A 初めての外 5
はあああああ。
「グレイ、待たせたな。」
「いえ、それより聞きたいことは、聞けましたかな?」
「ああ、まあな。なあ、グレイ。俺のスキルって何か知ってるか?」
「あー、えーと。」
「なんだよ。知ってるのか?なら教えてくれよ。」
「いえ。知ってるとも言えるし、知らないとも。
恐らくこのスキルだろう、というのは公爵家のものなら誰しも想像しております。
ただ、それは想像の域を出ませんので、はっきりとは。
運スキルであれば、お生まれの前後での出来事から、
不運、悲運辺りが該当しますが、お身体全体にモヤを纏うのはまた次元が違うといいますか。
さらに上位の悪い運スキルかもしれませんし、また別のサブスキルが影響しているのもしれません。
それ以上、詳しくは私にもわかりません。」
「そうか。じゃあ占い屋、鑑定屋って知ってるか?」
「はい。知ってはいますが、ここからは少し遠いですな。
それにそろそろ屋敷にお戻りなった方が良ろしいかと。」
「それもそうか。そっちはまた今度だな」
「は!では馬の所まで行きましょう。」
馬を繋いでいる所まで行き、馬に乗って帰途に着く。
貴族街を通り、公爵家の門まで来た。
「アツイ様ーー!!アツイ様ーー!!」
両手で大きく手を振ってる奴がいる。
「あれは、ルーバ様ですな。やはり帰って来て正解でしたな。」
「ああ。あれは大の大人からして恥ずかしくないのか?」
「ははは、いいではありませんか。好かれている証拠です。」
「ルーバって妙なやつだよな。家庭教師やってるときは、めっちゃ厳しいんだ。
でも、それ以外の時は、めっちゃ優しいんだよ。
メリハリ効いてていいんだろうけど、飴と鞭の使い分けが絶妙。」
「ほお。流石、王指名の家庭教師ですな。
アツイ様は良い方に巡り合われておりますな。」
「うん。俺もそう思う。モヤっててもそう悪い事起こってないしなー。」
「・・・ええ、そうですとも。何もお気になさらずお過ごし下さい。」
今、なんか間があったけど、気のせいか?
まあ、何かあったとしても俺にはどうしようないしな。
門の前で馬が止まった途端
「アツイ様!今までどこに行っていたんですか!」
ルーバが叫ぶ。
「いやあ、ちょっと外に出たくって。」
「は!アツイ様が喋ってる!これまで片言しか私には話してくれなかったのに!
そこの近衛隊長のせいですか?キーー!羨ましいーー!
それにひどいじゃないですか!私を置いて出掛けるなんて!
あなたが朝からグッタリされていたから、お休みにしたのですよ!
お疲れだろうからゆっくりされるだろうと。
そりゃあ私も少し用事で外へ出掛けましたけど、
アツイ様が外へ出られるなら一緒に出れば良かった!!
一生の不覚です!!くーーー!」
「あー、ルーバ、なんか心の声もダダ漏れになってないか?」
「ブフっ、あ、失礼。ルーバ殿。只今帰りました。
ルーバ殿の留守中に、勝手にアツイ様をお守りした事、申し訳ありませんでした。
これまでの2年間、ルーバ様のみがアツイ様を見てきたのですから、
たまにはいいではありませんか。
このマントを着てならアツイ様も外に出られるようですしな。」
「そうなのですか?アツイ様。
マントは王から渡す様言われて、その時何か言ってた気はしますが・・・
はっ、内緒でした!聞かなかった事にして下さい!
いえ、それでも渡してから1年くらい経ってますよね?」
「あー、ルーバ、お前なんかだいぶテンパってないか?大丈夫か?
魔道具屋で色々聞いてきたから、マントの事はもう大丈夫だ。
それと、誰がくれたのかも予想してたのと合ってるから気にしなくていい。
貰って1年経っちゃたのは、今まで屋敷から出なかったからってだけだ。」
「フー、私は大丈夫ですよ。アツイ様、色々聞くことが沢山ありそうですね。
こんな門前ではなくお部屋に参りましょう。
近衛隊長、ご苦労様でした。ここからは私がアツイ様をお守りしましょう。」
「は!アツイ様、本日はお仕えでき、望外の喜びでございました。
今後、何かあれば、このグレイ、すぐにでも駆けつける所存ですので
いつでもベルでお呼び下さい。」
あーベル貰ったままだったわ。忘れてた。
「わかった。グレイ。今日はありがとな、助かったよ。じゃあーまたな。」
「は!」
「ではアツイ様、私の馬で屋敷まで行きましょう。」
「ルーバ、馬乗れたんだ」
「もちろん。アツイ様もそろそろ乗馬の訓練をしましょうね。」
「おー!」
馬に乗って屋敷まで、カポカポ 言いながら進む。
「それにしても、アツイ様がこれほどお話出来るとは。
この2年、ほとんどおしゃべりにならなかったので
元々無口なのか、喋りたくない心境なのだと、ずっと思っておりました。
違ったのですね?
は!もしかして、私の事を喋りたくないほどお嫌いとかですか!?」
「ルーバ。違うよ。
実は、マントのおかげなんだ。
これ着てると、声がくぐもらないんだよ。
普段は、声がくぐもって自分でも聞きづらいし、
相手にきちんと思いが伝わらないから喋らないようにしてたんだ。
なんかごめんな」
「アツイ様。私がそこまで気が回らなかったのがいけないのです。
申し訳ありませんでした。」
「ううん、僕が言ってこなかったから。」
「それで、今日は初めて外へ出てどうでしたか?」
「とっても楽しかったよ。」
「それはよろしかったですねえ。くーーー!
喜ばしいのですが、悔しい思いが溢れてきて。申し訳ありません。
お部屋で今日の事を、じっくり、ねっとりと全て洗いざらい聞かせていただきますね。
お覚悟を。」
ヒーーー!
オレ、もしかして詰んでる?
サムイ!今俺を助けろー!




