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追放された第六王子の復讐〜僕が拾った木の棒が聖剣になるんです〜  作者: そら・そらら
第5章 魔女の師

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5-18.僕への挑戦

 一家四人、全員が絞殺された後に紙を貼られてゾンビになった。ゾンビにされたのは、僕が大勢の兵士と市民に見守られながら町を警備していた最中のこと。

 ただし、絞殺されたのがその直前とは限らない。


「夜中に何者かが侵入して、静かに一家を殺した。みんな寝静まっている頃だから簡単でしょう。そして夜明けを待ってゾンビにした。そんなところでしょうね」

「でも師匠、犯人はどうしてそんなことを? あ、紙の解読は難しそうです。どこかで資料になる本を探して見比べてやらないと」


 ゾーラが諦めたのか、アカナの方に寄っていった。


「殺してからゾンビにするまでの時間差があるのは、なぜでしょう」

「決まってるじゃない。そこの美少年にぶつける気だったのよ」


 周囲が一斉に僕の方を向いた。照れるからやめてほしいなあ。美少年扱いされるのも変な気分だ。アカナはやめないけれど。


「町を挙げて彼を歓迎している。そこにゾンビをぶつけて、どう動くかを見る。ジェイザックの生まれ変わりへの挑戦だよ」

「ええー……」


 なんでそんなことをするんだ。犯人がゾンビを作ってたのは、僕とは無関係だよね? 僕が来る前からやってたんだから。


「せっかく作ったゾンビを、せっかくだから英雄気取りの子供にぶつけようと思ったんだよ、きっと」

「キア。僕は英雄じゃないし、気取ってもないよ」

「でも、ゾンビ作った奴にはそう見えた」

「うあー」

「そうですよ。ヨナ様が目立ったのに、その人は嫉妬したんです。自分が作ったゾンビが町の話題を独占してたのに、それを奪われたので!」

「だから僕を襲わせたってこと? 話題なんか譲るから、僕にぶつけないでほしいなあ」

「でも良かったじゃないですか。ヨナ様の敵ではありませんでした」

「そうなんだけど。僕が余計に目立ったんだよ」

「そうよ! 犯人はヨナに目立ってほしかったのよ! そうすれば本物の英雄っぽくなれるから! 伝説が本物になるから!」

「だから、それは犯人が前からゾンビを作ってた理由の説明がつかない」

「いつかこの日が来るって思って準備してたのよ! すると本当に来た。願いは叶うのね! しかもアンリーシャまで来たし!」

「うん。一回伝説から離れようか」


 みんな犯人の動機について好き勝手話す。なんでこう、注目を集めなきゃいけないんだ。


「ヨナ様大丈夫ですよ! 犯人は見つかりますしゾンビも出てこなくなります! そして町から出られますよ! それまでわたしがお守りします!」

「うん。ありがとう」


 頼りにはしてる。けど、ティナの大丈夫には根拠がないんだよね。


「よしよし。怖くないですよー」


 それでも、ティナに頭を撫でられれば、少しだけ安心できた。


 アカナが呼ばれたのは、ゾンビになった家主に売った薬草がどれか兵士に報告するため。問題がないものだったのか軍の方で調べるとのことだ。

 もしこれが毒であった場合、アカナの立場がまずいものになるが、その心配はなさそうだ。この家に何度も処方しているものだし、そもそも死因は絞殺で毒殺ではない。

 一応の取り調べでしかないのは兵士の方も理解していて、あっさり解放された。


 どちらかといえば、兵士たちは僕と話したいようだ。ゾンビを容易く切り裂いたのはどういう理屈か。異能だと知れば感嘆の声を上げて、どこまでもジェイザックとそっくりだと口々に言う。

 そして次の言葉は予想がついた。この町の軍に入ってほしい。この力が知られれば、町の人は犯罪なんか起こそうとは思わなくなる。


 暗に、ずっとこの町にいろと言ってるようなものだった。


 逃げるように兵士から離れていく。ティナの陰に隠れようとしたら、その近くヴァニアがいた。

 わたしの言った通りとばかりに、ニヤリと笑っている。さっきのは本当だと。誰もあなたを町から出そうとしないと言っているようだった。


 この笑顔が嫌いだ。



 兵士から解放された僕たちは、アカナの家に向かった。落ち着いて話がしたいから。

 町の大通りに面した所に、アカナの自宅兼薬草屋はあった。お金持ちの後ろ盾があるのも納得で、好立地で広い物件だ。


 通りに面するように建物があって、その後ろに裏庭があった。いろんな植物が植えられているけれど、それが薬草なんだろうな。


「ここと、スレンディルの屋敷の庭にもスペースがあって薬草を育ててるわ。冒険者に頼んで、町の外の森から材料を調達してもらうこともある」


 説明を受けながら裏庭から建物に入った。店は、本日は臨時休業とのことだ。

 アカナからすれば、ジェイザックの研究の片手間にやっていることだし、休みが多くても問題ないのだろう。



 庭にもふもふを繋いで、住居スペースに通される。

 やはりというか、部屋の棚には僕にそっくりなジェイザック像が飾られていた。しかも重そうな金属製。


 他にもいくつか、別の人物の銅像が置かれていた。可愛らしい女の子の像や、大人たちをかたどったもの。


「広場の銅像の試作品よ。大きいのを作る前にデザインがこれでいいのか、確認のために作るの。記念に貰っちゃった」


 少年期ジェイザック像の頭を指で愛おしそうに撫でながらアカナが説明する。

 自分の理想の少年だからな。普段からそうしてるのがわかる。


 でも疑問なのは。


「他の像も試作品なんですか?」

「ええそうよ。彼らの像も建てる予定だったし、将来的には製作されるでしょうね。でも、とりあえずは象徴であるジェイザック像を最初に作った」

「他の像も、今作っているとか?」

「いいえ。計画は一時中断中」

「あの町長、師匠の仕事よりも、時計職人を優先したいのよ」


 ヴァニアが吐き捨てるように言った。

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