↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
24/56

第24話 魔王と四天王の説教会


 冥冠のサルヴェナの城➖➖

 カツ、カツ、カツ。長い廊下に、ル・セポネの足音が響く。左右に並ぶのは、ゴーストやワイト、その他の霊体系の魔物たち。


 ル・セポネが通るたびに、、

「「「お疲れ様です、魔王様」」」全員が深々と頭を下げる。

「うむ。ご苦労!」ル・セポネも堂々と歩く。

「うぉぉい!俺が挨拶してもらったぜ!」

「バカ!俺だよ!」「勘違いすんな!おらだ!」

(……妾も人気があるな…)キリッとした顔で歩く。

 やがて、大きな扉の前へ辿り着く。


 すると……

「魔王様、お待ちしておりました」羅刹が立っていた。

「……嘘つけ」「え?」

「お前ら、妾が来なきゃいいと思っておったろ?」

「…………」「なぜ黙る?図星か?」

「……バレた?」「バレバレじゃ!」

 羅刹は気まずそうに視線を逸らした。


「では……どうぞ。サルヴェナ様がお待ちです。」

「うむ」扉が開く。その先は、玉座の間。

 巨大な玉座に腰掛けていたのは、サルヴェナだった。その隣へ羅刹が移動する。

 サルヴェナは頬杖をつきながら、ル・セポネを見る。

「……昨日の今日でどうしたの?セポちゃん。まさか……魔王の座を私に譲るとか?…きゃははっ!」


 ル・セポネの眉がピクッと動いた。

「お主はアホか?」「アホ?ひどっ!」

「妾に勝てたら、いつでも魔王の座など渡してやる!今回は説教じゃ!!」


「うわぁ……可哀想に〜。羅刹説教だってよ…!」

 サルヴェナの顔が露骨に嫌そうになり羅刹を見る。

「えっ?俺?」「そうでしょ!あんたが街をめちゃくちゃにしたんだから」

「二人まとめてじゃ!!椅子と茶を用意せい!」


「あぁあ、説教なんだ……」「サルヴェナ様…説教ですって…」

「羅刹……お前もな…しくじったな…」「あ〜あ……」


 しばらくして……

 玉座の間の中央に、大きなテーブルと三人分の椅子。

 そして、三人分の紅茶が用意された。

 ル・セポネは椅子に座る。サルヴェナも座る。

 羅刹はサルヴェナの横に立った。


「で!なんの説教!?なんか私、悪いことした?」

 サルヴェナがティーカップを手に取る。

「表だってはしておらん」「じゃあ、いいじゃん」

「だが……」ル・セポネはサルヴェナを見据える。

「今回の件、お主、“わざと”攫われおったな?」


 サルヴェナがティーカップを口に運ぶ。一口。

「あはは……まっさかぁ〜」「……本当か?」

「そうだよ!寝てたら連れていかれたんだよ!」

「オークション会場に羅刹まで呼んでか?」

 ギロリと睨むル・セポネ。

「「…………」」サルヴェナが黙る。羅刹も黙る。


 ル・セポネが額を押さえた。

「お主ら図星ではないか……」

 サルヴェナは何食わぬ顔で紅茶を飲む。

 ル・セポネがゆっくり口を開く。

「お前たちが、妾の『人間にはこちらから手を出さない』というやり方を気に入らんのは分かっておる」


 サルヴェナの紅茶を飲む手が止まった。


「だが……王は今、私だ」静かな声だった。

「魔界のたった一つのルール…… 王に従う」

 羅刹がル・セポネ前の新しいカップを置く。

「従えない者は、力でその座を奪う」

 そしてサルヴェナをゆっくり見る。

「サルヴェナ……これは分かっておるな?」

「…………」サルヴェナは視線を逸らさない。


 そのとき、羅刹がル・セポネの前のカップに紅茶を注ぐ。

「どうぞ」「うむ」ル・セポネは一口飲む。

「…………」眉間に皺が寄った。もう一口。

「…………」さらに顔が歪む。

「……にっがぁぁぁぁぁ!!」


 サルヴェナがニヤッと笑う。

「羅刹っ!何んだこれ!?」「新茶です」

「新茶!?」「はい。サルヴェナ様が出せと……」

 ル・セポネがサルヴェナを見る。

「お主…意地悪したな……」「きゃははっ!」

「くそっ!羅刹!」「はい!」

「砂糖だ!砂糖持ってこい! 大至急だっ!!」

「はい。ただいま!」羅刹が走っていく。


 数秒後……「お待たせしました!」

 大きな瓶を抱えて戻ってきた。

 ル・セポネは瓶を受け取る。

 そして、ガッ。蓋を開ける。ドサァッ!!砂糖を手掴みで紅茶へ投入した。

「もうそれ、紅茶じゃなくて砂糖じゃん…」

 羅刹は小さく呟く。ル・セポネは満足そうに頷く。


 そして一口……

「うむ!美味い!」「それは紅茶なのか?」

「甘い紅茶じゃ!」

 ル・セポネの満足そうな顔を見てサルヴェナが呆れた顔をする。


 ル・セポネはカップを置いた。


「さて……説教はこれまでだ」

 空気がギュッと変わった。サルヴェナを見る。

「引き続き、この地を頼んだぞ!それと……」

 ル・セポネの表情が僅かに曇る。

「お前の姉のことは……すまなかった。だから、もうコレクターを追うのはやめろ」


 サルヴェナの目が細くなる。

「…………」沈黙。次の瞬間……

 サルヴェナの額。そこに刻まれた王冠の紋章が、淡く光った。


「……すまなかった?……だと?」声が低くなる。

 ル・セポネは何も言わずサルヴェナを見る。

「追うのをやめろ……だと?」サルヴェナが立ち上がる。

「てめぇ!どの口が言ってんだ!!」

 玉座の間に怒鳴り声が響き渡った。


「お前が!人間に手を出すなって言ったから!」

 サルヴェナの周囲に禍々しい魔力が集まる。魔力がどんどんと膨れ上がる。


「姉さんは、それを守ったんだぞ!!」

 無数の魔法の玉が、サルヴェナの周囲を浮遊し始める。

「守ったら……何が残った!?」その目に怒りが宿る。

「何も残らなかった!!」拳を握る。

「姉さんの……何もかもっ!!」


「サルヴェナ様……」羅刹が一歩下がる。


「私は……」サルヴェナの魔力が、さらに膨れ上がる。

「人間も……」魔法の玉が一斉にル・セポネへ向く。

「お前も許さない!!」


 ル・セポネは静かに立ち上がった。

 サルヴェナが笑う。

「ちょうどいい機会だ!王の座を貰う……!!」

 額の王冠が強く輝く。


 ル・セポネは拳を握った。

 ボキッ。指を鳴らす。ボキッ。もう一度。

 そして、サルヴェナを真っ直ぐ見据える。


「……まぁ、妾たちがちゃんと話せば、そうなるわな……」小さく息を吐く。

 サルヴェナの口元が吊り上がる。

「面白いなぁ!いつまでも最強でいられると思うなよ!」

「ふふ、早く来い…」ル・セポネは構えた。

 空間に黒い渦を発生させると、手を突っ込み大きな斧を引っ張り出す。

「ちゃんと…分からせてやる…誰が王か忘れないようにな!」


 玉座の間を、二人の魔力が満たしていく。


 そして…魔王と四天王サルヴェナ

 その戦いが、始まろうとしていた。



            続

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。