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追放された第六王子の復讐〜僕が拾った木の棒が聖剣になるんです〜  作者: そら・そらら
第4章 次期城主

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4-21.巨像

 そして彼らは運んできた積荷を確認する。


 大量の顔料と、彩色された大きな布だった。


「ありがとうございます。これで祭りができます。お代は家で渡します。どうですか、今夜お食事でも」


 本当に感謝しているって様子のオルソンが、ラマルの手を握って話していた。


「ヨナ。あれはなに? なんかカラフルで綺麗なんだけど」


 積荷がなんなのか、わかっていない様子のアンリが尋ねてきた。


「あれを溶かして絵の具にするんだよ。お祭りに使うとすれば、あの仮面に色を塗るためかな?」


 森に囲まれた土地柄、あまり多くの種類の顔料を自前で調達できる地域とは言い難そうだから。こういうのは鉱物を加工して作ることが多いし。だから商人を経由して外から買うしかない。


「でも、仮面はいっぱい売ってたわ。もっと必要なの?」

「もっと必要なんだと思う。街の男の人がみんな被るっぽいし」


 去年のを使い回すとかはあるのかな。あるかもしれないけれど、それでも毎年それなりの量の新しい仮面が作られるはず。旅人が参加することもあるだろうし。


「なるほどね! けどなんで、男の人だけなのかしら! ねえねえ、リーサさん。お祭りについて、詳しく教えて!」


 相変わらず物怖じとは無縁なアンリがリーサに話しかける。よく知らない、自己紹介も受けていない冒険者風の格好の女の子に話しかけれたリーサは戸惑った様子だけど、アンリの屈託のない笑顔にすぐに警戒心を緩めた。


「こんにちは。あなたは、ザサールさんの護衛の冒険者?」

「ええそうよ! ここまで守ってきたの! ね?」

「はい。道中、何度も助けられました」


 責任者同士で話し込んでいるラマルとオルソンの代わりに、ソノレナが答えてくれた。ラマルたちはこれから渡す金額の交渉と、これからの取引について話しているらしい。

 ザサール商会は今後も、毎年この街で商売することになるのかな。


 ソノレナはリーサに、道中のことを全部教えた。主に僕たちの活躍で狼や村人たちを撃退したこと。

 その途中、僕の異能についても言及があった。木の棒を剣にする、奇妙な異能。それによる戦いにを、リーサは興味深そうに聞いていた。


 城壁に守られた街の中の暮らし。没落したとはいえ元は貴族で、大事に育てられたって雰囲気の子だ。こういう話は刺激的なのかも。物語の中の英雄みたいな活躍をする冒険者が、目の前にいるのだから。


「旅人を襲う恐ろしい村については聞いていましたけれど、そんな話だったんですね。すごいです。悪い人たちを倒しちゃうなんて」

「ええ! すごいでしょ! ヨナは強いんだから!」

「はい! 小さいのに、冒険者ってすごいですね! 伝説の中の英雄みたい!」

「でしょ!」


 興奮気味に相槌を打つリーサは、アンリとわかり合えたようだった。リーサも、伝説とか好きなのかな。アンリみたいに、自分を重ね合わせてないあたりは常識的だけれど。

 とにかく、ふたりはもう友達。となると。


「お祭りについて教えてほしいわ、リーサ!」

「ええ。もちろん!」


 再度のお願いに、リーサは笑顔で頷いた。




「この土地には昔からセイホラン様という神様がいました。森の豊かな恵みを人々に与える、豊穣の神様です」


 倉庫の方に向かいながらリーサは話をする。僕たち五人と、ソノレナとアルレナがついていった。

 この話は前にも聞いた。男神であり、女性が子宝に恵まれる祝福も行う神。その昔、とある女が男と関係を持っていないのに身籠ったという伝説についても、リーサは話してくれた。


 知ってる話だけれど、僕たちは頷いておく。


「そんなセイホラン様を称える像を作り、女性たちの未来を祝福する祭りです」


 説明しながら倉庫の扉を開ける。目の前に置かれた、巨大な木製の仮面が目に入った。

 街で売られていたのと似たような形。しかし彩色はされいない、無地だ。


 大きさは、十二歳の僕の身長よりも少し高いくらい。でかい顔だなあ。


 その周りには、胴体や足を構成すると思われるパーツが置かれている。組み立てれば巨像になるのだろう。同じく木造だけれど、骨組みだけで構成されたそれは大きさの割には軽いって印象だ。

 運んで組み立てるのには便利だろうけれど、神の像として見た時に迫力がない気がするのだけれど。


「これがセイホランの像です。組み立てれば、三階建ての建物の屋根よりも上に顔が来ます。まだ未完成で、この骨組みに色鮮やかな布を被せます」


 なるほど。細い体や手足でも、布で覆えば膨らみを作ることが出来るし見た目の印象も変わる。

 ザサール商会が運んでいた布がそれなのだろう。この像に見合う大きな布。絵の具による彩色は、これからやるのだろう。


「仮面も未完成です。ここから彩色をすることで、色鮮やかな姿となります。これこそがセイホラン様本来の姿です」

「像は毎年作り直しているんですか?」

「はい。お祭りの時期に合わせて、準備会で作っています。お祭りの当日になると、像は森の中に隠されます。同時に仮面を被った男性たちも森の中に潜みます。セイホラン様は森に宿る神様ですから」


 仮面を被った者は、その眷属という設定。だから一緒に森に入るのか。

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