A 子供時代 5
アツイ 7歳
家庭教師が来てから2年が経った。
スパルタに次ぐスパルタでアツイはー
魂が抜けかかっていた。
パコーン
「アツイ様!魂が抜けかかっておいでですよ!しっかりなさい!」
どっからハリセン出てくんだよー
懐かしくて涙が出らい!
腕で涙を拭っていると、
「アツイ様、あなたは良く頑張っていらっしゃいます。7歳にしては出来過ぎですよ?
一体どれだけ内に秘めた力を持っているのでしょう。
ですが、私がお教え出来る年数は限られております。
もうあと8年ほどしかないのですよ。それも早まる恐れがあります。
早くてあと5年でしょうか。
何しろアツイ様は早熟のようですので。
(ボソッ 毛が生えたらお終いです。)
毎日お風呂でマッサージをさせていただいていますが、
7歳ですのに、体型が引き締まっていい感じになってまいりました。
ひとえにあなたの日々の頑張りの結果です。
継続こそ力なり。」
おま、まじで前世日本人なんちゃうんか!
聞きたいけど、それより喋りたく無いわー
「ーーーまあ、たまには何もしない日があってもいいかと思いますので、
今日はお休みと致しましょう。これまで2年間、熱も出さなければ風邪一つ引かなかったですし。
(ボソッ 普通は何度も倒れるんですけどね。そこで一旦お休みがはいるんですが・・・)
それでは、私も今日は少々出掛けるとします。
アツイ様、ゆっくりお身体お休め下さいね。では」
パタン
ルーバが部屋から出ていった。
「やったああああ!休みだあああ」
これまで1日足りとも鍛錬を欠かすことは無かった。
ルーバも常に傍を離れる事がなかった。
普通は身体を休める日を入れないと筋肉疲労になりそうなものだが
ルーバが毎日マッサージをするおかげか疲労感は無かった。
あのマッサージ、マジで気持ちいいもんなあ。
初めはキモいとか思ってたけど、
慣れてくると鍛錬後は早くして欲しくて率先して風呂場へ向かってたわー
頭から足まで1時間かけてのマッサージ。
前世ならセレブ御用達の高級サロンで1回数万円するレベルじゃねーか?
そんなとこ一度も行った事ないから本当にそうなんかよーわからんが。
まあ、そう思えばあれをしてもらうために鍛錬してたようなもんだな。
そして何より、ルーバが触れたとこはモヤが無くなるんだよーー
あれはちょっとびっくりしたけど触ってる部位だけなんで
自分の顔見たくても、ルーバの手が邪魔で結局見れんかったなーハハハ、はあー
鏡まで用意したのに。クソッ
まあ、そんなこんなで最後はいつも寝落ちする。
朝起きるとベッドの上で、身体も綺麗になってて気分は爽快だ。
疲労感とか全く無いんだよなー
あんなに毎日勉強、鍛錬の繰り返しなのに。
ただ、身体は元気だけど、だんだん精神がすり減ってきてる気がする。
そしてまた地獄の1日の始まりになるんだが、今日は休みだ!!
ゆっくりしたいとこだけど、
せっかくだし、ルーバが居ちゃ出来ないことをしなきゃな。
うーん、改めて思うと日本で生きてたときは
ゲーム、アニメ、映画やドラマ、ほんと毎日飽きないくらい遊ぶ物や鑑賞する物が溢れかえってたよなー
外行きゃ遊ぶ所もいっぱいあるし、
食べ物も飲み物も金さえありゃあ何でも食える。
ネットワークも整ってて、世界中で情報を共有出来るってめちゃくちゃ凄い事だよなー
異世界転生してラッキーって思ってたけど、
俺ここ来て遊びって田舎のガキの遊びしかしてないわー。
あとはルーバが来てからずっと鍛錬させられてたから遊びってしてないよな。
唯一楽しめるのがマッサージって!
マジか!おれ!終わってないか?これ!
結局、日本の俺って受け身だったんだよ。
与えられる物に慣れちゃって、自分から何か挑戦することって無かったなー
うーん、よし!
とりあえず、外出よう!
家ん中にいてもつまらんし。
出る事は決まったが、モヤってるからどう身体を隠そうかな。
あ、ルーバがくれたマントがあるわ。
家の使用人が俺に出会う度に驚くんで、ルーバが
「このマントを使ってみて下さい。恐らくモヤはマントの外までは出て来ません。
使用人にも驚かれることはないでしょう。」
ってくれた奴。
ハハ、今まで一回も着てないわ。ごめんルーバ。
家ん中でマントって。俺的に無かった。
おー着てみたら中々いい感じ。口元もマントの布で隠せるんだな。
OKOK
全身映る鏡で確認!
うんモヤって無いわ!
ん?目の所は布がないからうっすらモヤってるけど、なんか光ってる?
おおおお!これ俺の目?マジ?金色なんだけどーーーー!
笑えるーー!!すっげーマジ異世界!
金色の目って映画の中でしか見た事ねーわ!
あはははは!
よし!テンション上がった所でいざしゅっぱーつ!
と、玄関出た所で思い出した。
俺ん家、公爵家だったわ。
玄関から門まで結構な距離。んで門番ね。
いや!俺は後継者だし!公爵令息なんやから
外へ出る!って押し通せば行けっだろ。
この2年間の鍛錬で7歳だろうが、門まで軽く行けるとして
問題は門番だよなー
俺ってわかるかな?
実践あるのみ!
タッタッタッタッタッ
バタバタバタバタ
ドタドタドタドタ
ん?なんか俺の足音じゃ無い音がする?
振り返ると男の使用人と、いつも世話してる下女が走って付いてきてる!
何?何?俺見張られてたの?
げ、気付かんかった。
あー知らん知らん。
俺は外へ出るぞー!
「はぁはぁ、なんで7歳なのにあんなに速いのよー!」
「はぁはぁ、君はずっと見てきてたんだろー?
君がわからなければ、私らにはわからないよー!
私はたまたま今日が令息様の当番だっただけなんだしー」
「そんな事言われてもー!そりゃ毎日見てますけど、遠い所から見てるだけだし、
モヤが移動してるだけなんで速いも何もわかったもんじゃないわよ!」
「ハハハ、そりゃそうか。今日に当番当たるなんて、本当についてない。」
「は!坊ちゃん、門に向かってません?今日はルーバ様 お出掛けします。って出て行きましたから、追いかけて行くのかしら!」
「いやいや、恋する乙女じゃあるまいし。7歳の男の子の考える事といったら
恐らく ルーバ様の居ない隙に遊びたくろうーとかじゃ無いですか?」
「ええ?そんなー!でも外に出るなら護衛が必要ですよ?
門で門番に止められるでしょうから、あなた近衛兵を呼んで来て!
もう!本来ならルーバ様が家庭教師兼専属護衛騎士なのにー!
坊ちゃん置いて何勝手に出掛けちゃってるんですかあー!
これも王様に報告案件です!!」
「わかりました。近衛呼んで来ますので、それまで外に出ないようになんとか引き止めておいて下さい。」
「ええ。急いでね!」
ふんふんふーん。
やっぱ鍛えてるから身体軽いわー
おっ門と門番はっけーん。
「おーい!」
「!!! え?、お?」
キョロキョロ
「ここ!ここ!下見ろー!」
「え!門の内側!?」
なんだ?なぜこんな子供がいる?
庭師の子供にしては、立派なマント着てるよな。
お客様も来たような申し送りは無かったし。
誰だ?
ふと屋敷の方に顔を向けると、女が手をバッテンにしながらこちらへ走ってきているのが見えた。
あれはー
と目を凝らし顔を確認して思い当たった。
あれは公爵令息様のお世話をするため、王から直々に送り込まれた女だ。
ということは・・・
敬礼!!
「はっ!! 警備は万全であります!不審な者は来ておりません!!」
おっ、俺が分かったみたいだ。良かった。
「うん。警備ご苦労様。」
「はっ!」
「あー俺、外に出たいんだけど、出れるよね。」
「はっ!! あ、いえ、少々お待ちいただけますか?
事情がわかる者がこちらへ向かっておるようですので。
あと、令息様。恐らくおひとりでの外出は難しいかと。
護衛がおりませんので、それもあー」
パッカパッカと馬の蹄の音が聞こえてきた。
「もうすぐそれも解決するかと。」
ヒヒーン、ブルブルっ
「公爵令息様!」
「坊っちゃま!」
俺を呼ぶ声がカブった。
「あーー。コホン。」
「俺、外、出たい」
大きな声でわかるように一言一言区切って言った。
馬から降りた男と下女が顔を見合わせ、
男が言った。
「ええ。構いませんとも。
ただし、おひとりでの外出は流石に危のうございますので
私めがお供いたしましょう。」
「はああーー仕方ありませんわ。では、グレイ様、よろしくお願い致します。」
「おお。承った。では公爵令息様、馬に乗って外へ出ましょう。」
とグレイっていう人が手を差し出してきた。
おおおー馬だ!乗るの初めて!やったあー!
とその前に。
「グレイって呼んでいいか?俺のことはアツイって呼んでくれ。」
いつまでも公爵令息様って呼ばれるのきっついわー
「ははっ、ありがたき幸せ!では、僭越ながらお名前を呼ばせていただきます。アー、コホン。アツイ様」
なんか大の大人が子供の名前呼ぶだけで照れるって、
やっばーおもろー
「じゃあ、馬に乗ってしゅっぱーつ!!」




