22話 龍之介参戦?
その後、朝のホームルームが終わり僕は龍之介と一緒に何故か廊下に出ていた。
「お前、俺の遠い世界に行っちまったみたいだな……」
「……、そんな話をするためにわざわざ廊下まで出たの?」
窓の外を見て黄昏れている龍之介にあえてツッコミを入れる。「ここでは話せない」などと言って廊下に連れ出されたのだ。僕が黄昏れたいくらいなんだけど。
「朝からお前を取り合う三人の女子達。俺がアニメで見てきた世界だ……」
「下らない話なら戻って良い?」
僕はくるっと回って教室へ戻ろうとする。すると何故か僕の肩を龍之介が抑えて止めている。
「待て。教室へ戻ったら永井さんがお前の元に来るだろ。そうしたら俺はボッチだ」
「ごめん。思った以上にしょうもない理由だった……」
女子と話せないからって僕をわざわざ廊下に呼び出したの情けなさ過ぎるだろう。
「ふん。そんな事言って良いのか?お前だって男友達は俺だけだろう?」
「……」
それはその通りだ。ここで龍之介という友達を失うと二人共辛いのだ。自分だって嫌なくせに自分自身を囮にしてるのかよ。
「で何処までいったんだ?ギャルゲーマスターの俺に相談してみろ」
「……」
現実の女子と目すら合わすのが怪しい奴が何か言ってるな。まあ、アシストもしてもらったことだし少し話すか。
「別に特に無いよ。永井さんが大変そうだからちょっと手伝う事になりそうってくらい」
「いや俺が聞きたいのはそんな話じゃない。付き合えそうなのかってことだ」
「まさか。永井さんは僕の事をそんな目で見てないよ」
僕は窓から青空を眺める。太陽が永井さんなら僕はその辺のぺんぺん草程度だろう。
「どうだかな。お前ラブコメ主人公みたいな鈍感さだからな」
「うるさいな〜」
そんな事を話しているとチャイムが鳴った。もう一時間目が始まる時間か。貴重な時間を潰されてしまう。僕達二人は慌てて教室へ入る。すると永井さんとチラッと目が合った……ような気がした。
そして授業は進み、四時間目が終わって昼休みの時間になった。龍之介は教室の外へ出ようとしていたので慌てて止める。
「龍之介、何処行くのさ」
「いや、俺ボッチになるから校舎裏まで行くんだよ。あそこなら誰もいない」
僕の為にわざわざ校舎裏まで行っていたのか。流石に可愛そうだし龍之介と食べるか。
「……、今日は龍之介と食べるから教室に残りなよ」
「いや、お前は永井さんと距離を縮めなきゃだろう。俺の事は大丈夫だ。ぼっちなら慣れてる」
カッコつけたみたいだけどその宣言、悲しすぎるだろ。余計に行かせられんわ。
「いや、永井さんに断ってくるから待ってて」
「いや、お前……」
龍之介の返事を聞く前に永井さんに話に行こう。永井さんの事は好きだが友達の龍之介だって大事にしたい。
「永井さん、ちょっと良い?」
「あれ、赤城君。ご飯食べないの?」
弁当箱を持ってきていない僕が不思議だったのか尋ねられる。
「いや、今日は龍之介と食べようと思うから今日はこっち止めとくよ」
「太田君もこっち来れば良くない?」
それはそうなんですけども。アイツ、女子が苦手なんですよと素直に教えるしか無いかなと考える。
「あ、赤城、俺の事は良いから……」
追いついてきた龍之介が僕の肩を叩いて断ろうとしてくる。
「あっ、太田君も一緒に食べようよ」
「は、はひっ、食べますぅ」
「え?」
龍之介、急に永井さんから話しかけられてテンパって肯定しちゃったよ。大丈夫か?僕が不安そうな顔で龍之介を見るとサムズアップしてきた。そういう事なら任せるからな。
こうして僕、龍之介、永井さん、柏木さんの四人で机をくっつけて昼ご飯となった。
「あれ〜、太田君。珍しいね〜」
柏木さんが龍之介を見るなり不思議がって話しかける。
「は、はいっ。いつも校舎裏で食べているであります!!」
緊張しすぎてケ◯ロ軍曹みたいになってるぞ。
「え、何でわざわざそんな所まで?」
「ひ、一人が落ち着く場所だからです」
と龍之介は緊張しながらも何とか返事をしていた。無理をさせるべきではないと思っていたが龍之介も女子と会話するのも今後の人生を考えると必要な事かもしれないな。
「ねえねえ」
「ん?どうしたの?」
永井さんは僕を呼ぶ。何かあったのかな。
「太田君、もしかして迷惑だった?」
「う〜ん。まあでも今柏木さんと話してるし悪いことばかりじゃないのかも」
柏木さんと龍之介は何故か会話が盛り上がっている。龍之介が緊張しすぎておかしな言動なのが柏木さんのツボなのか笑っている。
「それなら良かった。太田君とも仲良くなりたいな〜と思ったから」
……、それってどういう意味ですかね。まさか龍之介に興味があったりとかですか?僕は何故かもやっとした感情が自分にあることに気付いた。
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