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おとぎ話の試練を全部クリアしたら無自覚最強の美少女になっていました。~明日仕事なのに、独占欲の強い後輩女子に帰れない異世界へ連れて行かれました~  作者: ごまだんご
第五章 新しい日常

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第47話 王都への道

 ある日、クラリスがまた新しい依頼を持って二人のもとを訪れた。


「お姉様、紬様。今度は少しお時間が長めの護衛のお仕事なんですけれど」

「長めですか?」

「はい。王都のとある伯爵家がご自分の領地までお戻りになるとのことで。護衛を探しておられますの」


 クラリスは依頼書を広げながら説明を続けた。


「まず、今の街から王都まで二日ほど。王都から領地までは、さらに一週間ほどかかりますわ」

「結構な長旅ですね」


 紬が少し驚いた様子で言った。


「その分、報酬も通常よりかなり高めに設定されておりますの」

「王都、行ったことないですね」

「私も初めてです」


 すずなも、その依頼書に目を通した。長旅にはなるが、報酬も経験としても悪くない話に思えた。


「受けてみましょうか」

「はい」


 二人はその依頼を正式に引き受けることにした。


 出発の日、二人はまず王都を目指して街道を歩き始めた。今の街から王都までは二日ほどの道のりだった。一日目の夕方、二人は道中の宿場町に宿を取ることになった。


「先輩、私が部屋、取ってきますね」


 紬がそう言って、先に宿の受付へと向かった。すずなは最近ではすっかり油断していた。二台のベッドを確保することが、もう当たり前になっていたからだ。


「はい、お願いします」


 しばらくして紬が鍵を持って戻ってきた。妙に上機嫌な足取りだった。


「取れました。行きましょうか」


 案内された部屋の扉をすずなが開ける。そこには大きめのベッドが一台だけ、どんと置かれていた。


「……あれ?」


 すずなは部屋の中を一周見回した。もう一台のベッドは、どこにもなかった。


「あれぇ、おかしいなぁ?」


 紬がわざとらしく首を傾げた。


「なんでベッドが一台しか無いんですかねぇ」

「紬さん、その言い方」

「不思議です、本当に」


 紬はまったく不思議そうではない顔で、そう言いながらニヤニヤと笑っていた。


「仕方ないなぁ」

「仕方ないなぁ、じゃないです」


 すずなが、ため息交じりにそう返すと、紬は悪びれることなく肩をすくめた。


「まあ、こういうこともありますよね」

「絶対、狙いましたよね」

「気のせいです」

「毎回その台詞ですね」


 すずなは、もうそれ以上追及する気力を失っていた。


「ベッドの数を確認しなくなってから、もう何ヶ月も経ってたので」

「油断してましたね、先輩」

「そう、みたいです」


 一応、空きが無いか確認のため宿のカウンターまで戻ってみることにした。だがカウンターの前には複数のパーティーが部屋の交渉をしている最中でカウンターは人だかりが出来ていた。

 しばらく待った後、やっと空いたカウンターに声をかける。


「すみません、二台ベッドの部屋まだ空いてますか」


 すずなが、そう尋ねると宿の主人が申し訳なさそうに首を振った。


「あいにく今日は満室に近くてね。二台の部屋は、もう埋まってしまったよ」

「そう、なんですね……」


 すずなは少し肩を落としながら部屋へと戻った。


 翌朝、すずなはいつものように息苦しさで目を覚ました。腕が、しっかりとすずなの体に回っている。


「……また、ですか」


 すずなは小さく呟いた。もはや驚く気力すら湧いてこなかった。


「紬さん」

「……ん、おはようございます」

「一台のベッドを狙って、朝にはこうなるの分かってましたよね」

「気のせいです」


 すずなは、その台詞に思わず笑ってしまった。


 翌日、二人は再び街道を進み、その日の夕方には王都へと到着した。


ここまでお読みいただき、ありがとうございます。


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