6ー22 レアルの女神
そのあと、リンはハンモックでしばらく横になっていた
ナルとミナは、浅瀬に腰を下ろして話をしていた
するとレアルが声をかけてくる
「食事の支度が整ったよ」
「そろそろ食べないかね?」
「わーい、お腹空いた~」
「ミナ、運んで~」
「あんた、本当にまだ動けないんでしょうね?」
そう言いながら、ミナはナルを背負う
「動けないよ~」
「ミナがいないと生きていけな~い」
「なんか調子がいいわね」
ミナがナルを背負ってレアルのところまで歩いていく
そこでは、レアルが鉄串に刺した肉を焼いていた
「リンはまだ体調が悪そうかね?」
ナルがすぐに反応した
「大丈夫だって」
「そんなやわな女じゃないわ」
「リン! いつまで寝てるのよ!?」
「意識しすぎなんじゃないの~?」
「素直になれば~」
そう言われると、リンはすぐに起き上がり、ハンモックから降りた
そして背筋を伸ばし、胸を張ってこちらへ歩いてくる
「ナル、あなたにはあとで話があります」
「一度、身をもって教えておく必要がありそうですね」
「できるものなら、やってみなよ」
ナルとリンが睨み合う
ミナが慌てたように、二人の間へ入った
「ちょっとやめなよ!」
「何であんたら、ギスギスしてんのよ」
「仲よくしてよ」
「まったくだ」
「せっかくのバカンスなのだ」
「楽しく過ごそうではないか」
そう言って、レアルは焼き上がった串焼きを差し出してきた
「やったー!」
ナルはぴょんと跳ねてそれを受け取り、すぐに噛みつく
「おいしー!」
「レアルって料理もできるのね!」
「さすが!」
ミナがそんなナルを見て言った
「あれ? 元気じゃん」
「体が痛いんじゃなかったの?」
「今、治ったの~」
「そんなわけな……」
言いかけたミナに、レアルが串焼きを差し出す
「食べなさい」
「空腹だとイライラするものだよ」
「う、うん」
そう答えて、ミナは串焼きを受け取り、一口頬張る
柔らかい肉から、じわりと旨味が広がる
「お、おいしい!」
するとレアルはリンの前に小さな机と椅子を置いた
それから机の上に皿を置き、串焼きから肉を外して盛りつけ、ナイフとフォークを添える
「リン、どうぞ」
「君の口には合わないかもしれないが」
リンはそんなレアルを見てから、つかつかと焼き場へ歩み寄り、焼き上がった串をつかんだ
そして、そのままかぶりつく
「レアル、わたくしは、いつまでもお嬢様ではないのですよ」
「そんな気遣いは不要です」
レアルは小さく笑って答えた
「それは失礼した」
そんなリンを横目に、ナルが肉を頬張りながら言った
「ねえ、レアル」
「リンの水着姿はどうなのよ」
「リンにだけ感想を言ってないわよね」
「それって、失礼なんじゃないの?」
レアルは改めてリンを見る
その視線をまともに受けたリンは、平静を装いながらも、わずかに肩をすぼめた
そして、薄手のパーカーの前をそっと引き寄せ、恥じらうように目を伏せる
「美しい」
「まるで女神だ」
リンの顔が、耳まで真っ赤になった
バチン
その瞬間、リンがレアルの頬を思い切り平手打ちした
ナルとミナが驚いて声を上げる
「ええ!?」
「ええ!?」
リンが叫ぶように言った
「もう知りません!」
そしてリンは、全力で走り去っていった




