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追放された第六王子の復讐〜僕が拾った木の棒が聖剣になるんです〜  作者: そら・そらら
第6章 第五王子

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6-19.英雄村

 その間に、他の者は既に動いていた。

 ミレーネたちを新たな敵だと認識したオークが襲いかかったが、彼女は冷静に槍を突く。心臓を正確に捉えた突きは一撃でオークの命を奪い、それを確認したミレーネはオークの体を蹴って槍を抜いて次の敵を探した。


「ティナはヨナくんと合流して! キアとあたしで協力してオークを倒していきましょう」

「おう。家の近くにいるオークから動きを止めてくれ」

「いいけど、あの巨体と怪力を縛りつけても、すぐにちぎられるわよ!?」

「ちぎられないよう頑張ってくれ! アタシもすぐに終わらせるから!」

「ああもう! わかったわよ! あれから!」


 今まさに、誰かの家をバリビリと破壊しているオークに、壁面から蔓が伸びて手足に絡まっていく。

 相手が大柄なのを意識してか、いつもよりも太くてベルトと言った方が良さそうだった。


 未知の攻撃にオークは戸惑い、引きちぎろうともがいた。その間にキアは家の屋根までスルスルと登ったかと思えば、オークの肩に飛び降りる。敵の禿頭を手でしっかり持って振り落とされないようにしながら、ナイフでオークの喉をかき切った。


「よし次!」

「じゃあ、あのオーク!」

「よし!」


 流れ作業でオークを一体ずつ殺していく。


 僕も負けてられない。細い矢から、家の破片らしい長い棒に聖剣を持ち替えて、近くにいたオークの胴を両断。


「オークを殺しながら怪我人を探そう。ティナは援護して」

「はい!」


 僕がオークを次々に殺している間、ティナは周囲の警戒をする。視界の外からオークが襲ってきたら知らせるし、怪我人も探す。僕が一撃で仕留め損なえば、とどめを刺してくれた。


「いた! 怪我人! カレンさんこっちです! 早く!」


 家の瓦礫の下敷きになった男の姿。まだ息がある。カレンを呼んでるティナを守るように立てば、オークの一体がこちらに近づいてきた。


「来いよ相手してやる」


 聖剣を持つ手に力を込める。聖剣の力を全て引き出せていない僕でも、この力だけはちゃんと機能した。


 オークは僕を、棒切れを持った子供としか見ていないはずなのに、動きが止まった。何を恐れているのかオーク本人にもわからないらしい。

 恐怖を振り払うために咆哮を上げて突進してくるオークは、それでも本能に逆らえず、僕ではなく後ろにいる女に注意を向けて、僕を意識しないよう努力してるようだった。


 そのオークに正面から当たるように、こちらからも突っ込む。オークが太い腕を振って僕を払いのけようとしたから、剣を振って腕を切り落とす。さらにオークへ体当たり。


 聖剣が敵の心臓へ深々と刺さって命を奪うのと引き換えに、僕は死体が勢いのままぶつかってくるのに直撃して地面に倒された。

 そこにオークの死体が倒れ込んでくるのを見て、慌てて逃げる。危うく下敷きになるのは避けられた。どさりと大きな音と共に倒れるオーク。これにのしかかられるのは勘弁だな。


 ぶつかった拍子に棒は手放してしまった。腰の剣を抜いて次の敵を探すけど、どうやら戦いは終わったようだった。


「みんな。隠れている生存者がいれば探してくれ。まだ魔物が襲ってくるかもしれないから、警戒は怠るな。怪我人がいれば重傷者から治療する」


 ミレーネが槍を持ったまま僕たちに指示を出す。


「何があったのか、村人から聞きたい。生存者の数も把握しないといけないからな」

「そういえば、森の中に連れて行かれた女の人がいたわ」


 アンリが近づいて伝えたことに、ミレーネは沈んだ顔になった。


「そうか。町の方に逃げた者とも何人もすれ違った。彼らを連れ戻して、村を復興させないと」

「できるの? めちゃめちゃになっているけれど」


 見たところ、無事な家屋はほとんど無いようだった。扉なり壁なりが壊されていて、雨風もしのげない家ばかり。多くの死体が転がっているし、田畑でも戦闘があったのか荒れた場所が目立つ。オークが暴れた余波は家畜たちにも及んでいて、動物の死骸も多かった。


 人も財産も失われて、土地も荒らされた。それでも生存者はこれからの人生を歩まねばならない。どこかで生きなきゃいけないなら、生まれ育った村が適切なのはわかるけど。


 村人たちを見た。家族を失ったらしい女が、地面に膝を付き泣き叫んでいた。行方不明の家族を探して彷徨う者もいる。

 村長の跡継ぎがいなくなったと、力なく話している者もいた。


 死者も行方不明者も多い。被害が甚大すぎる。


「それでも、この村だけは復興しないといけない。この地域の象徴だからだ」

「象徴?」

「昨日話しただろう。この地に、ジェイザックの子孫が集まって住む村があると。それがここだ」

「ここが、英雄村……?」


 アンリが村の惨状を再び見ながら、呆気にとられた声を出した。


 ジェイザックの子孫の村と聞けば、いつもは興奮するだろう。しかしそれが魔物の攻撃によって壊滅したとなれば、言葉が出ないのもわかる。


「英雄の子孫と言っても、みんな普通の人間だ。魔物に強いわけじゃない。でも、英雄の子孫という矜持はあるはずだ」

「ええ。プライドで、なんとか復活してほしいわね」


 アンリの気持ちとしてはそうなのだろうけど、気持ちだけでなんとかなるほど簡単なことじゃない。

 とにかく今は、被害状況を確認しないと。そのうち町からも救援が来るだろうけれど、今のうちに出来ることをしよう。


 生存者を集めて、遺体も集める。怪我人は治療する。


 英雄の村が無残な姿になったことにショックを受けたらしいアンリも、皆を手伝うべく馬から降りようとして。


「え? ちょっ! もふもふどうしたの!?」


 もふもふが急に森の方を向いたと思ったら、アンリの指示も無しに走り出した。アンリは慌てて体にしがみついた。

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