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ローズマリー --4--

 急な階段を登り終えるとまず目に入ったのは赤い柱に白い壁の建物。あそこに何か祀っているのだろうか、手入れもちゃんとしていて綺麗だ。装飾もキラキラ光っていてこの辺では大切にされているのだと思う。

 「うわぁぁこれがわらじですか?」

 「うん。大わらじ祭りの時に使ったわらじ。十二メートル位あるみたいだよ?」

 僕らは釣り上げられているわらじを見上げる。

 これはわらじと言うより船のように見えたのは僕だけだろう。

「お祭りあるときに見たかったね。どこからか担いでここまで持っていくんですよね?」

「そうだよーっでも私はお祭り見たことないかな。高校生までここで育ったけど興味がなあったし。それにこの街から離れて東京で暮らすようになって、福島ってどんな街だったかなって思うようになったの」

「なるほどです……!」

離れれば分かるその土地の良さ。僕もそれはかなり感じているし、今こうして群馬から離れると群馬ってこんなところだったなーなんてしみじみしてしまった。旅行で離れてるだけなのにね。

「こっちの藪になんかわらじの残骸があるよ!!」

「うわっ、何だこの人形……後これは……義足?」

雨ざらしでもうなんの人形だったか判別出来ない物や骨折した時なんかで使う松葉杖足のマネキンなどお化け屋敷に出てきてもおかしくない物が絵馬と一緒に置かれている。足の健康という事でお参りに来た人が残したのだろうか。



羽黒神社を後に僕らは信夫山公園で休憩することにした。ゆずかちゃんと唄瑠は相変わらず元気で、設置されているターザンローブで遊んでいる。

「ちょっとお化粧直してきますね」

「あっはい」

陽向さんは一人化粧室へ向かい、僕はちょっと小高い場所から空を眺めた。

都会とはいえ、だいぶ空気は住んでいるしそれなりに静かな場所も多くある。雰囲気は群馬と変わらない気はする。

「あれ?」

僕は公園を見回す。色白でちょっとおしゃれをした男性に目が止まった。妙に知り合いに似ている。

僕は怪しまれないように普通を装い彼に近づく。

身長から体格、オーラまでやっぱり似ている。普段の僕なら声をかけないけどこの時は躊躇いもせず………

「あの……伊織?」

「えっ?」

僕の問に彼はびっくりしたのだろう。すぐさま振り返るとそこには僕の東京での親友で専門の時のクラスメイトがそこに立っている。ぽかんとした顔はあの頃のままだ。

「えっ?まさか先輩??」

「久しぶりじゃん!糸井だよ!」

「おぉー久しぶり!元気にしてた??」

伊織は僕の肩を掴むと結構な力で揺すり始めた。でも彼はそんなに力はないから倒れるほどでもない。彼の強さでは結構な力。

「元気元気!伊織は何で福島に?」

「俺?俺はちょっと人に呼ばれて、いま待ち合わせ中。先輩は?」

「群馬の友達と職場の同僚と旅行だよ。同僚がこっち出身だからさ」

「なるほど。先輩は変わらないなー」

僕は近くのベンチに誘い、澄んだ空を見上げる。雲一つ無いいい天気だ。

「先輩ごめんな?あの時女の子を紹介するって約束したのに」

「ん?あぁ」

「先輩の片思いの子俺が貰って………それに上手く行く様にアドバイスとか二人きりにしてくれたり……」

「まあ……気にしなくてもいいよ。終わった事だからさ」

「でも……」

申し訳なさそうにうつむく伊織。もう何年も昔の話をまだ気にしている所とか本当にコイツらしい。それに……

「なら今度いい子居たら紹介してよ。携帯とメアドとりあえず交換しとこう」

「あれ?先輩変えたの?」

「あぁ……ちょっとね。それよりはいっ」

軽くアドレスを交換すると赤の86が伊織を呼んでいるようで、伊織は簡単に挨拶して走って行ってしまった。



雲越伊織………雲越?

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