現状確認
ひとまず、荷馬車を町の中に引き入れ、話をするため町長の会議室を借りる事になった。
今、スピカにいるヨーク側の人員は、神殿騎士ヨルン、ジーク、アインス含め11名と
サムイ、ジャック、ロガン、ラックと御者の3名、全部で18名。
ブルーはジャックに引っ付いたままだが、カウントに入れない。
ロガンとラックは、ここが食料不足と聞いて、
炊き出しが出来るように準備をしたいと言ってきたので
手伝いに御者3人と見張りに神殿騎士5名を当てた。
それ以外の人達は会議室に入った。
ジークが開口一番に、
「で?どう言う事なんです?ヨルン。」
「はあ、どこから話せばいいものか。
こっちも聞きたい事はあるがー、
まず、昨日、公爵家近衛騎士団がクロス村に到着した。」
「え!そうなんですか?グレイ団長もいましたか?」
ジャックがブルーに髪をいじられながら聞く。
「ああ、近衛騎士団全員で来ていた。総勢200名と従者20名だ。」
「 !! そうですよね。戦時なんですから。
つい、忘れてしまっていました。」
「あー荷馬車で私とラック殿、ロガン殿が村に着いたのは、その後ですね。
神殿のが2台、公爵家のが4台でした。
向こうに2台待機させて、あとはここへ。」
「そうですか。あれだけでも来てもらって助かります。
神殿の荷はほとんど糧食です。ここの民にも少しは施しが出来るでしょう。」
「それで、騎士達が村の状態を全部見て回って報告を聞いた。
結果、疫病ではなく、恐らく毒殺だろうという事になった。
井戸に毒物反応が出た。」
「ど、毒ですか?毒にしては皆苦しんで死んだ様には見えませんでしたが。」
「皆、手を胸に組んで死んでたそうだが、1人だけ違ったそうだ。
村長か何かだろうが、飲ませたあと、綺麗にして寝かせてやったんだろう。」
「なるほど。」
「でだ。なぜ、村丸ごと殺す必要があったかと言う事になり、
戦場をサンガルの地で行い、ヨークを引き摺り込むのが狙いではないかと。
密偵とやらがその事を報告してこないのは、
また、サンガル人が妙に素直な性格なのは、
王が洗脳のスキルを持っているからではという結論になった。」
「洗脳!やはりそうですか。
我々もこのブルーの話を聞き、恐らくそうでは無いかと考えました。
ですが、ここの兵士も民もサムイ様に会って、洗脳が解けたようで
今はサムイ様を神様と思っていますよ。」
「あー、やはりそうなったか。
そうなるかもと思ったのだが、会議の中にサムイ様のスキルを知る者が
俺とアインスしかいなくてな。
絶対、大丈夫とは言えず。
サムイ様、すまん!
俺がもっと強く言っていれば、アツイ様は今頃ここにいただろう。」
「ヨルン。とっても残念だけど、仕方ないです。
とーーっても残念ですけど。」
「うっ、本当にすまなかった。」
「それで?アツイ様達はどの様な判断をしたのですか?」
「アツイ様達は、密偵からサムイ様が拉致される噂も聞いていてな。
それで、少ない人数でこの町へ行かせてしまったのを悔やまれていた。
既に拉致されて、王都へ連れて行かれているだろうと。
それで、騎士団を2つに分けて、半分は村の人の埋葬を、
もう半分はここを迂回して次の村近くまで先行すると。
そして、荷馬車がなぜここに来たかと言うと、ここで食料を渡しながら調査を行い、
その結果をこの先のリゲル村で報告をする手筈になっている。
リゲル村については、明日制圧予定だ。」
「なるほど。では、今ごろリゲル村の近くで、夜営の準備をしている所か。」
「ああ、ここでなるべく多くの情報を仕入れて合流した方がいい。
サムイ様、お願い出来ますか?」
「うん。聞きたい事をまとめよう。
クロス村の実態を知っているか、
リゲル村はどうなっているのか、
何か王から命令を受けているか、
王都はどうなっているのか、
あとは、出来るだけ今のサンガルの情報と、王の情報。
あとー、他にある?」
全員がサムイを驚いた顔で見入った。
「なに?僕変な事言った?」
ヨルンが口をパクパクしながら言う。
「サムイ様、神殿にいた時とまるで別人のようで驚きました。
これは一体?ジーク!何か知っているか?」
「え、ええ、ここまで変わってくるとは。
実は、サムイ様が神殿の本に、スキルは使い過ぎると何かを失うと
書かれてあったのを思い出されまして。
サムイ様は恐らく記憶が一時的に失ってしまったのだろうと。
それで癒しを使わなければ、神殿に来る前の状態まで戻るのではないかと。
2日ほど癒しを行っていませんが、言葉もかなり戻って来ておりました。
今のを見ると、気付かぬ内に思考力も失っておられたのかと。
ああ、本当に我々神殿の罪は重い。」
「そうか。そのような事が。
サムイ様に、全て委ねてしまった神殿の、我々の落ち度だな。
如何なる処分も・・っともう俺は死んでアツイ様に仕える身だったな。
ですが、どの様な事でもご指示下さい。
神殿騎士団の全てを動かしましょう。
お詫びにもなりませんが、手札は多い方が良いですからな。」
「はあ、ヨルン、もういいよ。僕も悪いんだ。
流されるまま流されちゃってたから。
それより今は、質問内容だよ。
それだけでいいの?」
「サムイ様・・・すみません。
ええと、他の質問ですか。皆、何かあるか?」
「あー、ではサムイ様。
このブルーの事を知っているか
また、スキルのある子供や王の子供について
もお願いします。」
「わかった。1人1人聞くのは大変だから、みんなに広場に集まってもらって一斉に聞こう。
その時に、炊き出しもすれば効率いいよね。」
「はい、そうしましょう。みんな!動くぞ!」
「「「 はい! 」」」




