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追放された第六王子の復讐〜僕が拾った木の棒が聖剣になるんです〜  作者: そら・そらら
第7章 雪山の村人

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7-24.熱が

 彼の上に乗っかり噛みつこうとしている狼に飛びかかり、どかせる。そして剣で狼の胴をひと刺し。手元が狂ったのか、急所を外してしまった。狼が足をバタつかせて、蹴飛ばされてしまった。

 雪の上に投げ出された僕に狙いを変えた狼だけど、横から登場した黒い馬に蹴飛ばされて攻撃はできなかった。


「ヨナ!? 無事!?」

「うん! 平気! いける!」

「この狼はわたしたちに任せて!」


 もふもふに蹴飛ばされた狼に上から矢が射られる。


 アンリたちが無事に帰ってきたことに安堵しながら立ち上がり、少し体がふらつくのを感じた。どこか痛めたかな? 確かに噛まれた足が痛い。

 気がつくと、狼は全滅していた。ジェスターが上から矢を射掛けて、効率よく仕留めてくれたのも大きかった。


 そんな彼は空飛ぶ馬と共に地面に降り立った。翼が生えているから飛べるのか。


 いや、なんだこれは。


「ペガサスよ! もふもふの恋人なの!」


 そっか。ペガサスか。聞いたことないな。馬同士のカップルって恋人と言うのかな。


 アンリの説明では理解できない。なんか頭もぼーっとしてるし。


 村人たちも、見たことのない生き物の登場に目を丸くしていた。魔物ではないのかと警戒しているけれど。


「確かにペガサスね。あたしも本物は初めて見たわ。でも魔物じゃない。馬と同じ、普通の生き物よ」


 学者であるゾーラが驚き混じりながら説明したため、混乱は避けられた。


「このラロシエリ国の北方では飼育されてるって話は聞いたけど、実在するなんてね」

「こいつは野生の個体だ。そして、俺と同じ仇を持つらしい」


 昨夜キアたちに話したという、ジェスターの仇の白い熊のことを僕たちも聞くことになった。それでペガサスと心を通じ合わせたのか。

 いい話だな。僕は、今も降り続ける雪が寒すぎて、あんまり話が頭に入ってこなかったんだけど。


全身が震えて、歯がカチカチと音を鳴らした。


「あら? ヨナってば寒そうね! ほら、もふもふとパタパタの間に挟まって! モフモフで温かいから!」

「へぶっ!?」


 返事をする前に、動いた馬に強制的に挟まれる。確かに温かいけど、馬の毛についた雪が当たって冷たくもあった。

 脱出しようとしたけど、馬の力が強い。


「ねえゾーラ、もふもふとパタパタって、子供を作れるのかしら!?」

「北方の飼育地では、馬とペガサスを飼育する場所は厳重に分けるって決まりがあるそうよ。つまり、作れるってことね」

「そうなのね! 別々にするなんて。わたしはそんな、可愛そうなことはしないわ!」

「そうは言うけど、馬の出産って大変よ? もちろん子育てもね。旅をしながらやるのは無理よ」

「えっ!? それは困るわね。どうしましょう……」


 そんな会話を聞きながら、僕はなんとか馬の間から抜け出した。


「ティナ。な、なんだか。すごく、寒いんだ……」


 無意識の内に、助けを求める言葉が出て。


「はい? あっ! ヨナ様!? すごい熱ですよ! というかずぶ濡れじゃないですか!?」

「寒いのに、熱くて。たすけて……おか……」


 自分でも何を言っているのかわからないまま、彼女の胸に倒れ込む。そっか。熱があるんだ。だから寒いのか……。

 足が痛いなあ……。


 ぎゅっと抱きしめてくれる感覚がした。


「すぐに家まで運びましょう!」

「そうね! 村長の家まで!」

「あ。違うの。あっちの家よ!」

「なんでよ!?」

「とにかく! 早く運ばないと!」

「ヨナ、体のどこかを狼に噛まれたか?」

「足。痛い……」

「よし! 寝かせる前に足を洗うぞ! 綺麗な水と石鹸を用意しろ!」

「何言ってるんですかキアさん! ヨナ様の体を冷やすつもりですか!?」

「傷口を洗わないと、そこが膿むんだよ! あと熱が出た原因もそれだ! なあゾーラ!?」

「ええ。そうね。狼の牙からヨナくんの体に、毒みたいなのが入ったのよ」

「魔物じゃなくて普通の狼ですよ!? 毒なんてないですよね!?」

「そのはずなんだけど、獣に噛まれた人が風邪みたいに熱を出すことはよくあるのよ」

「ああもう! 酔っ払いと巨乳の言うことですけど、信じます! ヨナ様失礼します!」


 僕のズボンをめくり傷口を確認。そこに冷水がぶっかけられたり石鹸が染みたりして、かなり辛かった。

 でも必要な処置だし、これ以上悪くなることはないだろう。


 というわけで、僕は家の中で厚着させられ、布団を被って寝かせられた。熱い。


「風邪を治すには、温かい格好をするのが一番よ。少し休めば良くなるから、安静にしてなさい」

「うん」

「わたしがつきっきりで看病しますからね、ヨナ様!」

「うん。お願い……」

「あら? 看病なら学者のあたしもやるけど? 学者だから、病人の扱いとかも知識があるしねー」

「ゾーラさん歴史学者で、医者じゃないですよね?」

「そうだけど、知識はあるのよ!」

「お前ら。病人の前だぞ。静かにしろ」

「はい……」

「悪かったわよ」


 同じく家の中に逃れたジェスターに怒られて、言い争いしていたふたりはしゅんとなった。

 僕としては、多少賑やかなのはいいんだけれどね。騒がしいのは、確かに今は体に良くなさそうだけど、みんながワイワイしてる方が楽しい。

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