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追放された第六王子の復讐〜僕が拾った木の棒が聖剣になるんです〜  作者: そら・そらら
第7章 雪山の村人

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7-28.ティナの看病

「僕も、パタパタが飛んでるの見たいんだけど」

「駄目ですよヨナ様。安静にしてないと」

「もう、ほとんど熱はないよ」

「ここで気をつけないと、すぐにぶり返しますから」

「うー」


 頭に濡れたタオルを乗せられて、僕は布団の中でじっとしているよう命じられた。ティナが片時も離れず見ているし、起き上がることも許されない雰囲気だ。

 昨日はティナも馬小屋作りに参加していて、僕とジェスターとで起き上がって外を見ていた。それで全快すればよかったのだけど、今日まだ微熱がある。ティナが額をくっつけて直接熱を見たのだから間違いない。


 だから安静にしろってわけだ。ジェスターが空を舞う姿を、僕はまだちゃんと見ていない。見物したいのだけど、駄目と言われた。


 あわよくば、ペガサスに乗って飛びたいとまで思ってたのに。


「病み上がりでそんなことはさせません!」

「えー。でもー」

「それにジェスターさんは、しばらくは誰にも飛ばせるつもりはないって言ってましたよ。パタパタが人に慣れるまで駄目だって。そして、ジェスターさんが信頼できると判断した人しか駄目だそうです」

「信頼なら、僕はされてるから平気だね」

「駄目ですよ」

「えー」

「ジェスターさんの方針に従いましょう」

「ティナは僕よりもジェスターの言うことの方が正しいって考えてるんだー。へー。ふーん。そっかー」

「なっ!? そ、それはっ! もちろんそうです! パタパタに関してはジェスターさんの判断が正しいです! そんな顔されても駄目ですよ!」

「あー。うん。そうだよね。ごめん」


 軽くからかったつもりだけど、ティナは思ったより動揺していた。

 それにジェスターの考えもわかるし。


「僕たちよりも、村人を信頼していないのだと思う」

「……はい。ペガサスは貴重です。そして、自分たちの物にしたいと考えているのでしょう」

「売れば高いだろうしね。村長なんか、なんでペガサスが現象で村に来なかったのを悔しがってそうだよね」

「はい。それにカトレアさんも、パタパタは村の物にするべきと考えているそうです。さすがに売りはしないでしょうけれど」

「観光資源として使うとか?」

「そのつもりかと」


 ホイの話を教えた時に、街であったセイホラン様の祭りも話した。祭りの際は旅人が集まりお金が儲かると。


 この手の観光資源がある場所は発展しやすく町になりやすい。さすがに祭りまではいかなくても、珍しい生き物を飼育しているとあれば近隣から人が集まるだろう。町に一気に近づくとか、そんな魂胆か。


「けど、パタパタはジェスターに懐いてるし、もふもふとも恋仲だ」

「はい。しばらくは、もふもふと離れないでしょうね」

「僕たちは冬を越せば旅に出るし、ジェスターだって村の人間じゃない。村は冬の間に、なんとかパタパタを自分の物にできないかと考える」


 寝転んだまま、窓の向こうにある馬小屋を見た。カトレアたちがあれの製作に熱心だったのも、意図を感じる。このままパタパタの終の住処にさせるつもりか。

 ジェスターはそれに気づいている。だから村の人間をパタパタに近づけたくない。


「こんな所だけ、村長とカトレアの意見が一致するなんてね。僕たちには困ったことだ」

「利害関係が複雑になってきましたね」

「村を襲う正体不明の相手が複数いるのにね」

「はい! ですがヨナ様、深く考えるのはやめましょう! 今は寝てください! 何も考えないで!」

「えー」

「早く元気になってほしいんです!」

「それは嬉しいけど、横になって何もしないと退屈で。何も考えないとか無理だよ」

「では、子守唄を歌ってあげますね!」

「いや、なんでさ」

「眠れるようにです! ヨナ様、わたしのこと、お母さんだと思って甘えてください!」

「言ってる意味がわからない」

「ふふっ。わからなくていいんです。考えちゃいけません」


 優しい笑顔を向けてから、ティナは僕の頭を撫でて歌い始めた。


 僕の母は、王都で亡くなったあの人だけだ。ティナにその代わりができるとは思えない。


 でも、やろうとしてくれるのは嬉しい。それに心地よかった。眠るつもりは無かったのだけど、歌声に誘われるままに、まぶたが重くなってきて。ウトウトしだして……。


「ヨナ! 動物が村に来る現象の手がかりがあったぞ!」


 キアが家に駆け込んできて、眠気は一気に吹っ飛んだ。


「キアさん! なにしてるんですか!? せっかくヨナ様が眠りかけてたのに!」

「おおう。それはごめん。あー。どうしよう。よし、アタシも寝かしつてやる」

「いや。無理でしょ。現象の手がかり見つかったって聞いて、それで寝るとかできないよ。話してよ」

「キアさん、子守唄一緒に歌いましょう」

「アタシ、そういうの知らないんだけど」

「じゃあ、なんかいい感じの歌を歌ってください。子守唄がふたつあれば、眠る早さも倍です」

「子守唄ってそういうのじゃないと思うんだよね」


 やがてアンリとゾーラも戻ってきた。アンリはもふもふの世話をしていて、ゾーラは子供たちに取り囲まれていたようだ。学者だからペガサスに詳しいだろうと思われ、見慣れぬ生き物について質問攻めに遭っていたらしい。


 どこに住んでいるのか。何を食べるのか。大人たちもこっそり聞き耳を立てていたそうだ。


 探しに行くつもりなのかな。

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