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追放された第六王子の復讐〜僕が拾った木の棒が聖剣になるんです〜  作者: そら・そらら
第7章 雪山の村人

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7-30.子供と遊ぼう

 翌朝。僕はすっかり良くなっていた。だるさも無いし熱もない。本当に無いのかとティナが額をくっつけたけど。


「確かに。熱、無いですね」

「なんで残念そうなの?」

「まだ具合が悪そうなら、一日添い寝して差し上げようかと考えていまして」

「やらないで。風邪が伝染るから。あとゾーラたちが騒がしくなるし」


 治るのに二日かかったのは、みんなが騒いだせいだと思うんだよね。


 とにかく、動けるならば仕事をしよう。昨日話し合った通りに、村人の好感度上げだ。

 そう考えたのだけど。


「僕は何をすればいいのだろう」


 わからなくて立ち尽くしてしまった。


 キアは相変わらず屋根に登っている。

 アンリはもふもふを動かして力仕事に従事している。雪かきに大いに役立っているようだ。性質もあって、アンリは大人たちに受け入れられている。

 ゾーラは若い衆に読み書きを教えていた。村の大人たちの中にも興味を示す者はいて、集まる人数はだんだん増えている。カトレアに倣って胸に名札をつける大人の姿もあった。

 ティナは村の女たちに料理を教えている。得意のパン作りで虜にして、都会で外国的な料理を振る舞えば、どうやって作るのか知りたい者は多いだろう。


 みんな村の役立っている。僕だけ、出来ることがない。


 木の棒を掴んで振り回すしか能がない子供だと思い知らされた気分だ。

 ふと空を見れば、ジェスターとパタパタが飛んでいる。今日も村長から睨まれながら、周囲の警戒をしている。


「きれいだなあ」


 自然と言葉が出た。

 ペガサスが飛んでいる姿は本当に美しい。村の人間が欲しがるのがわかる。


 よし、やれることも無いし、今日はこれを眺めておこう。


 と、考えていると、雪玉をぶつけられた。


「ヨナー!」

「ヨナくん雪合戦しよ!」

「ねぇ! やろうやろう!」


 村の子供たちが集まってきた。他所からきた旅人だけど、歳が近いから親しみやすいとかだろうな。村を守ってもくれたし。


「いいよ! さっき投げたのは誰? 仕返ししてやるー」


 ちょっと怖い感じで返事して雪玉を作れば、子供たちはきゃあきゃあ騒ぎながら逃げていく。

 よし。子供の遊び相手、やってあげよう。これが僕の役目だと言われれば少し不本意だけど、立派な仕事だ。


 雪玉を持って子供たちを追いかけた。


 その間何度も、空にジェスターの姿が見えた。



――――



 相変わらず下から視線は感じるけれど、昨日ほどではない。ペガサスは珍しい生き物だが、毎日見ていれば慣れるもの。村人たちにも、それぞれ仕事があるだろうし、ずっと見ているわけにもいくまい。

 ならば観光資源として使うにも限界がある。カトレアたちもそれを悟って、あっさり手放してしまえばいいのに。


 そんなことを考えながら、ジェスターは今日も空を飛ぶ。


 雲の様子を見るに、吹雪は夜まで来ないだろう。だから村人は夜まで仕事が出来る。もちろん猟師たちも。


 森の枝葉の隙間から、数人の村人の姿が見えた。弓やナイフで武装した彼らは、森を抜けた洞窟地帯に向かっている。こちらが調査に行きたくても行けない方向に、堂々と行けるのが羨ましい。

 彼らの目的は洞窟ではなく、その向こうにある、ペガサスの群れがいた付近だ。他にもペガサスがいるかもしれない。捕まえて村のために有効活用したいという、村長の方針で派遣された一団だ。


 だからメンバーには猟師以外もいるし、カトレアの仲間の若者もいた。カトレアはこの件で村長と意見が一致して、なんとなくギスギスしていた親子仲が改善に向かっているらしい。


 実在も曖昧な実利で結びつく親子仲というのも、あまり気持ちのいいものではない。けれどそもそも、双方が正体不明の現象に村の未来を託しているわけで、似たもの親子と言うべきなのか。

 なんにせよ、仲がいいのに越したことはない。


 周囲に敵の姿はない。白い熊も、狼の群れもいない。もちろん、木々や岩の陰に隠れているかもしれないし、白い熊は雪に溶け込むだろう。不意に現れる可能性は当然あって、ジェスターは一瞬の油断もなく周囲を見回した。


 一度村の外周部を回って、洞窟地帯の逆側の方向にも敵がいないことを確認した上で、もう一度ペガサスの探索隊を見る。

 ふと、雪の中に身じろぎする物が見えた。洞窟地帯にいくつもある岩陰の中に、何かいる。遠くにあるそれを、目を凝らして見た。


 白かった。熊かと一瞬身構えたが、違うようだった。


 狼の顔に人間に近い手足。ただし大人よりも背丈はかなり高い。見たことの無い生き物。

 白い狼は、物陰から何かをじっと見つめてきた。ペガサスの探索隊か。


 直後、白い狼が指差すと同時に、十数頭の狼が探索隊に猛然と向かっていった。


「村長! 大変だ! ペガサスを探しに行った一団に狼が襲いかかっている!」


 すぐさま降下して報告。村長は驚いた顔を見せたが、一瞬のことだ。すぐに村の男たちを呼び寄せて救助に向かわせようとした。

 が、狼の足の方が早い。合流できたとしても狼にやられた後だろう。


「俺も行く。ペガサスならばすぐに向かえる」

「いや! 待て!」


 村長に止められて、ジェスターは目を見開いた。

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