18話 部活終わり
「じゃあ、今日はここまでみんな気を付けて帰って」
練習試合の後、ストレッチなどが終わり解散の時間となったみたいだ。何故か僕は永井さんから「もう少しで終わるから待ってて」と待機命令が下っているので体育館の隅で待っている。
「は〜、疲れた。あっ、赤城君じゃあね〜」
女バス部員の人達からすっかり名前を覚えられてしまいお別れの挨拶までされる具合だ。僕はバスケ部関係者じゃないんだけども。そして体育館を見ると、一部の部員達はボールや体育館の片付けをしている。その中には永井さんもいる。僕も手伝える所だけでも手伝おう。
「永井さ〜ん」
腕を上げて永井さんを呼ぶ。片付けをしていた部員から「きゃ〜」という黄色い歓声は無視する。
「どうしたの?もうちょっとだから待っててよ」
「いやいや、僕も片付け手伝おうと思って」
「いや、用具の場所とか知らないでしょ。大人しく待ってて」
ぐうの音も出ない正論だったがモップ掛けだけはと引き下がり、一年生達と一緒にモップ掛けをすることになった。
「何で赤城先輩まで掃除を?」
「黙って座っているのも何だし……」
「わ〜い。じゃあお願いしますね」
と言いながら榊さんは慣れているのかスイスイっとどんどん進んでいく。僕だけ一人モタモタしているので遅れている。
「これ、僕いらなかったんじゃ……」
大人しく座って待っておけば良かったと一瞬考えたが、部員達が試合で疲れているのに元気に掃除しているのを見て考え直す。みんなみたいには出来ないけどやろう。その後、十分後くらいには何とか片付けや掃除なども終わって全員帰れるようになった。
「はい。みんな片付けお疲れ。明日も練習だから寄り道なんてしないで体休めてね」
「え〜、キャプテン。この後、赤城先輩と一緒に帰るんですよね?」
「……、はい。じゃあ解散!!」
永井さん、滅茶苦茶誤魔化して無理やり終わらせたぞ。一年生達はそのまま帰るのか体育館を出ていった。
「じゃあ私、職員室に体育館の鍵返しに行くから校門で待ってて」
「分かった」
永井さんは体育館の鍵を閉めた後、職員室に向かうので校内に入っていった。僕は言われた通り校門で待つか。
一人で校門の前に向かうと、女バスの一年生、三人が立っていた。そのうちの一人は榊さんだ。
「あれっ、先輩。キャプテンと一緒じゃ?」
「職員室に行くから校門で待っててだって」
「え〜、校門前で待ち合わせって何か良いですね」
女子達は何故かキャーキャー盛り上がっている。身近の色恋沙汰だから見ていて楽しいのだろうか。ていうか僕達を見るためにわざわざ校門で待ち伏せしてたな。
「榊さん。さっきも言ったけど僕達付き合ってないから……」
「え〜、でも先輩。キャプテンの事好きですよね?」
「……、それはどうかな?」
思わず声が上ずってしまった。その様子を見て女子達は呆れている。
「バレバレですよ……。ほぼ付き合ってるみたいなもんじゃないですか。告白しないんですか?」
「いやいや告白しても振られるだけだよ」
女子達三人はマジかこいつみたいな顔で僕を見つめてくる。いや、そんな顔される憶えないんだけども。
「……、永井さんって御影君と仲良いから。ほら、男バスだから知ってるでしょ?」
「え〜、アイツ。キャプテンの事ゴリラとか言ってウザいんで嫌いです」
榊さんからしたら御影君先輩だろうに辛辣である。でも尊敬している先輩がゴリラって呼ばれて良い気持ちはしないよね。そこは完全に御影君が悪い。
「先輩はそんな事言わないですよね?」
「そりゃそんな事言わないけど。永井さん綺麗だし……」
そんな事を言ったら女子達はまた「素敵じゃないですか」と褒めてくれる。女子って色恋沙汰好きって聞いてたけどここまで興味を持つものなのか。
「赤城君、お待たせ〜。って何でアンタ達まだ残ってるの!!」
校門まで走ってきた永井さんが一年生達を見つけるなり怒り出す。まあすぐ帰って体休めろって言ってたもんね。
「キャプテン。お邪魔はしないです。お二人でごゆるりと……」
「実香、叱られる前にすぐ帰った方が良いよ」
永井さんが凄みを出した途端、一年生三人は走って帰ってしまう。永井さん、部活だとやっぱり怖いんだろうな。
「はあ。じゃあ私達も帰ろっか」
「う、うん」
そして僕達二人は並んで帰る。ジャージ姿の永井さんも新鮮で良いよな。
「はあ、あの子達のせいで怒ってる姿ばかり見せちゃった」
「いやいやキャプテンなんて立派だよ」
僕には部活のキャプテンなんて出来そうにない。自分の面倒すらまともに見れないのに。
「うう、試合でカッコイイ姿を見せようと思っただけなのに……」
なんか永井さん落ち込んでる。
「いや、今日の永井さん見れてよかったよ。滅茶苦茶輝いて見えたもん」
僕がそう言うと永井さんはそっぽを向いてしまう。何か心無しか顔が赤い気がするのは気の所為かな?
もしよろしければブクマや☆、いいね、感想いただけると幸いです




