文化祭実行委員と相談役
「なんなの?おバカなの?」
「くっ、君にだけは言われたくない」
放課後、実行委員とそのサポートに選ばれた俺と主人公の二人は決定した出店について話し合っていた。
「俺もさ、メイド喫茶ってところは賛成だよ? サテラの可愛い姿は見たいんだ………でもさ、男女逆転はねーだろ? 野郎のメイド姿とか誰得なんだよ!!」
「揺らすな叩くな騒ぐな! オレだって執事服を着て女子たちから歓声を……」
「俺が言うのもなんだけど、お前も結構ゲスいよな」
悔しいことだけど、ユーリやシリウスと比べるとこの主人公の方が俺に感性が近い。誠に遺憾である。まぁ、選ばれたっていう選民意識と教会の圧力があるだけの庶民だからな。
「まさかサテラとミランダが手を組むとはなぁ」
つい最近まで仲悪いはずだったのに。
でも、サテラに友達ができるのは普通に嬉しい。ミランダは口や態度は悪いけど、身内には甘いし。安心して任せられる。
って、誰目線なんだよ俺。
「あーあ。ミランダのことだからユーリの執事服さえ見れれば賛同するはずなのに、なんでサテラが男子の女装を見たいとか言い出すんだ」
シリウスの女装とか危険物以外のなんでもないだろ。俺は論外。ユーリは似合うかもしれないな。顔がいい奴ってそういうのも似合うはずだ。
女装イベントってゲームではそんな展開なかったけど何が原因なんだろう。
まぁ、サテラの男装はみたくはあるんだけどな。うちのクラスは美形が多いし、執筆欲が高まってきたー!!そうだよ、ネタとしては美味しいんだ!
「しかし、勇者であるオレが女装なんて……教会になんて説明すればいいんだ」
「教会? なんで文化祭と教会が関係あるんだ?」
「オレは教会からの認定を受けて勇者としての特権を受けているんだ。いずれ厄災に対抗するための切り札として。だから、あまりふざけたことはできないんだ」
女神教はこの国の最大宗教。聖剣を授けるために現界したって記録もある由緒正しき宗教。教会の役職者は並みの貴族よりも地位が高く見られている。
主人公ヤマトが偉そうにしているのも後ろ盾が大きいからで、それがなかったら今みたいな優遇処置がないからな。だけど、
「今さらだろ。シリウスにもユーリにも負けるし、サテラやミランダには敵わないし」
「くっ、……彼らはこの学園でもトップクラスの実力者だし、外でもプロ相手に通用する逸材だ。まだ力に覚醒できていないオレが勝てなくてもいいんだ。……今はまだ」
「俺にも負けるし」
「ここ最近は勝ち越しているだろう!!それにあんな卑怯な勝ち方をオレは認めないからな!」
おぉ、煽ったら真っ赤な顔して怒った。すぐにキレるのがチョロいっていうんだよ。
「でもほら、記念すべき勇者様の初決闘で勝ったわけだし、後世に残すべき記録だと思うんだよな」
「お、お前という奴はどこまで人をおちょくれば気が済むんだ!!」
「落ち着けよ!今のお前の筋力って結構シャレにならないレベルになりつつあるから!全力で殴られたら骨折れたりするかもだから!!」
そう、この主人公に俺は負け越している。チート勇者というのは伊達じゃなく、剣術も魔法も今は俺より全然強い。順当に成長すればユーリたちと接戦くらいになるだろうし、何かがきっかけで覚醒すれば最強に近くなる可能性があるのだ。
俺みたいなモブキャラがたまに勝つのは卑怯で姑息な手を使うからだ。ユーリやサテラ相手だと小細工しても圧倒的な実力差で叩き潰されるからね。
「とにかく、今は文化祭を最優先で話をしようぜ。出し物や出店が優秀なクラスは表彰もあるんだ。男装&女装喫茶でも表彰されれば教会だって納得してくれるはずだからな? よーし、真面目にしよう。こっからは冗談無しな」
「言ったな。この文化祭にはオレの面子がかかっているんだ。やるからには表彰を目標だ。……そうすればきっと落ち目な評価も向上して追加の生活費を支給してもらえるはず!!」
そういえば、勇者の所持金ってバイトじゃなくて学園内での活動や成績に応じて教会から支給だったな。今までのトータル成績を考えると最初期をかなり下回ってるんじゃないだろうか。それでも俺の小遣いよりはあるだろうけど。
生活費とか言ってるのは主人公らしくなくて、俺と同年代の男子にしか見えないけど、油断はしないぞ。気を許しすぎてサテラと急接近されたりしたら推しCPが実現しなくなるからな。そこだけは譲れないぞ!
「なんだ、人の顔をジロジロ見て」
「仕方ないな。いっちょ頑張りますか」




