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ローズマリー --3--

「わらじが吊るされている?」

「信夫山っていうのかな?その山頂?にあるんだって」

安達太良サービスエリアを後にして福島西で福島市内に降りた。群馬県の前橋や高崎と比べると狭い範囲に発展した街がある。関東平野なんかと比べてはいけない。

とは言っても東京の地形はかなり複雑で真っ平というわけじゃない。その話はまたいつかするかも。

旅行雑誌を広げてわらじ祭りの話で盛り上がる後ろ二人。祭りは終わったのが残念の様子。あの時期はいろいろ忙しかったから仕方ないけれど………

「山がなだらかですね!」

「妙義なんかは尖った山だものね」

「そういえば……群馬の山って何でか鋭利ですよね」

唄瑠は群馬県に来てからそんなに時間が進んでいないので自分の故郷と見比べたら珍しいのかも知れない。僕にとっては山に囲まれた街というとでちょっと親近感は湧いたかな?

「信夫山にはどうやって行きますか?」

「えっと……麓に公園があるみたいですよ。そこに車を止めて登りますか?」

「登山ーー?」

陽向さんが地図を開いていろいろと見てくれているのだけど、僕はここからどう動けばいいのかが知りたかった。

「山頂付近まで車で行けるみたいです。糸井さんここ」

地図を渡されるとどうやら民家もあるみたいだ。道は細そうだけど僕の体力を考えれば登った方が良さそう。陽向さんが運転を代わってあげようか?と訪ねてきたのだけど、そこまで疲れもないし僕は男だし……

「信夫山に民家?昔から住んでる人達かな?」

「うたるは知ってるの?」

「私の家はこの辺じゃないけど話は聞いたことあるよ。山伏の家系?」

「山伏?」

「天狗の格好して修行修行して、山の霊力を身につけてる人達?詳しいことはわからないわ」

山伏。今度調べてみようかな。



「やっとついたぁ」

「糸井さん運転上手ですね!」

車一台がやっと通れる道幅に結構急な上り坂。四駆じゃなきゃ危なかったしすれ違いも何もなく一安心。

「こっちみたいだよ!」

最年少だけあって、僕らより元気で飛び回るゆずかちゃん。荒い石や岩でゴツゴツした山道で呼んでいる。かなり急な坂道のようだ。

「そういえば陽向さんはヒールとかブーツは履かないんですか?」

「ええ。仕事では運動靴なので……癖が抜けなくて」

汚れが目立たない様に靴の色は黒っぽい地味な色だ。仕事だけでしか見えてなかったのかなーなんて。本当はゆずかちゃんのためにオシャレすら捨てたのだから良い母だと思う。

「ほーらー!糸井さん!」

「今行くよー!」

ゆずかちゃんに続いて唄瑠も登り始めている。地元で何回か登ったことがあるのだろうか、なれた足取りでサクサク進んでいく。

僕と陽向さんはそのあとをゆっくりと追いかけた。


陽向さんと中身のない話を楽しみながらゆっくりと登ると二人が待っていた。けど山頂までまだ少しある。

「この辺だと思うんだ………あっ糸井さん!」

「どうしたの?」

「この山、表は男の人だけしか通れなくて裏に女の人用の道があるんだって聞いたんだけど……」

しかしあたりには道はなく、木々が生い茂っているだけだった。

「女性は裏の見えにくい場所から登ったんじゃないか?祭りって女子禁制みたいなのあるし」

地域にもよるけど、大体祭りは男性メインな気がした。女性は基本的に裏方で表には現れない。僕の地元は意識して見てなかったし、そもそも有名なのお祭りはなかった。

「時代とともに無くなったのかもな」

悲しい事だけどよくあることだ。時代には人間はかなわない。

「仕方ない。女の子だけど表から行きましょ」

そう言って二人はまたスイスイ登っていく。これが若さなのかな……


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