6ー19 もったいない人
ミナがナルを背負ったまま、4人は別荘までやって来た
木造の小さな別荘は、三角屋根に大きなガラス窓を備えていた
外観は素朴だが、淡い色で丁寧に塗装され、白い窓枠や玄関脇の花が明るさを添えている
ミナが声を弾ませる
「なんか、かわいい~」
リンが玄関を開けながら言う
「早くナルを寝かせてあげましょう」
「少し動けるようになったら、浜辺に行きましょう」
「まだ午前中ですから、十分遊べますよ」
室内は木の温もりが感じられる、明るく居心地のよい空間だった
大きなガラス窓の前には、何人でも座れそうな大きなソファーが置かれている
その向かいにも、小さなソファーと低い机が置かれていた
淡い色の布地に小さなクッションが並び、隅々まできれいに整えられていた
壁際には三つの扉が並び、それぞれ寝室につながっていた
ミナは大きなソファーにナルを横たえた
すぐにナルは、すやすやと眠り始める
そんなナルの体を、リンの水魔法が優しく包んだ
筋肉を冷やしながら、ゆっくりと揉みほぐしている
リンがお茶を用意し、そのソファーの端へ腰を下ろすと、ミナも隣に座った
リンは玄関の前に立ったままのレアルに言った
「何を突っ立っているのです」
「あなたも、そこに座りなさい」
レアルは即座に答えた
「光栄だ」
そしてリンと向かい合うように、ソファーへ腰かけた
「まさかあなた、わたくしが許可するのを待っていたのですか?」
「もちろんだ」
「ご婦人の家で、勝手に腰を下ろすわけにもいくまい」
「あなたはやりすぎです」
「長い付き合いなのですから、もう少し気楽にしてください」
「性分なのでね」
「それに、付き合いが長いからといって、丁重に扱わないというのは承服できん」
「まったく……もったいない人ですね」
「他の女性にそうして差し上げなさい」
「喜ぶと思いますよ」
ミナが割って入る
「たしかに~、なんでリンなの?」
「こんな面倒くさい女、他にいないでしょ」
「おじさんさ、顔もいいし、スタイルもいいし、紳士だし、仕事もできるでしょ?」
「お金だってありそうだし」
「リンなんか諦めて、もっと若くてかわいくて素直な子を探したら?」
リンがミナに顔を向ける
「言いたい放題に言ってくれますね」
レアルが静かに答えた
「正直に言えば、そうしようとした時期もあったのだよ」
「だが……まったく惹かれないのだ」
「相手に申し訳ないことをしてしまって、後悔している」
「ミナに心配してもらえるのは嬉しいがね」
リンがレアルに顔を向ける
「囚人みたいなことを言わないでください」
ミナが顔をしかめ、リンから少し身を引いた
「うえ~、たちの悪い女を好きになったから、他の女じゃ満足できなくなったってこと?」
「かわいそうなんですけど」
リンがまたミナに顔を向ける
「わたくしに何か思うところでもあるのですか」
「あなたも、人のことは言えませんからね」




