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勝利の裏側。

 

「名付けて、『おんぶにだっこ作戦』です!」


「「おんぶにだっこ???」」


 シリウスとミランダが揃って首を傾げる。


「内容を説明するぞ」


 まず、シリウスが先頭なのは同じ。突破力はチームで一番。

 で、その次にミランダを俺が抱えます。


「なんだ?この女は邪魔だから荷物にカウントするのか?」


「ぶっ飛ばしますわよ筋肉ダルマ!!」


 ミランダの鋭い蹴りがシリウスの脛に当たる。しかし、鋼の肉体を持つシリウスには効果がなく、逆にミランダが足を痛めた。


「意外だなぁ。ミランダさんって悪口言われても皮肉で返すと思ってたのに」


「えぇ、いつもならそうしますわね。ですが、この野獣は頭の中が豆よりも小さいことで有名ですので、皮肉を言ったとしても理解できませんの」


「おい、どうしたクロワッサン女。足を怪我でもしたか? 鍛え方が足りんぞ! 刮目せよ! この俺様の鍛え上げられた肉体美を!!」


 ズボンの裾を捲り上げ、大層ご立派な脹脛(ふくらはぎ)を見せつけてくるバカ。

 確かに。このバカは人の話が通じない。あと、野郎の足を見ても目に毒なのでやめて下さい。




 閑話休題。




「ふぅ。いい準備運動になったな!」


 ポージングで一汗かいたバカを放っておこう。


「ミランダさんにはなるべく体力を温存して魔法だけに集中してほしい」


 魔法とは魔力だけではなく、集中力や計算力といった力も必要になる。この場合、体が疲労している時に使う魔法は通常のそれより多くの魔力を必要にする。

 ただでさえサテラとの魔力差が大きいのに体力差まであっては勝てない。


「あの女狐がわたくしより体力があると?」


「逆に聞くけど、ミランダさんは徒歩で国を横断したり森で自給自足して生活できる?」


「…………所詮は野蛮人ということですわね」


 苦虫を噛み潰したような顔でミランダが言った。

 そこまでサテラに負けるのが悔しいのか。ミランダはユーリに好意を抱いているしな。そんなユーリの近くにいるサテラに劣るのが嫌なんだろう。まぁ、ユーリはサテラとくっ付くんだけどな!(予定)


「だから、ミランダさんにはいざっていう時に固定大砲代わりに魔法を使って、あとは探知系の魔法を常時発動させてくれ」


「探知魔術ですの?まぁ、攻撃魔術に比べれば消費魔力は少ないから大丈夫だとは思いますが、まさか貴方……」


 うん。気づいた?


「おい、二人で納得するんじゃねぇ! 俺様にも分かるように説明しろ」


「作戦は探知魔法を使って罠やモンスターがいる場所を全力で回避。避けて通れない場合は強行突破して逃げる。馬鹿正直に真っ直ぐ進むお利口さんなやり方をしないってわけだ」


「だが、それだとユーリ・オリオンに勝ったと言えるのか?」


「こんな言葉を知ってるかシリウス? 『勝った方が正義』だって」


 我ながらよくこんなセコい作戦を考えたなと思う。

 授業のルールのどこにも逃げたり、モンスターと戦闘しなくてはならないなんて書いてないし、言われてない。

 次からはダメになりそうだけどな。


「ぐっ。しかしだなぁ………」


「あら、獣の分際で悩むとは意外と立派な志ね。でも、よーく考えてみなさい。圧倒的に大差で折り返した時、ユーリ様はとても悔しそうな表情で貴方を見てくるはずよ。剣術だけではなく頭脳で負けたのだとそれはそれは悔しそうに」


「よし! ユーリ・オリオンの苦渋に満ちた顔を見れるならその作戦に乗ろう! たまには奴に地団駄を踏ませてやるぞ!!」


 ミランダのナイスアシストでシリウスも乗ってきた。案外、負け越しているのが気になってるみたいだな。勝ってもユーリは勝ち越してる余裕からか悔しがらないし。


 さて、俺の方はずっとミランダを担がなきゃいけないので、この特製の増強剤を飲んでおこう。ルールにはドーピングしてはいけないなんて書いてないし。


 作戦名の意味は俺が二人におんぶにだっこしてもらうってことだというのは黙っておこう。






 ♦︎






「フハハハハハハ!!見たかあのライバルの焦った顔を! あれこそ俺様が見たかった表情だ!」


「うふふふふふ。見ましたわよね、あの女の驚愕した間抜け面! 無様ったらありませんわ! 流石、野蛮人ですわね!」


 ユーリとサテラには非常に申し訳ないことしたかもしれない。

 大差をつけて一着でゴールしたわけだが、この二人のテンションが頂点だ。しばらくは今日の結果で自慢してくるんだろうな。


 まぁ、俺もあの主人公の恨めしそうな顔見てドヤ顔したけどね! だって、自分たちが一番だと思ってるのに先頭は折り返し済みだったって思わないからな。


 予想通り、真面目な二人は能力にものをいわせて中央突破してきた。

 一方で俺たちは迂回しつつ、モンスターを素通りしたり、山の登山ルートじゃない道を突っ切ったりしたからな。


 戦闘は数回あったけど、煙幕や閃光魔法使ったりして

 撒いたり、ミランダの支援魔法で強化したシリウスで撥ね飛ばしたりした。


「ただのユーリ様の腰巾着かと思っていましたが、貴方は中々使えそうね」


「取るに足らん相手だと思っていたが、頼りになるじゃないかアッシュ! まぁ、俺様に比べればまだまだだがな!」


























 推しキャラの二人以外からの好感度上がっても嬉しくないんだけど!!








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