23話 僕のことを好きな人
そんなこんなで昼休みが終わりそうになったので僕と龍之介はトイレに行こうと廊下に出る。
「やってくれたな……」
先程まで苦笑いをしながら会話をし続けていた龍之介が僕の事を睨んでいる。
「何が?」
「俺が何故あの輪に入って楽しく昼食を取らねばいかんのだ!?」
楽しかったなら良いじゃんと思ったが、流れで一緒に昼食を撮ることになってしまったのは確かなので黙って聞く。
「男友達さえお前しかいないというのに女子と一緒にランチなど……。人間ランクが上がってしまった……」
人間ランクというものが何かは知らないが良いことばかりなら良いじゃんと思ってしまう。
「僕だけ楽しい思いをして龍之介に一人でご飯なんて食べさせらないよ」
「……、え、何お前俺も惚れさせようとしてるの?」
俺もって何?僕に惚れてる人すらいないんですけど。そんな馬鹿話をしてトイレに行ったら昼休みも終わってしまった。
そうして放課後、僕は何故か体育館に立っている。何故?
「という事で時々、赤城君が女子バスケ部のお手伝いをしてもらえることになりました。拍手」
部員達が僕を見て笑顔で拍手をしている。何故、こんな事に……。時は二十分ほど前、永井さんから「体育館来てね。動ける格好で」と言われてノコノコ来てしまったからだ。
「な、永井さん!?確かに手伝うって言ったけども」
何か事務的な事とか手伝うって言ったけど部活の手伝いってマネージャーと変わらなくないかな?
「やってくれないの?」
可愛く首を傾げる永井さん、止めてください。断ることが出来ないです。
「赤城君って尻に敷かれるタイプだね」
「まあ、キャプテン姉さん女房って感じもんね」
おかげで他の部員から散々な言われようである。何度も言うようだが僕達は付き合ってなどいない。
その後、練習が始まり取り敢えずボール拾いから始めることにする。それが以外にも滅茶苦茶大変だった。縦横無尽に行き来するボール。それが何個もあって戻すのに一苦労だ。
「バスケットボールって大きいし重いんだよな」
バスケットボールは数ある球技の中でも重いボールを使用しているので運動をしてこなかった自分にとっては結構ハードだった。中で練習しているみんなより疲れているのではないだろうか。
そのせいで部員達が気を使ってボール拾いを手伝ってくれる始末であった。そうこうしているうちに二時間以上たっていたようで今日の練習は終わりの時間になった。
「助けるどころか迷惑をかけてしまった……」
片付けが終わった後、永井さんの着替えを待つため体育館の入口で座って待ちながら一人反省会をする。すると他の部員達がゾロゾロ体育館から出てくる。
「あっ、赤城君。今日はありがとね〜」
「いや、全然力になれなくてごめん……」
女子部員達が不思議そうな顔をしながら帰っていく。過ぎた後、「あの後、デートかなあ。キャプテン良いな〜」と話しているのが聞こえたが否定する余裕さえない。
「お疲れ〜。あれっ、元気ないね」
しばらくしたら最後に永井さんが来て僕の肩を叩く。凹んでいる僕を見て心配そうに覗き込む。
「手伝いを買ってでたのに情けないなと思ってさ……」
「そんな事あるわけないじゃん」
永井さんはそう言いながら僕の背中を叩く。永井さんは自分のパワーを分かっていないのか滅茶苦茶痛い。背中に紅葉マークが出来ている事だろう。
「部員達だってもう赤城君の事、同じ女子バスケ部員だと思ってるよ」
「いや、それは違うんだけど!?」
あくまでボランティア的な何かって言ってるよね?
「グチグチ言ってると女の子にモテないよ?」
「いや、モテた事無いから大丈夫だよ……」
人生で彼女が出来たこと、出来そうになったことがない。まだ高校生だしこれからだし!!
「いや、でも赤城君がモテたらムカつくしやっぱ良いか……」
「なんで僕がモテたらムカつくのさ……」
僕がモテたらムカつくって酷いよ……。そりゃ無謀な願いかもしれないけど。それこそ永井さんが彼女になったら嬉しいけど、高望みだしなあ。
「大丈夫大丈夫。可愛い彼女できるよ。案外良い子が身近にいるかもよ?」
「え〜、僕のことを好きになってくれる女の子なんていないよ」
僕がそう答えると永井さんは何故か不機嫌になって僕のことを睨む。何か悪いこと言っただろうか。ふと永井さんからいい匂いがする。柑橘系の匂いだろうか。
「永井さんからいい匂いする……」
「えっ!?エッチ……」
「ええっ!?」
永井さんの体臭が良いとかそういう意味ではないです!!僕は必死に弁明を繰り返した。
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