↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

20/54

第19話 昇格

 翌朝、すずなと紬はエルフィに礼を言って一緒にエルフィの家を出た。


「エルフィさん、ありがとうございました」

「いい」


 エルフィはそっけなく答えながらも、袋に残っていたコンビニスイーツを名残惜しそうに見ていた。


「また買ってきますね」

「頼む」


 二人は笑いながらギルドへと向かった。

 ギルドに着くとシエルたちがすでに待っていた。


「あ、来た!」


 シエルが真っ先に駆け寄ってきた。フィオナもイオもダーレンも心配そうな顔をしている。


「紬ちゃん、大丈夫?」

「はい、もう平気です。エルフィさんに治してもらったので」


 紬が笑顔で応えるとシエルたちは揃って安堵の息を吐いた。


「すずなちゃんは?あの後、どうなったの」


 フィオナが恐る恐る尋ねた。すずなは少し肩をすくめた。


「あの力、もう二度と使えないそうです」

「そう、なんだ」


 シエルは少し複雑な表情を浮かべた。それでもすぐにほっとしたように微笑んだ。


「まあ、それならそれで良かったわ。正直、どうなることかと思った」

「あんな力、頻繁に使われても、こっちが心配だしね」


 イオも頷きながら言った。ダーレンも静かに同意する。


「今回は本当に助かった。想定外の数だったから、あんたたちがいなかったら、もっと厳しかった」


 その言葉にすずなと紬は少し照れくさそうに顔を見合わせた。

 その日の午後、ギルドから正式な報告があった。


「今回の討伐、想定を大きく上回る規模だったため、貢献度が特別に加算されます」


 受付嬢が書類を確認しながら説明した。


「雨宮紬さん、ダブルサークルからスクエアへ二段階の昇格です」

「え、一気に上がるんですか」

「はい。今回の実績は、それだけ大きかったということです」


 紬は驚きながらも嬉しそうにバッジを受け取った。四角形のバッジが光を反射する。


「楠すずなさんは、サークルからトライアングルへ二段階の昇格です」

「そんなに一気に……」

「討伐の要となったこと、それに頭目の討伐という功績が、特に評価されました」


 すずなも渡されたバッジを見つめながら、まだ実感が湧かなかった。ようやく駆け出し冒険者として認められるトライアングルランク。


「頑張った証拠です。おめでとうございます」


 受付嬢の言葉に二人は揃って頭を下げた。

 バッジを受け取った後、紬が思い出したように、ステータス確認用の水晶に手を伸ばした。


「先輩、せっかくなので、ステータスも見てみましょうか」

「そうですね、最近、確認してませんでした」


 すずなが水晶に手をかざす。


 **楠すずな レベル12**


 体力:D

 腕力:C

 魔力:D

 俊敏:C+

 器用:D


「レベル、こんなに上がってたんですね」


 すずなは、その数字に、少し驚いた。Fばかりだった項目が、今はDやCに変わっている。


「すごいじゃないですか、先輩」


 紬は、そう言いながら隣の水晶に手をかざし自分のステータスも表示した。


 **雨宮紬 レベル14**


 体力:D+

 腕力:B

 魔力:D

 俊敏:B-

 器用:C


「私も結構、上がってます」


 紬は満足そうに、腕力の項目を指差した。


「腕力、Bまで来ました。剣、頑張った甲斐がありますね」

「本当ですね。俊敏も、B-なんて」


 すずなは素直に感心した。


「先輩の方も、Cが増えてますよ。着実に成長してる証拠です」


 二人はしばらく、それぞれの数値を見比べながら、この数ヶ月の積み重ねを、静かに実感していた。その夜、二人はもう一泊、街の宿に泊まることにした。


「今日もちゃんと二台のベッド、確保しますね」


 紬がそう言いながら受付に向かおうとする。すずなはすかさずその隣に並んだ。


「二台のベッドの部屋でお願いします」


 すずなが先に宿のおかみに向かって言った。紬が驚いた顔で振り返る。


「先輩、早い」

「もう慣れましたので」


 すずなは澄ました顔で答えた。おかみがくすりと笑う。


「はいよ、二台ベッドの部屋ね」


 紬は少し悔しそうな顔をしながらも、それ以上は何も言わなかった。部屋に案内され荷物を置くと、二人はそれぞれのベッドに腰を下ろした。


「今日は色々あった一日でしたね」

「はい。昇格も思ったより早くて、驚きました」

「私も、まさか一気にスクエアだとは思いませんでした」


 紬はバッジを手のひらの上で少し眺めた。それからすずなの方を見た。


「先輩」

「はい」

「また来週も一緒に来てくれますか」

「もちろんです」


 その返事に紬は満足そうに笑った。

 照明の魔術具が消え、部屋が暗くなる。


「おやすみなさい、紬さん」

「おやすみなさい、先輩」


 異世界の夜は、二人の成長を祝福しているようにまどろみをもたらした。


ここまでお読みいただき、ありがとうございます。すずなたちなら、こんな時きっと「支えてくれる人がいるから頑張れる」と言うはず。


この物語も、読んでくださる皆さんに支えられています。「面白かった」「続きが気になる」と思っていただけたら、ブックマークや評価という"応援魔法"を、ぜひ授けてください。


よろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。