13話 君に見せたい姿
その後、僕達はゲーセンを出て近くの喫茶店に行くことになった。
「いや〜、楽しかったね」
永井さんはテーブルに先程のプリクラを並べている。恥ずかしいから止めて欲しい。ちなみに僕の分と言って切ったプリクラを渡されている。誰かに見せるつもりもないし、記念に机に飾っておこうかな。そんな事を考えながら、僕はアイスコーヒーを手に取る。
「これお互い、スマホにでも貼る?」
「ブッ!!」
いきなり言われた言葉に驚いて口に含んでいたコーヒーを吹き出しそうになったが何とか出さずに耐えた。
「え、私変な事言った?」
友達で撮ったプリクラを貼るのは普通だと言うがそれは同性同士の話であって異性でやる人達はカップルでしょうに。
「そんな事したら勘違いする人出ちゃうって」
「勘違いって?」
永井さんはニヤニヤと僕の反応を待って楽しんでいる。くっ、陰キャを誂って楽しいのか!?
「……、まあいいや」
「え〜、気になるから言ってよ〜」
僕はそっぽを向いて無視をする。永井さんは何故か僕のほっぺをぷにぷに触りながらイジってくる。ええい、童貞を弄んでどうする気なんだ。
「永井さんは男子とこういう事するの慣れてるかもしれないけど、僕はそうじゃないのでからかうの止めて欲しいです!!」
「ちょ、ちょっと私がまるで男慣れしてるみたいじゃん。訂正して!!」
男慣れというと少し言葉が悪いように聞こえるが僕より異性との関わりに慣れているのは確かでしょうに。
「私だって男子と二人で出かけるなんて初めてなんだから」
「えっ、そうなの?」
永井さんはしまったという表情をしている。言うつもりは無かったのだろう。
「僕はてっきり……」
「てっきり何?私は男と遊んでるだろうって?」
「そ、そういう事じゃなくて。永井さんだったら彼氏がいてもおかしくないと思って」
永井さんは明るくて美人だし絶対モテる。彼氏がいてもおかしくない。
「彼氏がいたら赤城くんと二人で出かけたりしないって」
「いや、今じゃなくても以前いたりとか……」
「いた事ありませんけど」
永井さんはツーンと腕を組んで拗ねてしまった。彼女を貶める気は全く無かったが勘違いさせてしまっただろう。
「違うんだ。永井さんて美人だから絶対モテるだろうなって」
「……、そういう事なら許すけど」
永井さんは機嫌を直したのか、アイスコーヒーを飲んで落ち着いた。
「でも私、言うほどモテないよ?背高いしガッチリしてるからかなあ」
永井さんは確かに平均よりかなり大きい。具体的な身長は分からないが絶対百七十センチより大きい。僕が小さいのもあって身長には差がある。
「でもモデル体型みたいでカッコいいと思うんだけどなあ」
「ほ、褒めてくれるのは嬉しいけど。THE女の子って感じの子に憧れてるの!!」
なるほど、隣の芝は青く見えるということなのだろう。カッコいい永井さんにとっては女の子らしい子に憧れてるみたいだ。
「それこそ凛は可愛いじゃん。細くて守ってあげたくなる感じ良いなあと思っちゃう」
柏木さんは少し小柄で永井さんの言う通り、細くて可愛らしい女子という感じである。僕からしたら二人共美人だという感想なのだが永井さんからしたらそうではないみたいだ。
「そうかもしれないけど、永井さんだって可愛いじゃん」
「〜〜、もうそんなに褒めた無くて良いから!!」
永井さんは顔を赤くしている。あんまり褒めないほうが良いのか。まああんまり言いすぎると信憑性無くなりそうだしね。
「分かった。じゃあちょっと控えるようにするよ」
「えっ?」
今度は不思議そうな顔をしだした。あれ、僕言う通りにするって言っただけだよな。
「……、やっぱりさっきの無し」
「ん?」
僕はアイスコーヒーを飲みながら永井さんの言葉を聞き返す。
「だ・か・ら、さっきの無しって言ってるの!!」
「もしかして褒めなくて良いって言ったこと?」
永井さんは何故かモジモジしている。
「赤城君に褒められるの嬉しい……から、もっと言って」
「わ、分かった」
照れながら言われると何か僕までドキドキしてきたな。まあ深い意味なんて無いんだろうけど。勘違いするな僕。
「よし、今週の練習試合絶対勝つから」
「ああ、言ってたやつね」
練習試合にスタメンで出るから応援に来て欲しいって言われてるんだよね。永井さんのカッコいい所見たいから楽しみである。
「私のもっと凄い所、赤城君に見て欲しいから」
「う、うん」
さっきからドキドキさせるようなこと言ってるけど深い意味は無い……、んだよね?
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