サムイ動く。
マイカール王から神殿に連絡がきた。
アツイ様が、サンガル兵に暗殺されそうになったが、撃退した。
サンガル王に謝罪を要求したが、拒絶され、開戦となった。
アツイ様は国境にいて、こちらからは既に王都騎士団を向かわせている。
そなたらの契約は18になったらアツイ様の所へ行くというもの。
国境に向かうのもアツイ様に会うのも契約違反にはならないが、
そなたは、どうするのか?
と。
「あああーー!アツイ様!アツイ様!私のアツイ!
行きます!僕!国境へ!アツイ様に会える!会いたい!」
サムイは、部屋から出て、神殿の外へ出ようとする。
周りが慌てて止めにはいる。
「サムイ様!そのまま出ては行けません!お待ち下さい!」
一緒に王からの連絡を聞いていた、ヴィラン神殿長と、ヨルン団長と、ジーク隊長が
サムイに抱きついて引き止める。
「サムイ様!国境まではここから馬でも10日はかかります!歩いてなど行けません!」
「今から馬車か馬を用意しますので!お待ち下さい!」
「行くにしても準備があります!それまでお待ちを!」
「そんなに待てない!アツイ様が戦争に行っちゃう!早く!
もっと早く行けないの!?」
「ゲートという魔道具があります。が、ただ、それは1人しか移動出来ないので・・・」
「それで行く!どこ?どこにあるの?」
「ひとまず、落ち着いて下さい!落ち着いて貰わないとお教えできません!」
サムイはピタッと動きを止める。
「落ち着いた。教えてよ。」
「はああーー、そうは見えません。
ひとまず、あと数時間だけお待ち下さい。
必ず、ゲートでお送りしますので。」
「ええー?もう!もう!ん〜〜、早くしてね!急いでね!」
「ひとまず、お部屋でお待ち下さい。
アツイ様にお会いするのに相応しい服選びなどしてはいかがでしょう?」
「あ、そうだね。どれを着ていこう!イルに相談して決めるよ。」
いそいそと、サムイは自分の部屋に戻っていった。
「はああああ、驚いた。あんなに早く動くサムイ様を初めてみた。」
「本当にゲートで国境まで送るんですか?」
「あの状態のサムイ様をどうやって宥めるんです?誰も無理ですよ。」
「まあ、先に誰かゲートで向こうへ行って、詳細を話して来た方がいいな。
ゲートの先はサンガル国境の街か?」
「ええ、国境の街ダイバオはかなり大きい街ですから、神殿もあります。
そことゲートが繋がっています。」
「ゲートの再起動の時間は、10分くらいか?
なら、一度、ヴィラン神殿長が行って、事の次第を伝えてくるのがいいな。
10分後にこちらから、ジークを行かせる。
向こうで顔繋ぎをしてくれ。
終わったらヴィラン神殿長は戻って来て、神殿でサムイ様が不在でもいいように立ち回りをお願いする。
その後、10分置きに、こちらから、親衛隊と、騎士を送り込む。
問題ないか?」
「はあー、本来なら、神殿の上位の者しか使えない神聖な魔道具なんですが。
サムイ様の為なら、致し方ありません。」
「気苦労で禿げそうだな。ヴィラン。
だが、ゲートなら俺も使った事がある。
他の神殿で騎士をやってた時にな。
では、すぐ始めよう。」
「わかりました。ゲートの場所へ」
「ああ、すまんな」
ゴトゴト、ゴトン
「ここがゲートで移動出来る隠し部屋になります。
ヨルン団長は知っているとの事ですが、ジーク隊長がいますし、説明します。
部屋は、向こうも同じ作りになっていて、中からここをこうすると、外へ出られます。
あと、ゲートの行き先を決めるのに、ダイバオ行きの魔道具を起動します。
部屋の真ん中の床が光りましたね。この上に立つと移動します。
次に光るのは10分後です。
はあ、では行ってきます。」
ヴィランが光りに包まれて消えた。
「ジーク、これを渡しておく。通信具だ。これで俺と話が出来る。
向こうに着いたら、使えるか試してくれ。
神殿との顔繋ぎが出来たら、現状を把握して教えてくれ。
まだ、アツイ様がダイバオにいらっしゃるのか。
もうサンガルへ立たれたのか。
ヨーク王国の戦力も分かれば教えてくれ。
我々、神殿騎士団は神に仕える騎士団なので、王国に加勢するという訳には行かん。
あくまで、サムイ様をお守りする立場として国境へ赴くのだ。
それを忘れては、道理が通らない。
だが、もし、サムイ様が戦場に行かれたならば、我々も戦う。
サムイ様が戦うと決めたなら、神がこの戦いに勝利を齎す事をお望みなのだ。
その事を心に刻め。
あとは、確か荷物も送れるはずだから、向こうで足りない物があれば、連絡してくれ。
ああ、そうだ、ジーク、アツイ様に会ったなら、丁寧に話をするんだぞ?
出来れば俺はまだ死にたくないんでな。」
「わかりました。あちらにも神殿の騎士がいるでしょうから、話を付けてきますよ。
ですが・・・サムイ様を直に見せるのはやめておいた方がいいですよね。
ゲートを潜る際には、ベールか何かで顔を隠して下さい。
よろしくお願いします。」
「ああ、わかった。では俺はゲートで送る人員を確保してくる。ではな。」
「はい。ああ、できればサムイ様に一度でもお手付きされた方は全員向こうへ送って下さい。
アツイ様に謝罪をさせていただきたく。」
「ああ、では俺もサムイ様がそっちへ行った後に、行くわ。」
「はい。お待ちしてます。逃げないで下さいよ。」
「ははは、はー」




