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ローズマリー --2--

 「糸井さぁん……まだですか?」

 「ん?」

 「もうすぐ一時間立ちますよ……」

 そろそろ後部座席のお腹が大変なことになりそうだ。

 東北道に入ってからそろそろ“一時間”福島県白河市に入っている。

 「福島市まで三時間半とか月妃さんどれだけ飛ばすんだろう……」

 僕のつぶやきなど聞こえていない様で、お腹がすいた―と苦情が鳴り止まない。僕だって予想外だしそもそも福島に行くのははじめてだというのに……。

 「ここから一番近いサービスエリアはどの辺ですか?」

 「えーっとちょっとまってね」

 助手席の陽向さんが近未来的に改造されているナビとにらめっこ。えーっとえーっとといいながら困っている。

 月妃さんにこんな趣味があったとは……

 「えっとここは何処でしょうか……んっと……」

 時間に余裕のないプラン、駄々をこねる後部座席の二人、ナビの使い方がよくわからない助手席、この旅は大丈夫なのかな……

 話を聞くだけにそんなに遠くないと聞いていたのだけどもそんなことはなかったよね。物凄く遠い、群馬から東京行くまでより遠い。

 「あっ……」

 やかましい二人はさておき、陽向さんがやってしまったと僕に助けを求めて居る!!

 「あの、阿武隈パーキングって書いてあるの……通り過ぎましたよ?」

 やってしまったのは僕だった。


 「というわけで……好きなモノをどうぞ……」

 結局と言うか予定通りと言うか、安達太良まで来てしまった。不満爆発な二人に僕の固く縛られたサイフを開けざる負えなかった。

 「ジャンキーな奴あんまり食べたこと無いから食べようかな!」

 「高校生だから買い食いとかしてるのかと思ってたよー」

 「家計のための節約です!それに柚子が寂しそうに待ってるから」

 僕はなんやかんやと選んでいる二人を確保したテーブルで眺めている。陽向さんがトレイに水を四つ載せて戻ってきた。

 僕の向かいに座ると一つ一つ配る。いつもは配っている側なのでちょっとだけ新鮮な気分だ。

 「二人共元気ですね」

 僕はすぐ食べられそうだった肉巻きおにぎり棒なるモノにかじりつく。脂っこい。

 「ゆずかがあんなに元気になって、皆さんには感謝しています」

 「それは違いますよ?」

 脂っこい口の中を水で洗い流す。お茶のほうがなんて思いながら。

 「陽向さんと一緒に居れる事が嬉しいのだと思いますよ。あの後いろいろ合ったと思いますが」

 「そうだったら良いなとは思います。母親として……」

 「いい子じゃないですか、僕なんかよりずっと強くて立派だと思いますよ?色々あって混乱してたけど今は落ち着いていますし。今後も傍に居てあげれば大丈夫ですよ」

 二十歳になったら親としての義務は終わると話で聞いた事があったりまだ親の愛が欲しい年頃だと。そんな話を未婚の僕が話すのもおかしなことだと思った。

 その後は悩んだ挙句二人で分け合うという事で落ち着いたらしくにこにこと料理を持って帰ってくる二人。脂っこい料理だなぁ……

 「できれば……私の居ない時間はゆずかをお願いします」

 「それは大丈夫ですよ。こんなに仲良く出来るお友達が居るんですから」

 小皿を何処で貰ってきたのか、二人は取り分けて食べている。何処にそれだけの量が入るんだろうと思っていると、残りが全部僕の目の前に置かれていた。

 胃が落ち着くまで気持ち悪さと戦いながらの運転だった。



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