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追放された第六王子の復讐〜僕が拾った木の棒が聖剣になるんです〜  作者: そら・そらら
第6章 第五王子

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6-31.魔物の館

 僕もすぐに向かうけど。


「うわっ!? 中暗い!? オークいた!? もふもふ頑張って! いや待って狭い! 一旦下がって!」


 敵が潜んでいてアンリはピンチらしい。地下はそんなに広くなく、体の大きなもふもふが動くのは困難。もちろん敵であるオークも同じだろうけど、ピンチを悟ったアンリは慌てて後退しようとした。

 助けに行かないと。駆け出したけど、背後から蹄の音が近づいているのに気づき振り返った。


 外で戦っていたオーガとバイコーンが、こちらに攻撃するために建物内に入ってきた。アンリの方へ走ると、敵に追いつかれて背中を刺されるだろう。だから迎え討たなきゃいけないのだけれど、早くしないとアンリが危険だ。


「ヨナウス! あの子は任せろ! 俺たちで助けに行く!」


 レダウスの声。見れば、クリストンとカレンを引き連れて階段の方へ駆けていた。任せていいのかと心配にはなるけれど、現状そうするしかない。


 迫るバイコーンに向き直った。奴は頭を下げて、二本の角でこちらを突き刺そうとしていた。角の動きを見定めて、それに当たらないようにしながら僕からも聖剣を突く。

 木の枝がバイコーンに深々と刺さり、同時に僕は馬の肩に当たる場所に強かに激突した。後ろに大きく突き飛ばされる僕と、致命傷を負って崩れ落ちるバイコーン。


 オーガが落馬して床に叩きつけられる。けれどさすがは頑丈でタフな体らしく、すぐに起き上がって僕を睨む。


 僕も構えないと。体中痛いけれど、ちょっと強めに打っただけだから問題ない。持っていた木の枝はバイコーンに刺さったまま。腰に手をやったけど、そういえば剣はティナに渡していた。

 オーガが持っている棍棒を振る。回避すると、廊下の木製の壁がバリバリと音を立てて砕けた。


 破片の中に、細長い木片を見つけた。しゃがんで掴もうとしたけど、敵もそれを許すとまずいと悟ったのだろう。床に伸ばした手に向けて棍棒を振り下ろした。僕は手を引っ込めたけど。床が砕けて木片は他の破片と混ざって行方不明。


「こいつっ!」


 だったら聖剣なしで戦ってやる。


 振り下ろされた棍棒に片足を乗せる。敵もすぐに棍棒を振り直そうと持ち上げたから、僕の体が一瞬床から離れた。


 棍棒を蹴ってオーガに接近。そいつの鼻を思いっきり殴った。くぐもった悲鳴と共にオーガはよろけたが、すぐに僕に腕を伸ばした。大きな腕が僕の肩を掴み、みしりと音がした気がした。

 引き剥がされまいと、片腕をオーガの首に回して掴みながら、片手を奴の目に伸ばす。親指でオーガの目を押して力を込めれば、嫌な感覚と共に眼球が潰れて液体が溢れ出して手を汚す。


 悲鳴と、一際強い力。僕の体は再度オーガによって投げ出されて、床に叩きつけられた。オーガは目を押さえて後退っている。片目は無事で僕が見えているはずだけど、痛みや動揺でそれどころではないのか。


 周りを見れば、細長い木片を見つけた。体中が痛むけど、なんとか立ち上がってこれを掴みオーガへ駆ける。振り払おうとする奴の片腕を避けて心臓を一突き。

 巨体がぐらりと揺れて倒れる。それと同時に、僕の体もふらついた。


「あれ?」


 戦ってる間は気づかなかったけど、額に生暖かい感覚がした。血が流れてるのかな。触れた手はオーガの体液まみれで、よくわからなかった。


「あっ」


 意識が薄れていくのがわかり、その場で崩れ落ちていき。


「ヨナ様!?」


 何度目かの地面との激突の前に、ティナが駆け寄って抱き止めた。


「ごめんなさいオーガにおひとりで立ち向かってるとは気づかないで! 呼んでくれれば助けにいけたのですけど! もう大丈夫ですから! カレンさん! ヨナ様が負傷しました! 出血しています! あ! ゾーラさん闇で包帯作ってください!」


 僕の肩を支えて建物の奥まで向かうティナ。周りはだいぶ静かになっていて、戦闘は落ち着いたらしい。こちらが勝ったということか。

 どこかの部屋のベッドに横にされる。ここは娼館であり、このベッドが何に使われていたかはなんとなく理解できた。


「大丈夫よ。出血箇所を押さえておけば、血はすぐに止まる。安静にしてなさい」


 ゾーラが僕の髪をかき上げて傷口を確認。杖を振って闇製の包帯を作って巻いていく。もちろん応急処置で、後でちゃんとした包帯に変えるはずだ。


「アンリは無事? なんか悲鳴を上げてたけど」

「無事よ! 危なかったけど」


 もふもふとアンリが部屋に入ってきた。元気そうだ。


「危なかった?」

「地下に牢屋がいっぱいあって、廊下が狭かったの。で、オークがそこにいて剣を振り回してて。反撃しながら慌てて後ろに下がったけど、もふもふがちょっと怪我しちゃって」

「大丈夫なの?」

「ええ! カレンが治してくれたわ! オークも、レダウスとクリストンが倒してくれた! もふもふの下をくぐってオークの近くまで迫って刺したの。オークはめちゃくちゃに剣を振ってたから、途中で牢屋の隙間に挟まって動けなくなって。その隙に、ぐさって」

「そっか」


 みんな、ちゃんと戦ってくれたんだ。


「ラルフのためだよ。あいつが惚れた馬が傷つくなんて、悲しいじゃないか」


 扉からレダウスが顔を出した。任せろと言ったことをしっかりやれて誇らしい。そんな顔だった。


「ありがとう、レダウス。本当にありがとう」

「兄として、弟の仲間を助けるのは当然だよ」

「あの。カレンさん。ヨナ様の怪我も見てください」

「ええ。わかりました」


 余裕があるのか、聖女然とした口調のカレンが僕に近づく。

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