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赤さびの魔女【ナル・ラピスクロニクル】  作者: うめやす.
2章_魔女の姉妹弟子
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第二十二話 将来

共に住む

明るい未来

「行くよー、ナル」


「うん」

ナルは自然な動きでミナと手をつないだ


朝起きて二人はリンの訓練を受けるために組合の中庭に向かう

レストランに行って以来、ナルはことあるごとに手をつないでくるようになった


少しだけ、前より距離が近づいた気はする

ただ、他に特に変わった様子はなかった


中庭に着くとリンが立っていた

リンの横にはナルへの新たな贈り物が山積みになっていた


その多くはリックからのものだ

城でナルに会ってからというもの、毎日送りつけてきていた


「また、リックからナルへのプレゼント?」


リンはいつもの落ち着いた口調で言った

「よっぽどナルが欲しいようですね」

「わたくし宛にもナルと二人で会わせろと何度も手紙が来ています」

「そのたびにお断りしているのですけどね」


ナルが困った顔をした

「え~、なによそれ~」


ミナが呆れた顔で言う

「下手したら親子ほど歳が離れてるのに、しつこいね」


そしてふいにリンが二人に手帳を渡してきた

ナルが手帳を片手に言った

「なにこれ?」


「預金通帳です。二人の分を作っておきました」


「預けたお金を記録しとくやつ?なんでそんなものを?」


「あなたがたは宮廷魔術師の資格を得ました。毎月お手当が出ます」


「手当って…お金くれるの?」


「はい」


「えー!?ほんとに?でも、わたしたちは働いてないよ?宮廷魔術師ってなにをするの?」


「なにもしなくて良いのです」

「資格のようなものですから」

「有事の際に国へ協力する。それだけですよ」


ミナが言った

「つまり、今はお金だけ貰えるってこと?」


「そうです」


ナルが喜びの声をあげる

「えええ!すごい!ラッキーじゃん!これで遊んで暮らせるよ~」


ミナが少し笑って言った

「なにもしないでくれるんだから。大した金額じゃないって」


「月金貨10枚ですよ」


「10枚!?」

二人は顔を見合わせた

金貨十枚は、二人にとって息をのむほどの大金だった


ナルは両手あげて言った

「遊んで暮らせる〜。リックありがとう~」


ミナが確認する

「一年で120枚も貰えるってこと?」


「そうです、毎月その通帳の口座に振り込まれます」

「あなた方の魔力と同期してますから、銀行に行けば受け取れますよ」


「すごい…良かったねナル。なにに使うの?」


「え?貯金するよ」

「生活費はここにいれば掛からないし」


「そうなんだ、案外ナルって堅実なんだね」

ミナは少し意外だった

ナルなら大喜びであれこれ欲しいと言うと思っていた


「将来の資金だって必要なんだから、無駄遣いできないでしょ」


ミナが聞き返す

「将来の資金?」


ナルは当たり前のように言った

「ここを出たら二人で暮らさなきゃいけないでしょ?お金がないと困るじゃない」


「あぁ!そっか、そうだよね」

ミナは内心思った

あれ?ここを出たら二人で暮らすんだっけ?

まあ、その方が嬉しいけど…


ナルがそこまで先のことを考えていたことが意外だった

というか、ギルドに帰る気はないらしい


「あのお店、絶対高いもの。今のうちに二人で稼いでおこうよ!」


「あ、そういうこと」


そこでリンが会話に入ってくる

「魔法省に所属していれば、あのお店はずっと無料ですよ」


「ほんとに!?」

ナルが強く反応した


「ええ、またミナさんが連れて行ってくれますよ。わたくし達といれば楽しいでしょう」


「やったー!」

ナルは大喜びしている


ミナはため息を吐く

リンの見え見えの下心が伝わってきた


ミナはからかうように言った

「わたし以外になつかれたら心配だもんね~」


ナルがむっとした顔をして言う

「また、動物みたいに言わないでよ」


将来は二人で暮らす

美味しいものを食べて、旅行なんかもできたらいい


ナルとずっと一緒にいられる

そう思うと、ミナは嬉しかった


するとリンがため息をついてから言った

「明日、三人で出かけることになりました」


「どこに行くの?」


「リック王から招待を受けました」


ミナが嫌そうな顔をする

「え、またリック?なんか会いたくないな…」


ナルが聞いた

「またパーティー?」


「いいえ、軍の演習を見に来て欲しいそうですよ」


「なにそれ?」


「みんなで集まって戦う練習をするのです」


「えぇ…興味な~い。なんでわたし達を呼ぶの~?」


「おそらくナルに見せたいのかと思います」


「わたしに?なにを?」


「自分って凄いんだぞ~ってところ、ですかね」


「なにそれ、なんか気持ち悪いんだけど」


ミナはナルの反応を見て胸をなで下ろした

それからぞっとした

もしも悪食の気持ちが、まだリックに向いていたままだったら

あの時のナルなら、求婚をあっさり受け入れていたのかもしれない


ミナの口からポロリと漏れた

「危ないところ…だったんだね」


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