旅行準備
あーね、わかってた。
「アツイ様ー!!、なぜ私にご相談下さらなかったのですかあーー!!
うっ、うっ、このグレイ、悲しくて、悲しくてーー、
一言言って下されば、どんな事でも動きましたのにーー、
はっ!私めを信用されておられないのですか?
ああーこの14年、片時もアツイ様の事を考えぬ日は無いというにー
うっうっうおおおおおおお」
あー、とても嬉しいんだが、とてもうるさい。
グレイは声がでかいんだよー。
そして、すぐ泣くからー。
前世の俺より年上だろうに、こんなに泣き虫で大丈夫なんか?
これでうちの近衛隊長なんだからなあ。
「グレイ、先に言わなくて悪かったよ。
報告聞いてると思うけど、一度どうなってるのか直接見てきたいんだよね。
でもグレイは前の戦争出てるから、身バレしないように連れていけないし。」
「アツイ様!そういう事では無いのです。
ジャックや侍従に話す前に、私や執事のバルにご相談をいただきたいのです!
あなた様はすぐ、自分で動いてしまいます。
まず、周りの上位の者へ指示を出すだけでいいのですよ。
その為の我らなのですから。
執事のバルなど、かなりヘコんでおりましたぞ。」
あー!そうか。俺ここで一番偉いんだった。
前世なら、社長が部長すっとぱして主任とかに
休みのスケジュールを伝えるみたいな事をした訳だ。
上から順に話を通せよって案件な!
「ごめん!グレイ、俺が悪かったよ。今度からきっちり頼るから。」
「ふー、分かればよろしいのです。」
グレイ、ハンカチぐしょぐしょだな。
今度、ハンカチをダースで贈ろうかな。
「はー、で、サンガルですか。
話は聞いておりますが、さすがに近衛数人で大丈夫か少々心配ではありますな。
サンガルに詳しい者を1人同行させましょう。
また、川までは馬で結構ですが、
国境を超える際には、行商人になっていただきます。
そのまま、サンガル王都まで。
馬車と売る品、通行許可証の用意をさせておきます。
その辺りは、随行する近衛に話しておきますので、ご心配なさらずに。
また、アツイ様は同行者、行商人の子供役になっていただきます。
馬車は2台用意します。
ジャックと、近衛の2人は護衛として
ラックは行商人の小間使い
後の近衛1人は行商人の手伝いとして御者をさせます。
帰りは疑われないよう、同行人が商売してから
帰ってきて下さい。
もしも、危険を感じたら、馬車から馬だけ切り離して
逃げ帰ってきて下さい。いいですね?」
おおおーすげー、グレイ、見直したわ!
さすが、近衛隊長!
「ああ!わかった。グレイありがとう!」
グレイと話を詰めた後、執事のバルに謝りに行った。
バルは、へこんではいたが、俺が何を持って行けばいいか
と聞いたら、ニコっとして、用意をしだしてくれた。
ごめんな、バル。
次からちゃんと頼るから。
2日後、魔道具屋にピアスを取りに行くと、
耳に穴開けて、付けてくれた。
鏡を持ってきてくれたんで、覗いた。
あれ?髪色変わったか?
と思ったら、
「公爵様、ピアスを指で擦って下さい。」
擦って発動か!
擦ってみると、髪色が金髪に、目の色は翠色になった。
「おおーー、かっけーー!じいちゃん、ありがとー!!」
「いやいや、こうして見ると、前公爵様、お父上によう似ておられる。
お若い公爵様にお会いしたのを、思い出しますなあ。」
「じいちゃん、ずっとここで魔道具屋やってるのか?
俺の父親って、どんな人だった?」
「ええ、ええ、ずっとここですじゃ、
公爵様は、小さい頃から、利発でお優しい方でしてな。
今のアツイ様のように、ここへやってきては、
あれやこれやと魔道具の事を聞いては、作って欲しいとねだってきましてなあ。
どのような原理で魔道具が作られるのかとか、勉強もされておりましたな。
懐かしい思い出ですわ。」
「そっかあー、会いたかったなあ。
行方不明って聞いてるけど、なんか知ってる?」
じいさんは無言で首を横に振る。
「そっか、どっかで生きていてくれるといいけどな。」
「そうですな。公爵様、今日もマントに触っても?」
「ああ、いいよ!これ、そんなにいい物なのか?」
「ええ、ええ、公爵様に大事にされて、さぞマントも喜んでいる事でしょう。」
と、また無言で目を瞑って、マントを両手で触る。
暫くして、じいさんは、笑顔で俺に
「公爵様のこれからのご武運、ご多幸をお祈り致しました。
また、何かあったら、ここへ来て下され。
いつまでも、お待ちしておりますじゃ」
と言って、マント離した。
「わかった!ありがとー、また来るよ!ピアスもありがとなー」
俺は、魔道具屋を出て、城に帰った。
いよいよ明日、出発だ。
魔道具屋のじいさんがしていたように、
マントを両手で持ち、
無事帰って来れますように。
と祈った。




