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追放された第六王子の復讐〜僕が拾った木の棒が聖剣になるんです〜  作者: そら・そらら
第6章 第五王子

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6-1.学園の三人

 王都の一角に、広大な敷地を持つ施設が鎮座している。高い柵は頑丈な造りで、いくつかある門には兵士による警備がなされている。


 ここは国内にある唯一の教育機関。国立レバリウス学園。ここを創立した当時の国王の名を冠したこの学校は、十三歳から十八歳になる青少年への教育のためにある。


 ここで学ぶのは王族や貴族たちの他、有力商人や宗教関係者の子女たち。いずれも富裕層であり、将来国を動かす者たちだ。さらに周辺の、小規模で自国に学校を持たない諸国の王族や貴族の子供たちも来ている。

 彼らに集団生活をさせて交友関係を深め、将来の国家運営の助けとする目的もある。故に基本的に生徒たちは寮生活を送ることになり、日々の暮らしを共にしていた。


 貴族の振る舞いがどうとかで息苦しい実家から離れた生活を、大いに楽しむ者も多いとされている。


 そんな学校は、そろそろ冬季の長期休暇に入る時期だ。年を越すのは家族と共にという家も多く、生徒たちは実家に帰る準備をしている者が多い。


 ただし、何らかの事情で帰れない者もいた。


 今年は、王家の子女三人が、決して学校の敷地から出るなと厳命されていた。家族がいる王城は同じ王都のすぐ近くにあるのに、行くことができない。

 彼らは困惑するしかできなかった。



「どういうことだ!?」


 第四王子リードウスの怒声が響く。


 ここは学園内にある庭園。ロイヤルガーデンと名付けられているここに植わっている花々の管理には、王家から費用が出されている。

 今も、色とりどりの花が咲き誇り、そよ風に揺られている。香りにも注意が払われており、訪れる者を癒していた。


 学園内でも特に美しい光景が見られるこの場所だが、周囲を柵で覆われていて一般の生徒は容易に立ち入ることができない。

 王族と彼らが許可した者だけが入ることができる、秘密の場所。余所に漏らしたくない秘密の会話をするための場所だった。


 その庭園の真ん中にある円形のガゼボに、きょうだい三人が集まっている。


 それぞれ備え付けのベンチに座っていて、テーブルにはお茶と菓子。

 和やかなお茶会という雰囲気にはならない。美しい花々も、張り詰めた空気を緩和するには力不足。


それもリードウスのせいだ。


 彼はなおも怒りが収まらない様子で、手紙を弟である第五王子レダウスに手渡した。


 王である父から受け取った手紙では、王家を狙う恐ろしい悪意の存在をほのめかされていて、安全な学校の敷地から出るなと記されてあった。

 詳しい説明はない。悪意とは何なのか書かれていない。ただ、命令に従えという簡潔な文章があるだけ。


「父上も母上も何を考えているのだ。新年を家族と共に過ごせないなど!」


 リードウスは学園で優れた成績を修めている。学年では主席だし、周囲からの尊敬も集めている。将来は王族として立派に仕事ができると、誰もが見ていた。

 その優秀さを両親に褒めて貰いたいのだろう。思ったよりも子供っぽい感情だ。


「ですが兄上。グラドウス兄上もテナンドウス兄上も、ヨナウスまで亡くなって。何かが起こっているのは確かですよ」


 リードウスを宥めるように声をかける女。第二息女のフィオーラだ。レダウスからすれば姉に当たる。

 しかしリードウスにとっては妹から窘められるのも腹立たしいことのよう。さらに許せないのは。


「ふんっ。ヨナウスを勘定に入れるな。あいつは王族などではない」


 優しいフィオーラが、下賤な血の流れるヨナウスを弟として見るのが気に食わないらしい。


 ヨナウスが亡くなったことは、学校にも知らせが来た。リードウスはさしたる反応を見せなかったのに対して、フィオーラは本気で悲しんでいた。


 そんな彼女は兄に意見を重ねたいのだろうけれど、どうせ叱責が飛んでくるのは目に見えている。


 フィオーラの後ろに控える女が、ポットからお茶のおかわりをカップに注いだ。学校の制服は着ているものの、メイドのような振る舞いをしている。

 彼女はどこかの貴族の三女だったか。フィオーラと馬が合って信頼を勝ちとり、学園にいる間は侍女の真似事をしている。ここで繋がりを持っていれば、卒業後もフィオーラの周りで仕事ができるとかの思惑があるのだろう。


 それを知らないわけではないだろうけれど、フィオーラはありがとうと素直に礼をした。


 侍女は次に、リードウスとレダウスにもお茶を注いだ。リードウスは、それが当たり前とばかりに何も言わなかった。レダウスは、格下相手とはいえ年上の気遣いに、気恥ずかしさを感じながら軽い会釈をする。


 お茶を飲めば、リードウスも少しは落ち着いたようだ。


「確かに、グラドウス兄上とテナンドウス兄上の訃報には驚いた。なにかあるのは間違いない。父上も母上は、俺たちに何かを隠している」


 結局、リードウスが気に入らないのはそれだ。家に危機が迫っているのに、自分は関われずに安全圏に留め置かれている。

 まだ未熟者だとみなされるのが嫌なんだな。自分は立派に王家の力になれると示したい。


 気持ちはわかるとも。レダウス自身にも、その気持ちが無いとは言えない。


 けれど今回は、そんなこと言ってられない。王子が三人、立て続けに死んだ。なぜ死んだのか、父は詳細を説明してくれない。公には病死だと発表された。そして、安全な学園から出るなという指示。

 どう考えても怪しい。


 兄ふたりと弟は人為的に殺された。そう考えると辻褄が合う。

 何者の仕業かはわからないけれど、確かに恐ろしい悪意と見て間違いないだろう。


 ただし、それだけでは終わらない、噂話も流れている。死んだヨナウスが復活して、王都を襲ったドラゴンを倒したという、荒唐無稽な話。


 なのに多くの人が、真実じゃないかと真剣に話している。

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