24話 ライバル
そして次の日、僕達の関係が大きく変わる出来事があった。いつも通り、登校して一時間目の休み時間にそれは起きた。
「赤城、ちょっと良いか?」
御影君が僕に話しかけてきたのだ。最近は偶にチラッと見られるくらいで何も無かったので僕はビックリした。
「う、うん」
僕が返事してチラッとクラスを見ると、龍之介と柏木さんが僕達を不安そうな顔でこちらを見ている。そして永井さんは案の定こちらに歩いてきていた。
「達也、赤城君に……」
「分かってるって。嫌がらせなんてしねえよ」
「永井さん、大丈夫だよ。御影君はそんな人じゃない」
僕からもそう伝えると「赤城君が良いなら……」と引いてくれた。以前のように教室の外へ出て廊下で話し始める。
「……、でお前達まだ付き合ってないんだって?」
「僕達が付き合える訳ないよ」
「ふ〜ん」
御影君は窓の外へ顔を出して空を見上げている。何か言いたいことがあるんだろう。
「……だったら、俺が明日香の事を狙っても良いのか?」
「え……」
御影君が永井さんの事を好きなのは周知の事実であったが、この宣言は本気で永井さんを彼女にしたいという意思表示であろう。正直な事を言えば嫌だ。御影君が本気で付き合いたいと思えば永井さんと付き合ってしまうと思う。ただ……。
「……、僕にそれを邪魔する権利は無いよ……」
僕と永井さんは付き合っている訳じゃない。御影君の想いを否定することなんか出来ない。
「いや、そうじゃねえよ」
御影君は僕の正面に立って真っ直ぐ僕の目を見ていた。
「万が一にも俺と明日香が付き合って良いのかって事だ」
「……それは……」
嫌だ。そんな物は見たくない。だけど自分の好きな人が別の人と付き合っているなんて事は珍しい事じゃない。
「僕が嫌だと言っても御影君はその気持ちを抑えるべきじゃない……」
「……、お前ってやっぱりお人好しなんだな」
御影君はクスッと笑う。僕もそれにつられて笑ってしまう。そして御影君は僕に握手を求める。
「大分、差をつけられているみたいだけど俺達ライバルって事みたいだな」
「……、勝ち目は薄いかもしれないけど僕も負けないよ」
そう言うと何故か御影君は怪訝な顔をしている。え、この雰囲気でなんでそんな表情になるの?
という訳でお近付きの印という事で連絡先を交換する。メッセージアプリでお互い登録し合った。そして御影君はトイレに行くと言って去ってしまう。
僕は一人で教室に戻る。教室に入った瞬間肩をがっと掴まれる。
「何の話してたの?」
「な、永井さん、今の話聞いてた?」
「聞いてないけど仲良さそうにしてるな〜とは思った」
どうやら永井さんは僕達のやり取りを見ていたらしい。内容がないようなだけに恥ずかしいな。
「な、内容はちょっと。男同士の話だから」
「なにそれ、エッチな話?」
決してそんな話題ではないのだけど誤魔化すためにはその流れにしておいたほうが良いかと脳内で考える。
「そ、そんな感じかな?」
「うえ〜」
永井さんが嫌そうな顔をする。いやまあ白昼堂々そんな話をしていたとなれば引かれるか……。僕はため息を付きながら席に戻る。
「……、僕のものだくらい言ってくれても良いじゃん……」
永井さんが何か独り言を言っているみたいだがよく聞こえなかった。そうして自分の席に戻ると龍之介が立っていた。今度はなんだ。
「ふっ、虐められたお前を慰めてやろうと思ってな」
「大丈夫だから席戻って良いよ」
「最近、お前俺に冷たくない?優しくしてくれよ」
何だ僕が龍之介に優しくしなきゃいけないんだ。僕はそんな事を思いながら呆れた顔をする。
「で真面目な話、何の話だったんだ?」
「……、龍之介が心配するような事は無いよ」
まあ龍之介の事だ。虐めは冗談にしても心配してきてくれた事くらいは分かる。だがなにか嫌なことを言われた訳じゃない。そりゃ内容は僕にとっては面白くない事ではなるが御影君の正直な気持ちを聞けた事は嫌なことではない。
「まあお前がそう言うなら良いけどよ。何かあれば俺に言え。格ゲーなら俺は強い」
「……、いや格ゲー強くても実技が強くなきゃ意味ないよね?」
そんな冗談を言った後、龍之介は自分の席へと戻っていく。全く永井さんも龍之介も心配しすぎだ。
その後の授業中、何故か永井さんがチラチラ僕の事を見ている事が増えた。何故だ。僕って何か悪いことしたか?と考えてしまい授業に全然集中出来なかったのである。
もしよろしければブクマや☆、いいね、感想いただけると幸いです




