神殿の未来
ジーク、どうした!何があった!
ジーク殿、いかがなされましたか?
ヨラン団長とヴィラン神官長が、貴賓室に駆け付けてきた。
「あー、こっちで話そう。」
ジークは貴賓室の隣りにある応接室へ2人に入るよう促した。
「アインス、サムイ様が浴場から戻られたら、教えろ。」
「フィーア、アインスと2人だが、
もし、サムイ様に呼ばれても中に入るな。
必要なら、私に声をかけろ。いいな。」
「は!」
バタン
応接室のドアを閉めて、3人は椅子に腰掛ける。
「で、何があったんだ。サムイ様は大丈夫なのか?
なぜ、こんな時間に浴場などに行かれる?」
「まず、2人にお聞きしたい。
サムイ様が来られて、7日経ちましたが、
なぜ、サムイ様はお暇をしているのですか?
神官長?」
「あ、ああ、私は神殿長の更迭の承認を得るために、
他の地域の神殿長、神官長らと連絡をとり、
書類等の申し送りなど、少々立て込んでしまってね。
やっと目処が立ち、今日、更迭される手続きになった。
本日より私がこの王都の神殿長だ。
よろしく頼む。
サムイ様を蔑ろにしたつもりはないが、
アルとイルを世話係にしたのでな。
あれらは神官達にも評判が良い。
上手く馴染んでくれると思っていたのだが・・・
何かやらかしてしまったのか?」
「はあー、まず、ヴィラン神殿長、昇格おめでとうございます。
サムイ様は良く馴染まれましたよ。
それも、なんの抵抗もなく。
今までほんとに、どうやって生きてきたのか。
で、団長は?ちっとも顔を見せませんでしたが?」
「ああ、俺は、サムイ様の今までの経歴や、関わってきた人物を
全て調べていた。まあ王城まで行かれたとは少々驚いたが。
それより驚いた事もある。
その事を話す前に、ジーク、先にお前の方から報告を受ける。
何があった?」
「はあ、一体どこから話せば・・・
まず、アルですが、
神殿長、あなたはアルが、なぜ神官達から評判がいいか知っておられますか?」
「ん?それは良く下働きをするからではないのか?
怠ける者はその辺で遊んでいるのでな」
「今日、私が見たのは、アルがサムイ様のお腹をお舐めになっている姿です!
初日の行為は他の護衛の話の方が重大だったため、恐らく聞かれなかったのでしょう。
アルになぜそのような事をするのか聞いたら、
いつも神官達が喜んでくれるから、だそうです。
アルにとっては、遊びの延長なのでしょう。
アルは、恐らく、腹だけでなく、恐らく足も舐めさせられている。
ツヴァイがサムイ様のを舐めているのを見て、平然としていましたから。」
「は?え?・・・・・」
ヴィランは言葉が出ずに、口をパクパクさせている。
顔面は蒼白になったり、真っ赤になったり、忙しそうだ。
「今、聞き捨てならない事が聞こえたが?
ツヴァイが、サムイ様の足を舐めたのか?」
「ああ、俺が入って行った時、
サムイ様の足を抱き込んで、舐めてたよ。」
「ああ、なんだって、まあ、羨ましい。
あっと、ゴホン、そんなことが。」
「問題はその後だ。
サムイ様を浴場に行かしたあと、
拳骨で正気に戻したが、ツヴァイは自分のした事を覚えていたよ。
悪びれもせずに、神に幸運を祈っていた。
これをどうみる。」
「うーむ、サムイ様が来た日と、神殿初日で正気を失って倒れた者と、
今日のツヴァイとの違いか?
ツヴァイは、サムイ様のご意志で部屋に入ったのだよな。」
「それどころか、サムイ様は自分から私に一緒に遊ぼうと誘ってきました。
恐らくツヴァイも誘われたのでしょう。
ああなったのは、サムイ様のご意志で間違いないでしょう。」
「ほんと、羨ましい。っと。すまん
という事は、だ、
サムイ様のご意思であれば、正気になっても情事を忘れる事はないと。
それも、サムイ様を心酔したまま。
こりゃ、ヘタすると、サムイ様の国が出来上がるなあ。
あっはっは」
「笑い事ではありません!このままだと、とんでもないことになりますよ!」
「あー、それはー」
コンコン
「サムイ様が、浴場から戻られました。」
「あーこっちの部屋に入ってもらえ」
「! ヨルン?」
「あーいいから、俺に任せろ。
あ、神殿長、大丈夫か?
このままだと、ちとまずいな。
衝立を立てるか。ジーク、手伝え。」
神殿長を端の椅子に座らせ、衝立を置く。
コンコン
「サムイです。入ってもいいですか?」
「ああ、いいぞ」
ガチャ
「あ、団長様だ、お久しぶりですね。」
「ああ、元気にしてたか?」
「はい!、でもちょっと暇してましたー」
「そうか。サムイ様、今から少しお話しをするので、
ここに座って下さい」
「はあい」
「サムイ様、今日は、アルとツヴァイ2人と遊んで、楽しかったか?」
「うん!アル1人よりツヴァイも一緒だと、
気持ちいいーのが増したよー
だから、ジークも一緒に遊んだら、もっと気持ち良くなると思ったんだー。」
「なるほど。それは、羨ましい。ゴホン。ゴホン。」
「団長様、お風邪ですか?僕が癒してあげます。」
サムイは団長の所へ行き、団長の顔を見て、手を握る。
その瞬間、サムイと、団長が光に包まれて、しばらくして、収まった。
「うわあ、びっくりしたー。なんで光ったんだろう。
団長様、どう?風邪治った?」
・・・・・・
「ちょっと待て。サムイ様、初めて光ったのか?これまでは?」
「えー今まで光った事なんてないよー?
あーいつもは眼鏡してたからかなあ?」
「ヨルン、身体はどうなんだ!どこか変わった所はないのか?」
いきなり、ヨルンは上衣を脱ぎ出した。
「ヨルン!何やってんだ!血迷ったか?」
「違う、違う。ジーク、俺の背中の傷、どうなってる。」
「え?ああ、だいぶ前の古傷だろ?そんなの・・・
え、無い!消えてる!!」
「てことは、病気だけじゃなく、怪我まで。
それも古いのまで治せるってなったら・・・
やばいどころの話じゃない。」
「団長? お傷治ったの?良かったね!」
「ああ、サムイ様、ありがとな。
ふむ。やはり、サムイ様のご意志がだいぶスキルに反映してるな。
癒そうって思ってるから、手を触られても、欲情しない。なるほど。」
「話を戻そう。まず、なぜ、今日はみんなで遊ぼうとしたんだ?」
「んーする事なくて暇だから。それと気持ちいいのは良い事だから。
あとはー、内緒ー」
ボソッ(アツイ様にも教えてあげたいからー)
「はあ、聞こえてるんだが。
わかりました。
では、暇じゃなかったら、今日みたいな遊びはもうしないか?」
「えー、どうだろう。時々は遊びたいかなー」
ボソッ(アツイ様に気持ちいい事してあげるんだー)
「もう、わかったって。
サムイ様は3年後の18歳になったら
アツイ・ド・レイグリット公爵様の元に行くんだな?」
「はい!なぜ知ってるんですか?内緒にしてたのに。」
「え!」
「なんと!」
「それって、あの災厄を撒き散らした史上最悪の子供ですよね!」
「ジーク!口が過ぎるぞ!サムイ様の前だ!慎め!」
ジトー、とサムイはジークを見る。
「ふ!、うっ!申し訳ありません!私の口が悪うございました!」
サムイからの視線で、とても悪い事をした気分になる。
「アツイ様は、悪くないです!この世で一番可哀想な方なんです!
私が18になったら、お救いにあがるんです。
絶対、邪魔しないで下さいね!」
「は!畏まりました。」
ジークは脂汗を流しながら、絶対公爵の事は口にしないと神に誓った。
衝立の向こうから、声が聞こえてきた。
「サムイ様、お話しを聞いて理解しました。
この神殿にいる間は、アツイ様が起こした災厄の癒しを主に行動したい。
とそういう事ですかな?」
「ヴィラン神官長!はい!その通りです」
「わかりました。そういう事でしたら、お力になりましょう。
ヨルン団長、衝立があれば、サムイ様のスキルも大丈夫のようです。
この衝立に穴を開けて、手を差し入れて癒していただきましょう。」
「おーなるほど。それはいいな。了解した。」
「では、サムイ様。明日から神殿内で働いていただきますね。」
「はい!」
「皆、他にサムイ様に聞く事、言う事ないか?
なさそうなんで、もう部屋に戻っていいぞ。
くれぐれも、護衛を遊びに巻き込まないように。」
「はあーい」
パタパタ、バタン
「はああー生きた心地がしなかったよ。
公爵、アツイ様だったか。
もう金輪際、口にしないよ。」
ヴィランが衝立の向こうから出てきた。
「公爵ですか。これは、また手に余るほどの大問題ですね。」
「ま、そういうこった。3年後、どうなってるだろうな。」




