第41話 闇の魔法
魔力もある程度上がってきた。すずなは、本来ならもっと早く始めるべきだった魔法の練習について、エルフィに教えを乞うことにした。
「エルフィ様」
「どうした、改まって」
「魔法を、教えていただくことは、できますか」
「なんだ今更。もっと前に、聞かれると思っていたが」
「今までは剣をメインで依頼をこなしてきましたが、こちらの世界への本格的な移住に合わせて、より、この世界の知識を深めようと考えまして」
「相変わらず、くそ真面目で丁寧だなお前は」
エルフィは、少し呆れたように、それでも、まんざらでもない様子で頷いた。
「いいだろう。何を聞きたい」
「Moon Returnの際にいただいた指輪は、闇の魔力だったと思います。闇の魔法も含めて、魔法にはどんな種類があるんでしょうか」
「一般的なものは、火、水、風、土だ」
「なるほど」
「日本人なら本などでも、よくそういう魔法が出てくるものがあるだろう」
「確かに、イメージは湧きます!」
「他にも、光、闇、時、その辺はイメージはつくだろう」
「はい」
「それ以外は、組み合わせだ」
「組み合わせ、ですか」
「水は氷になる。水と風は嵐になる。嵐と氷で雷だ」
「な、なるほど……」
「あまり分かってないようだが、まぁいい」
エルフィは、少し息を吐くと指を立てながら、続けた。
「つまり、全属性は火、水、風、土の四つと、特殊な光と闇と時だ。あとは組み合わせで、色々な魔法が使える」
「お前のMoon Returnは、闇ではない。どちらかと言えば時だ。厳密に言えば、時と闇の組み合わせだ」
「おぉ……なんか凄いですね!」
紬が感心したように声を上げた。
「じゃあ、私の!私のLunar Sightは、闇と光とかの組み合わせですか?」
「お前のは、単なる猫とかの動物のように光が反射して、夜目が効いてるだけだ」
「なんなんですかー!きぃー!魔法ですら無いんですか……」
「紬さん、それでも便利な力ですから」
「便利さと、魔法かどうかは別問題です」
紬は、まだ納得のいかない様子で口を尖らせていた。
「お前は、そのままでいい」
エルフィが、ぽつりと言った。
「無理に魔法を求めなくても、お前の強さはそれとは別のところにある」
その一言に、紬は少し驚いた顔をした。
「エルフィさん……」
「ただ、地道に頑張った結果だ。それはそれで価値がある」
エルフィの言葉は、いつも通りそっけなかった。それでも、その奥に確かな評価が滲んでいるのを紬は感じ取っていた。
「ありがとうございます」
紬は、少し照れくさそうに頭を掻いた。
すずなはその様子を見ながら、改めて自分の中に眠る時と闇の力について、思いを巡らせていた。まだその全貌は見えていない。それでも、これから少しずつこの力と向き合っていくことになるのだろう。




