12話 プリクラで急接近
ゲーセンでのスキルがこんな所で役に立つとは思わなかった。おかげで永井さんが嬉しそうだ。
「大事にするね」
先程から大きいぬいぐるみをぎゅっと抱きしめている永井さん可愛い。この光景を見れただけでも取った甲斐があるというものだ。
「あっ、そういえばプリクラを撮りに来たんだよね」
「そういえばそうでした……」
プリクラの前を通っただけで女子高生に睨まれた事あってあまり良い印象ないんだよな。
「大丈夫大丈夫。ぬいぐるみ貰ったしお金は私が出すから!!」
「いや、お金の問題では……って」
僕が言い終える前に永井さんはプリクラコーナーに向かってしまう。
「男だけだと入れないんだからちょっと待ってよ」
「あっ、そっか」
永井さんはターンをして僕の方まで戻ってきた。そして何故か僕の手を取った。
「え!?」
「これで私達が連れだって分かるでしょ」
いや、一緒に行くだけで良いのに何故かわざわざ手を繋ぐ必要は無い……とは言えず黙って引っ張られる。
そしてよく分からないままプリクラの台の中に二人で入る。中は思ったより狭く僕と永井さんの距離が近い。そのせいでドキドキしてしまう。
「じゃあさっさとやってこ〜」
永井さんはお金を入れて何か設定をしている。僕は全くわからないので大人しく待機をしている。
「よし、始まるよ〜」
「えっ」
ボケっと立っていたので慌ててしまう。ひとまず鞄はカゴに乗せておくか。
「準備はい〜い?じゃあ、はっじめるよ〜」
「うわっ、プリクラが喋った」
「ふふ……」
いきなり喋りだしたプリクラにビックリしていると永井さんに笑われた。滅茶苦茶恥ずかしい。
「まずはピース!!」
画面を見るとお手本として様々なピースのお手本と自分達が写った姿が写っている。永井さんを見ると顎を隠すようにピースをしている。よく分からんので僕は普通に顔の横でピースをした。
「お次は動物のポーズ!!」
動物って何だよと思って、再び永井さんを見ると猫の手招きポーズをしている。それ可愛いけど僕がやったらテロだな。
「動物ってどうすればいいんだ……」
「困ったら何でも良いんじゃない?てかもうちょっと近付きなよ」
僕があたふたしている様子を見て永井さんがアドバイスをしてくれる。あとこれ以上近付いたら余計緊張してしまうので厳しいです。仕方がないので先程と同じピースをした。
「お次はぶりっこポーズ!!」
終わった……。これ女子で撮ることしか考えてないから男がやるポーズじゃないじゃん。僕はプリクラの天井を見つめてたそがれる。
「だから何でも良いって。ていうかもう近付きなさい!!」
永井さんに無理やり引っ張られて永井さんのすぐ傍まで連れてこられる。僕のすぐ横に永井さんの顔があって顔が熱くなるのを感じる。
「あばばば……」
「はい、チーズ!!」
僕が永井さんを見てビックリしている間に写真を撮られたみたいだ。ポーズを取っている永井さんと横を向いてる僕が画面に写る。
「ちょっと何やってるの?」
「大変申し訳御座いません」
「いや、謝らなくて良いよ……」
永井さんに呆れられる。うう、プリクラすら満足に出来ないなんて僕は駄目な人間だ。
「最後にハートマークを作ってね〜」
機械からハートマークのポーズをしてと指示が出る。僕は例のごとく永井さんを見る。すると永井さんは片手でハートマークの半分を作っていた。えっとこれは?
「赤城君も早く反対側のハートやって!!」
「ええっ、そんな!!」
僕と永井さんの手を合わせてハートマークを作るなんて恥ずかしすぎるんだけども。
「早く!!時間無いから!!」
「承知いたしました」
永井さんに怒られて大人しく永井さんのマネをしてハートマークの半分を手で作る。
「ちょっと手をくっつけてよ。今のままじゃ割れたハートマークじゃん」
「それはそうだね……」
僕は恐る恐る永井さんの手まで合わせる。僕達の手が合わさってハートマークが出来た瞬間、シャッター音がした。
「お疲れ様〜。じゃあ撮った写真を好きに加工してね!!」
「は〜」
僕は終わった安堵からヘロヘロと崩れ落ちる。永井さんはルンルンで画面の前に立ちタッチペンで写真を加工しているらしい。
「お疲れ〜。どうだった?」
「いや、訳が分からず……、迷惑かけちゃって」
「いや、プリクラに迷惑も何も無いでしょ」
永井さんは操作をしながら笑っている。話しながら作業して器用だな……。しばらくしたら「終わった〜」と永井さんが言うのでチラッと画面を見る。
「え、この二人誰?」
画面にはビックリするくらい目が大きく肌が真っ白な人間が二人立っている。
「良いの!!プリクラってこういうものだから」
「さいですか……」
最初から最後までプリクラというものが理解できなかった。
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