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アンデットだらけの2周目ダンジョンには治癒魔法が欠かせません!?~とある迷宮保安官と用心棒少女のダンジョン再攻略~  作者: 春街はる
東村山ダンジョン

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61/86

61.侵入者の配信者⑤

「だ、大丈夫!?」


 東村山ダンジョンの最深部である地下25階層。

 主の広間の手前、扉の近くで女の子たちは地面にへたり込んでいた。

 彼女たちに急いで駆け寄って声を掛ける。


 見た感じ、女の子たちは3人とも無事みたいだ。

 だけど、3人とも血の気が引いた真っ青な顔をしていた。

 どうやら私たちが来たことにも気が付いていないらしい。女の子の隣で膝をついて、もう一度声を掛ける。

 

「ね、大丈夫?」


 それでようやく私たちが来たことに気づいたのか、最も派手な格好をしている女の子が私に顔を向けた。

 その顔は血の気が引いているだけでなく、唇が震えている。

 歯と歯が当たってカチカチと小さな音を立てているのも聞こえた。


「あ、あああ」


 女の子が言葉にならない声を零す。

 その際に女の子の目元から、ぽろりと一筋の涙が頬を伝った。


「どうしたの? 何かあったの?」


 明らかに正常ではない。

 恐怖で思考回路がおかしくなってしまった、そんな風に見えた。


 ちら、と主の広間を見る。

 ドラゴンゾンビアンデッドの巨大な姿が遠目に見えるけど、こちらに気づいている様子はない。3人ともこの場所にいたってことは襲われたわけではないだろう。特に目立つ外傷も見当たらない。毒を喰らった……というわけでもなさそうだ。


 一体、彼女たちの身に何があったのだろうか?

 それは彼女たちに聞くしかない。

 もう一回、何があったのかを尋ねると、ゆっくりと女の子が話し始める。

「あ、あ、あの、ゴンザレスさんが」

「ゴンザレスさん?」


 誰それ?

 聞いたことのない名前に思わず首をかしげる。

 あ。もしかして、あの男の人か。

 ゴンザレスって名前だったのか。たぶん、配信者としての名前だろうけど。


 ……あれ?


 そういえば、彼の姿だけ見えない。

 もしかして、女の子たちだけを置いて逃げたとか!?

 いや、それはない。

 だって上の階に逃げてきたのだとしたら、下りてきた私たちとどこかで出会うはずだ。会ってないってことはここにいるはずなんだけど。


 と思っていると、女の子が震えながら主の広間を指差した。


「あの魔物にやられちゃ……うぅ……」

「え!?」


 やられた……やられた!?

 嘘でしょ!?

 ドラゴンゾンビアンデッドに殺されたということ?


 いやいや、まさかそんなわけない……と否定したくなるけど、女の子たちの様子を見る限りは本当らしい。とても嘘を吐いているようには見えなかった。

 

「佐々貴さん」

「ん?」


 執行さんに呼ばれて振り返る。

 執行さんは広間の真ん中を見つめていた。


「あそこ見てください」


 執行さんの隣に移動して、主の広間の中に目を凝らす。


「あれ、血じゃないですか?」

「……そうかも」


 広間の中央付近に地面がひび割れてくぼんでいる箇所がある。

 その周辺の地面がいくらか赤く染まっていた。

 男性の姿が見えないのは、おそらくくぼみの中にいるんだろう。いるって言うと、なんだか生きているみたいだけど。


 …………来るのが遅かった。

 いや、まさか単独で主に挑む探索者――配信者がいるとは思わなかった。

 相手がドラゴンゾンビアンデッドではなくて、普通のドラゴンゾンビだったとしても。DⅠダンジョンの主を相手に単独で挑もうとする人なんて、たぶんいない。いたとしても、よほどの上級者だけ。

 そう決めつけてしまっていた。


 私が歯噛みをしていると、後ろから女の子の一人が「あの」と声を掛けてくる。


「うちらは引き返そうって言ったんです。保安庁の人に謝りましょうって」

「でも、ドラゴンゾンビなんて過去の魔物だから倒せるって言って……」

「うちらにも否定されたからか、ゴンザレスさんすごく怒って『じゃあ俺一人でやるわ!』って入って行っちゃって……」


 そこまで言って、女の子たちは口をつぐんだ。

 まぁ、その先は言われなくてもわかる。

 広間に流れている血が結果を物語っていた。


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