第34話 尊、努力する
楓・「尊…、今度の夜会なんだけど」
尊・「俺は自分が音感ないの自覚してるから、ダンスはしねーぞ!」
楓・「尊と1曲くらい踊りたかったなぁ」
尊・「…」
それからというもの、尊様は騎士団にて騎士を相手にダンスを練習したのです。
「団長…俺、団長は完璧だと思ってました」
尊・「え?俺なんか脳筋だし、ダメじゃね?」
「そうなんですけど」
尊・「否定しないんかい!」
「否定できないでしょ。でも運動系はなんでもできるイメージでした。まさかの…ですよ~」
尊・「ほかの団員には言うなよ」
「わかってます。俺、女のパートで踊ってますし」
と、猛特訓の末に社交ダンスをマスターなさいました。瀬蓮といたしましては、愛する方のために努力をなさる尊様が素晴らしいと思います。
夜会当日、聡様は緑様を伴い最後に入場したのですが、キッサ王国の重鎮が虎視眈々と自分の娘を聡様の側室にと画策しているようでした。聡様は基本的に人見知りですし、緑様一筋で葵様LOVEなので、側室を求めてはいません。
聡・「あー、私は王妃一筋だから側室など持つ気はない!」
「しかし!先日お生まれになった御子は王女で世継ぎのことを考えると…」
聡・「女が王というのもよいだろう?」
「では王配が必要なのですね?」
聡・「今は考えていない。そもそも、この夜会の趣旨はこのようなことなのか?ならば早々に退出したいが」
「あっ、陛下~~!」
尊・「あーあ、兄貴をこの場に引っ張り出したのはいいが、今は葵ちゃんLOVEだからなぁ。葵ちゃんの王配の話なんか出すから、怒って帰っちゃったよ(笑)」
楓・「陛下は本当に葵ちゃん大好きよねぇ。ここだけの話うちの子を王配にって話もあるのよ?」
尊・「緑さんは歓迎するかもだけど、兄貴は「葵は嫁にやらないんだ~!」とか言ってすねそうだな」
楓・「なんか想像できるわ(笑)」
尊・「おっ、ダンスタイムだ。行くぞ、楓!」
尊様、誘い方がなんだか戦場に連れ出すようです。そういった指導は受けなかったのですね。残念でなりません。
楓・「尊、どうしたの?ダンスができるようになってる!」
尊・「秘密の特訓ってやつだ」
楓・「うーん、尊が秘密にできる場所となると…騎士団?騎士団員を相手に練習したの?」
尊様は図星過ぎて何も言えないようです。
楓・「練習相手をしてた団員さんがなんか不憫だわ」
尊・「俺の事情については、口止めをしている。命が惜しけりゃ…と」
楓・「尊。それは口止めというより、脅しよ」
尊・「そうかぁ?」
尊様は騎士団における自分の強さを自覚していないようでした。
楓・「悟君と柚ちゃんも来れたら良かったのにね」
尊・「あの二人は悟が王弟殿下って自覚なく生活してるからなぁ。周りもあまり知らないし。あの感じがいいのかも」
楓・「無理に引っ張り出すよりも、あのスタンスがいいのかな?」
尊・「おそらく」
悟様には招待状すら送られていない恐れが…。それほど、第4王子というのが世間に知られていないのです。




