↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
あなたの永遠の物語 〜永遠の命を与えられた者たちが紡いだ4億年の物語〜  作者: 水埜アテルイ
第1部 クランツァ・ハザリー

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

15/21

第14話 帝国の裏切り者

「裏切り者……?」


 メアは首を傾げ、神妙な面持ちになった。


「俺は頭のイカれた異常者ってところだろう」

 

 麦酒をあおる。ある戦場を思い出すため、視線を下に落として脳を働かせる。


「二年前、軍規違反を犯して俺は銃殺刑になった。王城の地下牢に入れられて、そこである囚人に出会った。囚人はラマチェフと繋がっていた。刑務官の一人もラマチェフ側だった。その刑務官がオルトだ」

「つまりオルトさんが、クランツァさんを逃したってこと?」

「そう。あいつは同僚の刑務官を殺して、俺と二人で逃げた。帝国では俺が刑務官を殺したことになってるけどな」

「二人にそんな過去が……」

「オルトは密かに帝国へ送られたラマチェフの諜報員だ」

「オルトさんも兵隊さんってこと?」

「おそらく。確信はない。自分から訊いてもいないし、あっちから明かされてもいない。ただ、俺は色々とラマチェフに協力した。多少なり味方とは思われてるだろう」

「ふうん。どんな協力をしたんですか?」

「俺はエト一族と王城内部を知りすぎている。帝国陸軍の中尉で、銃を使った戦闘にも精通している。帝国軍の作戦や戦術の立案にも関わってきた。ラマチェフは、俺を利用価値のある男と考えたんだろう」

「……これ、かなり危険な話じゃないですか?」


 メアは小声になった。


「もう終わった話だ」

「で、でも……」

「俺もオルトもただの一市民。それにオルト・ゲラスは死んだことになってる」

「え?」

「オルト・ゲラスは帝国の死者になった。脱獄の際、殺害した刑務官の死体をあいつは自分の死体に偽装した。オルトは公式に殉職と記録されてる。だからオルトを追ってるヤツはいない。帝国が追ってるのは俺とオルトを殺した刑務官ってわけだ」

「あ、なるほど。帝国は見つかるはずもない刑務官を探してるってことですね」

「あいつは偽名を使って帝国で暮らしてた。そしてあの体型だ。昔は痩せてたが、今のオルトはもはや別人だな。完璧に帝国から逃げ切ったと言える。オルト・ゲラスって名前も本名か疑わしい」

「ただのお肉屋のおじさんだと思ってた……」

「二度目だが、これは終わった話だ。俺は帝国で指名手配されてるが、ラマチェフにいれば問題ない」


 麦酒をぐっと喉に流し込む。


「ただただ息を吸って生きてる。思い返せば、軍にいた頃は楽だった。生き方を誰かが決めていた」


 メアは眉を顰めた。


「私と出会う前、ラマチェフではどのように暮らしていたんですか」

「寝て、飯食って、たまに仕事して」

「それはみんなやってることです。好きなこととか、将来やってみたいことはないんですか。夢ですよ夢。でっかい夢!」

「ないな」

「びっくりです。夢がない人っているんですね。なんで生きてるんですか?」

「自分でも、なぜ生きているのかわからない」


 料理が運ばれてきた。ナイフとフォークを整え、布巾を取り出して折る。


「夢なんてぱっと思いつくものですよ。ぱぁーっと」

「それは才能だと思う」

「では、私の夢をお話ししてあげます」メアは早速フォークを肉に突き刺した。「私の夢は、魔術の正体を知ることです。呪いの解呪は使命であって夢ではありません」

「いい夢だと思う」

「……わかりました。クランツァさんが質問してこないなら、もう私から話しましょう」


 肉の咀嚼を終えたあと、彼女は再び口を開いた。


「呪いは母から継承しました。私の母は、不死者だったんです」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。