17話 二人の事が気になる部員達
その後、対戦相手の高校は先に帰り、白雲高校女子バスケ部の人達は試合後にストレッチなどをしている。僕はどうすればいいか分からず体育館の端に座る。
「あの〜、赤城……先輩ですよね?」
「はい?」
先程の試合でブザービーターを決めた実香さんが僕に話しかけてきた。一体何の用だろうか。
「私、一年の榊実香って言います。キャプテンにはいつもお世話になってます」
「あ、ああ。よろしく。僕は二年の赤城遼って言います」
何で僕に対して永井さんにお世話になってると挨拶をしているのかよく分からない。
「そ、それで赤木先輩はキャプテンの彼氏なんですよね?」
「違いますけど!?」
もしかして部員達、みんな同じ勘違いをしているのではなかろか。ていうか永井さんが見当たらないな。なるほど、それで僕に話しかけてきたのか。
「えっ、そうなんですか?キャプテンが彼氏紹介してきてみんな驚いてたのに」
差し入れ持ってきた時に紹介されたのがすっかり彼氏紹介だと思われてるじゃん……。
「そんな訳無いよ。永井さんは僕の事をそういう目で見てないと思う」
「あっ、ふ〜ん。まだそういう感じなんですね」
何か分からないが榊さんの中で何か納得したようだ。そしてちらっと見えたが他の部員達がみんな僕達の事をチラチラ見ている。これ、榊さんが僕に話を聞きに行けって指示されたでしょ。
「じゃあ何で今日練習試合を見学に?」
「えっと、永井さんがスタメンで出るから是非見に来てって」
「きゃ〜。キャプテン可愛い〜」
何か榊さんが悶えだした。一体どうしたというのだろうか。
「えっと、お二人は何処まで進んでるんですか?デートとかはいったり?」
「一緒に出かけただけでデートではないかな」
「え〜、何処行ったんですか?」
「コラボカフェとかゲーセンとかかな」
「……、すいません。それはデートでは?」
僕と榊さんはお互い顔を見合って首を傾げる。そんな事をしていたら榊さんの後ろに無言の永井さんが立っている。あ、これヤバいんじゃ。
「で一緒に行って手とか繋いだり?もしかしてキスとかも……」
「へ〜、実香。随分楽しそうなことしてるね」
榊さんは僕の顔を見ながらブルブル震えだした。多分、怖くて後ろ向けないのだろう。笑顔が引きつっている。
「い、いや〜、キャプテン。これはですね」
「私がいない間に勝手やってくれたね……」
「これは違うんです。他の皆から頼まれて」
そういった途端、後ろにいた部員達が「こら、私達も巻き添えにするんじゃない」と抗議している。
「え〜、明日の練習メニューを二倍の量にすることも検討しなきゃかな〜」
「キャプテン、それだけは御勘弁を。赤城先輩と勝手に話して申し訳御座いませんでした」
榊さんはくるっと永井さんの正面を向き、綺麗に四十五度のお辞儀をして謝罪しだした。部活の上下関係って怖いね。
「分かったらあっちでストレッチの続きやりなさい」
「失礼します!!」
榊さんはダッシュで他の部員達の元へ戻っていった。その後ろ姿を見ていた永井さんは「練習メニュー三倍でも良いか」と怖すぎる独り言を呟いていた。僕は聞いてない。
「ったく赤城君。ごめんね」
「ああ、全然気にしてないよ」
永井さんは謝ってくるが本当に気にしてないし構わない。ていうかそれよりも。
「あ〜、でも部活の皆、僕達が付き合ってると勘違いしている人もいるみたいだから訂正した方が良いかもね」
「……、私とじゃ嫌みたいじゃん……」
何故か永井さんが拗ねだした。いや、何で?僕と付き合ってると思われたた永井さんが嫌な目に合うんじゃないと思ったんだけど。
「い、嫌じゃないけど。僕じゃ彼氏としては見劣りするっていうか。ほら背が低いし」
何か自分で言ってて悲しくなってくる。今までの人生で陰キャとして生きてきた自分が悪いんだけどさ。
「私は彼氏の身長とか気にしないけど」
「えっ」
その言い方だと僕と付き合っても良いみたいに聞こえてきちゃうじゃん。勘違いしちゃうよ。ていうか僕達、二人で話している様子を部員全員がこちらを凝視している。滅茶苦茶恥ずかしいんだけど。
「そ、そう言ってもらえると嬉しいんだけどみんな見てるよ?」
「えっ!?あ、あんたらジロジロ見てるんじゃない!!」
永井さんは部員達の元へズンズン歩いていった。永井さんはいつもこの仲間達と一緒に部活をしているのか。今まで部活とは無縁に生きてきた僕にとってちょっと羨ましいなと思った。
「せんぱ〜い」
そんな事を考えていたら榊さんがまた僕の元へ来た。いや、全然こりてないじゃん。
「練習、また見に来てくださいね」
「えっ?」
「キャプテンのカッコいい所見れますし。あと私達にもお二人の話聞かせてくださいね!!」
「う、うん?」
練習を見に来るのは良いんだけどお二人の話って何話せばいいんだ。こうして何故か女バス部員達とも関わっていくことになってしまった。
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