ここはサンガル王都だろ?
王様に会いに来た。通してくれ。」
「な、なんで王様に会うんだ?
王様は偉い人なんだ、知らない人は通しちゃダメなんだ。」
こいつ本当に門番か?つーかそもそも大人なのか?この喋り方・・・
「なあ、お前、王様の子供か?」
「な!なんで知ってるんだ!
もしかして、王様の知り合いか?
で、でも今までそんな事聞いたことない。」
「あーいや、すごい古い知り合いだ。
久しぶりに会いたくて来たんだが、会えないのかー。
それは王様も残念だろうなあー。
じゃあ、帰ろうかなあー仕方ないしなあー」
「あ、あ、ま、待て、待ってくれ。
王様は王城にいる!知り合いなら会って欲しい。
王様、最近ずっとおかしい。
この間も、まだ小さい子供を・・・
いや、何かの間違いだ。
王城にはこの道をまっすぐ行けば着く。
どうか、王様を元気にして欲しい。頼む。」
「わかった。王様に会ってくるよ。
あ、そうだ。この後来る奴らもみんな王様の知り合いだ。
来たら通してやってくれ。
人数多い方が王様も喜ぶだろ?」
「ああ、わかった。任せておけ。
おおーーい、王様の知り合いだー!
大丈夫だー」
門の上にいる兵士に向かって大声で言う。
「わかったーー!」
はあ、本当にここの奴らは素直だねえ。
なんだかなあ。
カポカポとまっすぐ道を行くと、それまで他の家の屋根でよく見えなかった王城が目の前に現れた。
おー、うちの城塞都市には全く及ばないが、そこそこいい城じゃん。
城の門にも、門番らしき者がいたが、知り合いだと言うとすぐ通してくれた。
俺らこんな子供達と戦うつもりだったのか。
拍子抜けもいいとこだ。
「な、アイス、心配しなくても全然大丈夫だったな。」
隠蔽の魔道具で姿を隠して、俺の背中に引っ付いているアイスに言葉をかける。
コソコソ (アツイ様、まだ油断してはなりません。王がどの様な人物かわからないではないですか。)
「あーそうだな。気をつけるよ。」
城の中に入るところで馬から降りて、歩いて行く。
城の中にも人がいたが、全員若い。
おどおどしながらこっちを見るが、何もしてこない。
もしかして、ここにいる奴全員、王様の子供か?
「なあ、王様に会いたいんだが、どこにいるか知ってるか?」
「な、なんで王様に会うの?あなた誰?」
「古い昔の知り合いだ。久しぶりに会いたくて来たんだ。
王様の所へ連れて行ってくれるか?」
「そうなの?んー、こっち」
案内してくれる様だ。良かった。
可愛い女の子だが、この子も王様の子供なんだろうな。
「王様、最近おかしい。いつもは優しいけど、怒りっぽくなった。
寝てる事多くなったから病気?かも。治せる?」
「んー、見てみないとわからないなあ。
一応薬を持ってるから、試してみるよ。」
「ほんと?嬉しい。ありがとう!」
「治せるかどうかはわからないよ?」
「うん!でも嬉しいの。王様を訪ねてきたのあなたが初めてよ。
王様喜んでくれるといいなあ。」
「そうだね。ああ、それと王様には2人で会いたいから人払いもよろしくね。
そーっと行って驚かせたい。」
「ええ、わかったわ。サプライズって言うのよね。」
「よく知ってるね。そうだよ。」
「やっぱり王様の知り合いってほんとなのね。
前に商人に言ってもわからないって顔してたわ。」
「あれ、君、今俺を試したの?」
「ごめんなさい。一応ね。
はい、ここが王様の寝室よ。中には王様以外、誰もいないわ。
誰にも見られたくないって人払いをしてるのよ。
どうか、王様を助けてね。」
「出来る限りの事はするよ。」
ガチャ
そーっと部屋に入り、人がいない事を確認する。
奥のほうにベッドがあり、人が寝ているようだ。
コソコソ (アイス、悪いけどドアの前で人が入ってこないようにしてて)
コソコソ (承知)
俺は、ベッドに近付いて、王様に声をかけた。
「サンガル王。無事か?俺の声聞こえるか?」
ベッドに寝ていた男が声に気付いてこっちを見た瞬間
バーーン
銃で撃たれた。




