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アンデットだらけの2周目ダンジョンには治癒魔法が欠かせません!?~とある迷宮保安官と用心棒少女のダンジョン再攻略~  作者: 春街はる
東村山ダンジョン

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70.ドラゴンゾンビアンデッド⑨

「執行さん、後ろ!」


 随分と怒った様子のドラゴンゾンビアンデッドが私たちに迫ってくる。

 執行さんは素早く振り返ると、綺麗な動作で抜刀した。

 私も急いで立ち上がる。


「佐々貴さん、もう首を刎ねてもいいんですよね?」

「う、うん。でも、毒自体は使えるはずだから攻撃には気を付けて」


 私が破壊をしたのは、あくまでも毒の制御器官。

 制御された威力の高い攻撃――例えば、毒を帯びた高エネルギー熱線など――は使用できなくなったはず。だけど、毒自体は身体の中で生み出し続けているはずなので、広範囲に毒霧をまき散らしたり、爪や牙などに毒が仕込むことはできると思う。

 

 洗練された毒攻撃がなくなっただけで、ドラゴンゾンビアンデッドの身体に流れている毒の脅威までなくなったわけではない。


「分かりました。佐々貴さんは少し離れていてください」

「うん」

 

 情けないけど、執行さんの言う通りにさせてもらおう。

 私が近くにいたら、私を庇いながら戦うことになってしまうので、結果的に執行さんの邪魔になってしまう。


 いつでも治癒魔法でトドメを刺せるように、準備だけしておこう。

 この場は執行さんに任せて、数メートル移動する。


 唸り声を上げ、その巨大な身体を揺らしながらドラゴンゾンビアンデッドが近づいてきた。真正面に立ち塞がっている執行さんに向かって、真っすぐに突っ込んでいく。

 執行さんが刀を構え、ドラゴンゾンビアンデッドが右前脚を振り上げた。

 そのとき――。


「――おらぁぁぁッ!」


 そんな気合の入った声が聞こえたかと思うと、ドゴーン! と大きな音がしてドラゴンゾンビアンデッドが後方に吹き飛んで行った。

 

 ……え? 一体何が!?

 

 執行さんの声ではなかったし、実際に執行さんは動いていなかった。

 だとしたら、今のは誰? 何が起きたのだろう。

 困惑しながら広間の中を見渡す。

 ドラゴンゾンビアンデッドを吹き飛ばした人――男性をすぐに発見することができた。

 

 吹き飛んだドラゴンゾンビアンデッドを飄々とした表情で見ているのは、長い金髪を後ろで結んだ男性。手には長剣、身に着けているのは銀色の鎧と言った西洋の剣士のような恰好をしている。

 

 あ、あれって、たしか……久遠さん!?

 

 そこにいたのは、柏ダンジョンで出会った探索者の兄妹――久遠さんと永遠子さん――の兄である久遠さんだった。

 ふぁさ、と前髪をかき上げているキザというかナルシストっぽい姿。

 あれは間違いなく久遠さんだ。

 

 でも、どうしてここに?

 眉をひそめていると、私たちのところへ久遠さんがやって来る。


「あんたら大丈夫か――って、おいおい」


 私たちを見て、久遠さんも思い出したのだろう。

 驚いたみたいに目を大きくさせた。


「あんたら、柏ダンジョンで会った子たちじゃねーか。名前はえーっと」

「佐々貴です。こちらは執行さん」


 そういえば、柏ダンジョンで出会ったときは、私たちは名乗っていなかったかもしれない。

 私が紹介をして、執行さんが小さく会釈する。


「佐々貴ちゃんと執行ちゃんか。名前は?」

「……助けてくださってありがとうございました」

「お、おう。ま、まぁ、いいぜ? 俺は勇者だからな」


 謎の納得をしてくれた。

 続けて、久遠さんは腕組みをしながら私たちを見て言う。


「しっかし、あんたらが迷宮保安庁の人だったとはな。それで柏ダンジョンにも調査で来てたってわけか」

「はい、そうです。あの、久遠さんはどうしてここに?」


 助けてくれたことはありがたいけど、やっぱり疑問は疑問だ。

 調査や討伐の依頼が重なったとは考えにくいし、立ち入り禁止だから偶然来たとも思えない。


 私の問いかけに久遠さんは訝しそうに眉を寄せた。


「どうしても何も、侵入した探索者の保護だ。迷宮保安庁からの依頼のはずだが聞いていないのか?」

「あ、それって久遠さんだったんですね!」

「あぁ、何て言ったって俺は勇者だからな。頼られちまうんだよ」


 ふぁさ、と久遠さんが前髪をかき上げる。


「あの、永遠子さんは?」

「永遠子は階段のところにいた子たちを連れて、先に帰ってもらったよ。不満そうだったけどな」

「良かった……じゃあ、あの子たちは無事に帰れたんですね」

「そのはずだ」

 

 元はと言えば、勝手に侵入したあの子たちが悪いけど、無事に脱出できたようで安心した。

 久遠さんと永遠子さんは、柏ダンジョンで討伐依頼を受けていたくらいだから、それなりには強い探索者のはず。永遠子さん一人だとしても、心配はいらないだろう。


「俺も永遠子たちと帰るつもりだったんだが、奥から派手な音が聞こえてきてな。それで様子を見たら、あんたらが苦戦してるじゃねぇか。だからあの子たちは永遠子に任せて、助太刀したってわけよ」

「そういうことだったんですか」

「おうよ。俺は勇者だからな」


 久遠さんがドヤ顔を浮かべる。

 だけど、すぐに真面目な顔に戻った。視線をちら、とドラゴンゾンビアンデッドが吹き飛んで行った広間の壁際に向ける。


「で、質問だけどよ。なんでドラゴンゾンビが復活してんだ?」


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