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追放された第六王子の復讐〜僕が拾った木の棒が聖剣になるんです〜  作者: そら・そらら
第6章 第五王子

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6-29.魔物との混戦

 オークの背は兵士よりもあり激突の衝撃も相当なものだけれど、魔物との最前線で鍛えられた兵士たちは受け止めて見せた。すかさず後ろにいた兵士がオークの首を槍で突く。下がった弓兵も引き続き攻撃を続けていた。


 もちろん盾は、何体も押し寄せてくるオークの波にずっと耐えられるわけではない。オークの混紡を受けて盾の列が乱れた瞬間、彼らは盾を捨てて剣を抜き、オークに肉薄して切り裂いた。オークの胴から血と臓物がまろび出て地面を汚した。


 これで戦列は崩壊。障害物だらけの森で乱戦となった。パワーがある敵を相手するなら、こっちの方がいいだろう。

 僕は最前列で聖剣を振る。オークが棍棒を振り下ろそうとしたのを、そいつの腕を切断して無力化した上でとどめを刺した。


「ヨナ! 右気をつけて!」

「え? うわっ!?」


 バイコーンに乗ったオーガが真っ直ぐこちらに迫ってきた。


 しかし側面から矢が飛んできて、バイコーンの足の付け根に刺さる。足をもつれさせるようにバランスを崩したバイコーンに、もふもふが横から激突。完全に倒れ込んだオーガにアンリが上から矢を射る。僕も加勢して、オーガが起きる前に首を切って確実に殺す。


「バイコーンは強いね」

「森の中でも遠慮なく走ってくるしね! こっちも負けてられないわ!」

「そこに対抗意識持たないでもいいんじゃないかな」

「確かにね! ヨナ、あそこのオークのとどめを刺して!」

「うん」


 少し離れた位置にいたオークの脇腹をアンリは射た。殺すまではいかなくても、大幅に動きが落ちた。これを完全に殺すのが僕の仕事なんだね。

 すぐに駆け寄って、聖剣で奴の胴体を両断した。オークの上半身だけがどさりと地面に落ちる。


「ヨナくーん。こっちもお願い!」

「はいはい」


 オークが棍棒を振り上げたところ、それに近くの木の幹から伸びた闇の蔓が絡みついた。両腕を掲げたまま動けなくなったオーク本体にも蔓が巻きつこうとしているのを見ながら、そいつの体も真っ二つにする。


「さすがね! アンリちゃんはひとりでも戦えそうだから、ヨナくんはあたしを守りながら戦って!」

「さっき、僕を守るって言ってなかった?」

「言ってたかも! どっちでもいいわねー。けど乙女としては、男の子には守ってもらいたいものよ」

「ロマンチストだね」

「ふふっ。ドキドキしちゃった?」

「ゾーラさん! 戦ってる最中にヨナ様を口説かないでください! 真面目に戦って! というか! こっちを手伝って! あの! ちょっとヤバいです! うわー!?」


 ティナがオーガに襲われていた。騎乗はしておらず、大きな剣を持っている。振り回される剣からティナは逃げ回っていた。剣の軌道を正確に見極めていて、当たる気配はなさそうだ。


「ゾーラ行くよ」

「ええ。あの大きな敵相手に普通に戦えてるあたり、放っておいてもティナは負けないと思うのだけど。何がヤバいのかしら」

「まあ確かに」


 オーガが振った剣を回避した結果、剣は近くの木の幹に深々と刺さった。動きが止まった隙を見逃さず、ティナは踏み込んでオーガの胸に剣を突き刺す。


「ほら。あたしたちが加勢するまでもなく勝った」

「うん。いや待って。まだオーガ死んでない。行かないと」

「あっ! 待ってー」


 心臓の位置がずれていたのか、オーガには息があり、剣を捨ててティナを直接掴もうとする。ティナの方も、オーガに刺さって抜けなくなった剣は手放して後ろに下がる。

 僕の方をちらりとみてから、それと対面するように位置を動かしてオーガから逃げれば、オーガは完全に僕に背中を見せることとなった。当然、僕の接近には気づかず聖剣の餌食となる。


「ありがとうございますヨナ様! あの、剣が抜けなくなったのでヨナ様の貸してください!」

「いいよ」


 オーガの筋肉が収縮して剣をがっちり掴んだ上に倒れた死体の下敷きになっている。後で回収するにしても、戦線にすぐに戻るなら他から調達しないと。

 ティナは横を向いた僕の腰から剣を抜いた。


「ありがとうございます。それからゾーラさんには後でお説教ですね」

「いや。なんでよ」

「だって。ヨナ様を引き止めて、わたしを助けてくれなかったじゃないですか」

「あんた普通に強いし勝ってたでしょ?」

「わたしだって男性に守ってもらいたいたいんです!」

「なによそれ。え、ちょっと待って。戦いながらあたしたちの会話聞く余裕すらあったの!?」

「これでもわたし、兵隊として訓練を受けていたので! えっへん!」

「やっぱあんた普通に強いでしょ」

「えへへー。ヨナ様を守るにはこれくらい強くないとですから」

「抱きつかないで。ほら次が来たよ。ふたりとも真面目にやって」


 こちらに棍棒を振りかざすオーク。直後、奴の足に蔓が絡まっていく。力ずくで抜け出そうとして、実際半分くらいの蔓が引きちぎられている間に、僕とティナはオークに肉薄。

 オークの膝を聖剣で切断すれば、巨体がぐらりと倒れかかる。頭の位置が低くなった瞬間に、ティナが喉をかき切った。血がかかるのを回避して、次の敵を探す。


 劣勢と見た魔物たちは退却していく。森の中で巨体は動かしにくく不利と見て、建物周辺の開けた場所に戻るつもりか。


 兵隊長が攻め込めと合図する。兵士も冒険者も、村の魔物の拠点を落とすべく駆け出した。

 僕たちも後ろに続いて。


「待った止まれ! 前をよく見ろ!」


 頭上からキアの声が聞こえて足を止めた。前を見れば、開けた場所に出た途端に何人かの兵士がガクンと姿勢を崩して転んだ。そこにオークが棍棒を振り下ろし、哀れな兵士の頭をかち割って殺した。

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