そうだ サンガル、行こう。
まーさ、他の国も見てみたいじゃん?
悩んだが、結局勢いで行くことにした。
ひとりで行ってもいいんだけど、
俺、これでもまだ未成年なんだよね。
引率メンバーを考えたが、
グレイは顔が、知られてると思うから、無し。
俺、あんまり・・・つーか友達ひとりもいねえ。
いや、友達を偵察に連れて行くとか無いけどさあ、
なんか、まあ、ひとり好きだけど、それはそれでゴニョゴニョ
んん、コホン。
まあ、顔を知られてるかもっていうと、騎士団はやめておいた方がいいよな。
あ!あいつがいた!
サムイの護衛、ジャックだ。
あいつ連れてこー。
あと、身の回りの事してくれる奴はー、ラックしかいねえ。
よし!決まりだな。
サンガル王国と、ヨーク王国の位置関係は、
ヨーク王都の北西にレイグリット城塞都市があり、
北側、西側の防衛拠点となっている。
北には高い山が聳え立ち、その麓は、一帯が山林になっている。
その山の向こうはククルコット共和国がある。
山があるため、滅多に交流は無いが、悪い関係ではない。
その山から流れてきている大きな川が、レイグリットの西側にあり、
その川向こうがサンガル王国だ。
この川に行くまで、結構な距離がある。
まず、レイグリットから、馬で平原を5日、山林地帯を2日進むと、
川に大きな橋があり、その橋の中央が国境である。
その川を越えると、サンガル王国の荒野が広がる。
そこを馬で西方向へ4日行くとサンガル王都である。
20年前、合戦場所は川のこちら、山林を越えた平原。
地の利がこちらにあるとはいえ、押し留めること3日。
敵味方、死屍累々だったという。
別働隊が後ろに回り込み、補給路を絶ち、孤立させて、休戦に持ち込んだ。
サンガル王国へ攻め込んではないので、勝った訳ではない。
勝手に向こうが戦争を起こして自滅しただけだ。
それでもこちらの損害は大きかった。
戦争したからといって、交流がないわけでは無い。
本当なら、国交断絶してもいいと俺は思うが、
うちの王様、あれだからなー。
ヨーク王国からサンガル王国へは、穀物、食糧などをを輸出し、
サンガル王国からヨーク王国には、鉱物、布製品などを輸入している。
商人は、どこでも逞しい。
サンガルは国土が痩せているため、あまり穀物類が育たない。
そのせいで、戦争で領土拡大を考えたのだろう。
向こうも、うちの王様は、ちょろいと思ったんだろなー。
それはさておき、
ジャックとラックに5階の部屋まで来てもらった。
「あー、そうだ サンガル、行こう!」
と、どっかのキャッチコピーみたいに誘った。
「は?」 「え?」
と淋しい反応。
「いやあ、なんかさ、サンガル行ってみたくてさー。」
と、戦争云々言ったら、一緒に行ってくれなさそうなんで、さりげなーく。
「あの〜、なぜ俺?」
「ええー!僕達だけでですか?少なすぎです!せめて近衛をもう数人!」
あー、そーだよねー。そういう反応になるよねー。
何も考えて無かった。はっはっは。
「あー、俺あんまり人と仲良くしてなくてさー。
で、最近入ったジャックとサムイの昔話を聞きながら、ちょっと小旅行など計画を・・・」
なんか2人から可哀想な目で見られてる気がする。
「あー、コホン!いやあ、ね!よその国も見てみたいなーってね。ダメか?」
「ダメじゃないです!
アツイ様。僕で良ければお供しますとも。ですが、せめてあと数人、護衛は必要です!
こちらで見繕いますから!ご心配入りません!」
「あーそう?じゃあさ、30歳位までのお兄さん的な年齢の人、頼むわ〜」
30なら戦争には行ってないしな。
「はい?あ、はい、お任せ下さい!」
「で、ジャックは?行けそう?」
もう近衛を数人連れて行くなら、ジャックは連れてかなくていいのだが、
ここでもういいわーとは言えない俺。
「んー、では、一緒に行かせていただきますが、ひとつアツイ様にお願いが。」
「え?なに?」
何だよ。お願いって!
「行かれる前に、髪の色と、目の色。
あまりに特徴的なので、魔道具などで変装をお願いしたく。」
おおおー!この護衛、めっちゃ役に立ちそう!!
そんなとこまで気配り出来んだー!
サムイ、いい護衛雇ってたんだなー。
「わかった。魔道具屋に相談してみるよ。
じゃあ、それぞれ準備するってことで。よろしくな!」
「「 はい! 」」
で、俺は早速、魔道具屋に来た。
「おーっす、また頼みに来たよー」
「おー、公爵様、どうですかな? 手袋やブーツの使い心地は。」
「うん、いい感じに馴染んでるよー。
で、今日は、髪と目を変える魔道具が欲しくてさあー」
「ほー、変装して、いたずらでもするんですかな?」
「いやあー、ちょっと外へ出掛けるんでさ。どう?すぐ出来そう?」
「はっはっは、まあ、そう急ぎなさんな。
そうですなー、ピアスでなら、ご希望の物は作れそうですな。
目と髪に一番近い。で、ピアスは耳に穴を開けるんですがー」
「ああ、いいよ!問題ない。」
「即決ですなあ。分かりました。2日ほどいただけますかな。」
「オッケー! ああ、今日もマント触ってくか?」
「よろしいのですか?」
「別にいいよー、減るもんでもないし。はい、どうぞー」
ここレイグリットの魔道具屋は、なぜか、俺のマントを触りたがる。
珍しいのか、作り方を知りたいのかは知らないが、
魔道具作りは、これからもお世話なる予定なんで
これくらいサービス、サービスー。
魔道具屋は、アツイのマントを両手で触り、目を閉じる。
「・・・・・・・・・・・公爵様・・・」
「ん?何?」
「いえ、何も。本当にいいマントです。
大事に使ってやって下さいね。」
「ああ、もちろん!まあ今はこれ無しじゃ外出られないからね。
大事に使うよー!じゃあ、2日後にまた取りに来るな!」
バタン
ボソ「あの、くそババア・・・・」
アツイが外へ出た後、魔道具師は涙をボロボロながしていた。




