10話 永井さんと御影君
僕は御影君の真意を測りかねている。だが僕が言うべきことは一緒だ。
「僕と永井さんは友達だから大丈夫。心配してくれてありがとう」
僕がそう答えた瞬間、御影君の顔がピクッと動いた気がしたがすぐ笑顔になった。
「そっか、だがあのゴリラと友達だなんてお前も変わってるな」
「……、永井さんはゴリラなんかじゃない……と思うよ」
余計な事は言わないほうが良い。だが僕は自分の好きな人がゴリラと呼ばれているのが思っていたより苛ついていたのかもしれない。
「は?」
「も、勿論。御影君と永井さんが仲良いから冗談だっていうのは分かるんだけどさ。ほら永井さんも女子だからどうなのかな〜と」
御影君に凄まれて言い訳がこぼれてしまう。僕は所詮陰キャなのだ。
「……、確かに赤城の言う事も一理あるな」
「はは……」
「まあ、俺の心配は無用ってことだな。悪かったな」
「ああ、うん。心配してくれてありがとう」
御影君は恐らく口答えをした僕のことを許してはいないだろう。だが下手にブチギレるのもおいしくないと感じたからか引いてくれた。そして御影君は自分の席に戻っていった。するとすぐ永井さんが僕の元まで来た。
「何か変な事言われなかった?」
「ああ、全然大丈夫。ただの雑談だよ」
流石に先程の内容を永井さんに聞かせないほうが良いだろう。永井さんがまた怒り狂ってしまう危険性がある。
「……、何かあったら絶対言うんだよ。私が達也を血祭りにあげるから」
永井さんも察して引いてくれるみたいで自分の席に戻っていった。そしたら矢継ぎ早に龍之介まで来た。
「おいおい、お前よく行きて帰ってこれたな?」
「会話しただけでそんな簡単に人が死ぬか」
比喩だということは分かっているが大げさ過ぎるのでツッコむ。龍之介は大丈夫だからと言ってさっさと自分の席に返す。まあ心配してくれてありがとうと心の中で感謝をする。
そして時は経ち放課後、あんな事があって精神的に疲れたので今日はさっさと帰るか。
「赤城く〜ん」
鞄を持った瞬間、永井さんが笑顔でこちらに手を振りながら近付いてくる。どうしたんだろう。
「一緒に帰ろう〜」
「え?」
僕と一緒に帰る?何か僕に用でもあるんだろうか。
「えって何。何か用でもあったの?」
「いや、無いけど。何で一緒に帰るのかと思って」
「?友達なんだから普通じゃない?」
そうか、陰キャの僕と違って永井さんは異性の友達と一緒に帰るなんて行動は普通の事なのか。
「部活は休み?」
「週に二回ある。休みの日〜」
永井さんはニコニコ嬉しそうだ。
「ふっふっふ、何処か寄ろうよ。奢ってあげようではないか」
ふふんと腕を組んで胸を張っている。僕は胸を見ないように目線を逸らす。
逸らした先で龍之介が目に入る。僕を誘おうと思っていたのか悲しそうな顔をしている。当然永井さん優先なのでシカトをする。どうせ、永井さんいたら来ないだろうし。
「奢る必要は無いよ。じゃ行こうか」
「早くいこっ」
僕と永井さんは並んで教室の外へ出る。男女が並んで歩いていたら付き合っていると勘違いされたりしないだろうか。しないか、隣にいるの僕だし。
いつもの通学路を永井さんと歩く。見慣れた景色が全く違うものに感じられる。
「赤城君って部活入らないで普段何してるの?」
「えっ、普段は家で大人しくしてるよ。たまに龍之介とゲーセン行ったりするけど」
「へ〜、良いね。プリクラでも撮るの?」
男二人でプリクラ撮るわけ無いよね。ていうか男だけだと入れない所もあるし。
「いや……、メダルゲームとかロボットの対戦ゲームとか」
対戦ゲームをやっていると、龍之介がよく『相方あ!?』って叫ぶから一緒にやりたくないはないけども。
「プリクラ撮らないんだ。じゃあ今日一緒に行って撮ろうよ」
「な、なんだって?」
永井さんとプリクラ……。魅惑的な言葉にゴクッと唾を飲む。いや、待て永井さんが写ったプリクラは欲しいけど、自分の姿いらなくないか。
「男子と一緒にプリクラ撮るなんて青春ぼくて憧れてたんだよね〜」
永井さんはこういう所、結構乙女というか女子って感じだよね。ていうか御影君と一緒に出かけたりしないのかな。
「御影君といっsy……」
「は?」
「何でもないです」
まるで名前も聞きたくないといった渾身の「は?」がでました。というか何かあるんだろうな。もしかして元々付き合ってたとかでも不思議ではないし。
「気分良くなってるんだからあの馬鹿の話出さなくて良いじゃん」
「大変失礼致しました」
僕は頭を下げて平謝りをする。僕は永井さんと御影君の関係が気になった。
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