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追放された第六王子の復讐〜僕が拾った木の棒が聖剣になるんです〜  作者: そら・そらら
第4章 次期城主

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4-9.家の下から

 村人の多くは殺されて、残りも拘束されていた。護衛の方も数人、死者と重傷者がいるらしいけれど。


「あの。ありがとうございます。娘を助けていただいて」


 商人夫婦が近づいてお礼を言った。


「いえ。そちらが無事でなによりです」

「皆さんのおかげです。それに護衛たちも頑張ってくれて。強い人たちで本当に良かった」

「彼らは街のギルドで雇ったのかしら。街の人間の方が、人里離れた村の人間よりも良い物食べてるから、力が強いのは当然なのよね」


 ゾーラが、護衛たちの方が優勢だった理由を話す。


「村の中にも、とんでもなく強い巨漢がいたけど」

「何にでも例外はあるわ。奴ら慣れた様子で荷物を略奪していたし。過去にも商人から良い物を奪ったことはあるのでしょう。その巨漢とやらは、村一番の力持ちということで、襲撃隊のリーダーをする代わりに優先的に略奪物を手にしてたとかでしょうね」

「なるほど。日常的にそういうことをしてたのかな」

「それも怪しいのよね」


 アンリにも先程話したという、ゾーラの疑問点を僕にも教えてくれた。


 そうだよね。旅人から略奪を繰り返すなんてこと、隠れて行っていたとしても繰り返していれば、いずれバレる。やり方に手慣れるほどやっていたのだろうか。


「確かに、商人が消えることが時々あるって、ザサールさん言ってたわね。狼の異常発生に関連付けられてたけれど、こっちの村が原因だったのかも」


詳しく聞こうとザサール夫婦に声をかけようとしたけれど、彼らはどうやら積荷の様子を見に行ったようだった。略奪されていたと聞けば、落ち着いてはいられないよね。


「真相は、この村の人に聞きましょう」

「あの村人たち?」

「ええ。でもその前に、あっちを手伝わないとね」


 護衛の冒険者たちが、倒壊した屋根をどかそうとしている。生き埋めになった仲間がいるらしい。


「手伝いましょう。わたしの剣も、まだあの男のお腹に刺さってますから。回収しないと」


 僕の剣も屋根の下に放置してるもんね。安い剣だけど、買い直すのもタダじゃない。


 瓦礫と化した建物を解体して運び込んでいく。重い物は縄でくくりつけて、もふもふと商人の馬に引きずらせた。

 この村には家畜として飼われている馬はいないようだ。食料として鶏が飼われている家がある程度で、他は家畜自体が存在しない。

 村の隅には農耕地はあった。


 護衛たちは同時進行で、村の家々を確認していた。伏兵が潜んでいないか見るためだ。襲撃と略奪に村の大人たちが全員参加していたとしても、子供は家の中に潜んでいる可能性もある。

 それを見逃すわけにはいかない。見つけ次第拘束していくというわけだ。


 村の規模から考えて妥当な数の子供が家の中に潜んでいて、拘束された。中には大事に育てられていたと思しき、年頃の娘もいた。


 同じくらいの年齢の男の子の場合は、襲撃に加えさせられていて、少なくない数が死んだのに。

 扱いの差は、娘の場合は捧げ物に出される可能性があるから出るのだろうな。


「あ! ありましたー! キアさん引き抜くの手伝ってください!」

「なんでアタシが。いいけどさ」


 既に事切れている巨漢の腹と腕に刺さった剣を引っ張るティナとキア。僕も、建物の残骸の中から自分の剣を発掘した。

 下敷きになった護衛も見つかった。足を骨折はしているが、しっかりと生きていた。


 そして屋根の下から見つかった者がもうひとり。


「うぅ……」


 破片の山から出ていた手が動く。皺だらけのその手は思ったよりもしっかりした動きで、自分の体の周りの木材をどかしては起き上がろうとした。

 壊れた建物の下から出てきた老婆に、僕は剣を突きつけた。


「あなたが村の長、的な立場の人間でいいですか? 襲撃の指揮もしていたし。この村のこと、教えてくれますね? ホラン様って神のことも」


 周りは敵だらけ。老婆は状況を見回して、ため息をついた。こちらに取り押さえられるのに、抵抗はしなかった。



 他の村人たちは縛り上げた上で一軒の家に押し込んでおく。そして皆で老婆を取り囲んで事情聴取だ。

 訪問者たちの真ん中で地面に座らされた彼女は、怯えた様子もなく無表情。


「この村について教えてもらえるかしら? セイホレハの街の隣の村が、住民全員でこんなことをするなんて」

「隣? はんっ。あんたらは道を間違えて、地図にないこの村に来た間抜けなんだよ」

「道を間違えた? 地図にない村? どういうことかしら」

「それくらい自分で考えな間抜けども」

「お断り」


 ゾーラは返事をしてから杖を振る。地面から黒い蔓が生えて老婆の足に絡みつくと、足首を締め上げた。


 年の割に体は丈夫らしいけど、ゾーラの蔓はその気になれば木の枝を折るくらいの力は出せる。人間の足一本分のサイズならば、全力を出せば骨を折ることだって可能だろう。

 老婆が痛みに悲鳴を上げた。


 その分、集中はしなければいけないけれど。ゾーラに話す余裕がない様子だから、僕が引き継いだ、


「骨が折れる前に素直になった方がいいですよ。その歳で骨が折れると、治るまで時間が掛かるでしょう。一生折れたままかもね」

「わかった! 話す、話す……」


 素直に応じてくれて嬉しい。

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「骨が折れる前に素直になった方がいいですよ。その歳で骨が折れると、治るまで時間が掛かるでしょう。一生折れたままかもね」 ヨナ様は、交渉力が上がった。 許せない! 殺そう! からの成長を感じました。…
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