↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
21/21

14/ debriefing 2 《閑話休題》

疲れる機動飛行の後にも着艦、報告、ミーティング、整備と忙しいのです

『ノーム、ユア・ハイ』

 誘導の指示でスロットルをやや絞る。

 機が滑り落ち、軌道がキャッチブームの収容許容範囲内に収まる。

『っと、荒いな……よし』

 ブーム操作員の制御でやや角度の深いコースをうまくアームのダンパが捉えて機体が保持される。

『コンプリート・ランディング、ノーム Well done!』

「どうも……」

 ボルター(着艦やり直し)ではないものの、当然だけどナイスランディングではないよな。

 ドーリーに受け渡され、エンジンカット。

 そのままエレベータへ。

 格納庫甲板へ降り、そこから駐機位置へ誘導される。

『ハンガー』と呼ばれるフレーム保持用の整備架台のホイストワイヤを掛けられ、ドーリーの保持を解かれる。

『アンケージ、2、1、Now』

「…ッ!」

『おっと!大丈夫か、随分やらたもんなぁ』

 一瞬、ガクンとエレオノールの制御下だった機体が脚部アクチュエータで機体を保持しそこねてややバランスを崩す。

 すかさず機付員のホイストテンションの操作でリールにブレーキが掛かり、吊り下げたような状態でなんとか耐える。

「す、すんません」

『まぁいいってことよ、ほら嬢ちゃんは早くブリーフィングルーム行きな』

「ありがとうございます」

 機を降着位置(脚肢を縮めた、クラウチング姿勢に近いがより低い姿勢)にして関節をロック、次いでアクチュエータのテンションを開放。主電源を接続解除。

 やや低い位置にあるマスターフレームモジュールの開放ノブを左手で引く。

 機の前端に位置するマスターステーション、平たくいうとコクピットに該当する部分の前方に位置する機首モジュールとイオノスクリーン(電磁誘導で風防同様の効果とバードストライクや拳銃弾、小弾片程度は逸らす操縦者保護装置)が前方にスライドし前後から挟まれた装甲骨格腰部の固定が解除され、そのままシリンダーレールに沿ってマーチンベイカー製のシートとペダル、背骨のように搭乗者を保護する杖(ワンドブースター)が床面の高さまで降ろされる。


 機付員の手を借りてハーネス、ベルト類を外し、カーボニックキャノピ部を装甲骨格の頭胸部から外しつつシートから降りてよろっと一歩踏み出す。

「あ、っ」

 が、ナノマシンモニタ用のハーネスがチョーカーと胸部に残っていて後ろから引っ張られたようにつんのめる。

「ほ、ほんとに大丈夫ですか中尉?」

「ああ、うん、悪い」

 また支えられ、ハーネスを外し、杖とキャノピを入れたメットバッグを受け取って手に持ち、ブリーフィングルームに気を張って歩く。


 部屋に入るともう涼とヘレーナ少佐が壁面スクリーンの前で待っていた。

 それと、席につく飛行隊の仲間。


「~~~~~っ、…………」

 なんとなく気恥ずかしい。

 結局、3本やった模擬空戦で一度も涼機を墜としていない。

「どうしたエリー、早く席につけ」

 言われて、戸口で立ち止まっていたことを思い出し、ワンドを入り口のラックに固定して足早にやたらデカい航空要員用の椅子に座る。

「まぁ、とはいえ飛んですぐだしな。珈琲でも飲むといい。望」

「どうぞ、中尉」

 すぐに望がエリーのマグカップにコーヒーメーカーのポットから熱いカフェオレを作って持ってきてくれる。

「さ、サンキュ……」

 消沈した表情に彼女はやや憮然とする。

 なんだ?


「ふふ、わからないかエリー。ここには零式に乗ったとしても私に勝てるライダーはいないが、その中でも9分耐えきるどころか一撃入れるようなのはお前だけだ」

「自慢かよ…………戦闘爆撃型にやられたら世話ないじゃないか」

「いや、まぁ確かにそうなのだがな、ダッシュ4は実は空戦向きなんだ。」

「………?」

 怪訝そうだった態度を見て涼が少し説明を加える。

「サイレーンはダッシュ3までは普通の高翼配置の大型戦闘爆撃フレームだが、ダッシュ4ではスラストリバーサーと複葉主翼と統合型アームドターミナルのお陰で却って運動性が高いのさ」

 無論、重い機のエネルギーが尽きればそこまでだがな、と締める涼。


 …………僕はその『エネルギーが尽きた』お前に墜とされたわけだが。


「腐るな、褒めているんだから」

 苦笑する涼。

 周りを見ると少し微妙な表情が並ぶ。

「…………ん、わかったよ」

 ちょっと気まずいのと照れ隠しにカフェオレを啜り、下を向く。

 これじゃあ僕まで自慢話だ。


 ともかく、あんまり卑下するのも周りに失礼だった。


「それではデブリーフィングを始める」


 訓練の内容とその結果見えてきた課題のおさらい、今後の方針、それぞれの短期目標の修正、機体の整備、その他諸々、おおむねを詰めてデブリーフィングそのものはつつがなく終わる。


訓練編、まだまだ続くんじゃ。


誰得ウンチク:ちなみに、別にエレオノールの近接空戦能力が随一というわけではなく、一撃離脱を旨とする高速突撃戦が重戦闘爆撃型に対して相性が良いというのもあります。


零式を使う空戦フライトと本気で有視界近接空中戦をやれば普通に負ける。


電子手段全開の超高速突撃を行えば、普通はどんな相手でも一方的に墜とせるのがメテオールE。もしくはエスコートジャマー及びスタンドオフジャマー、SEAD/DEADがその任務。

零式は、『単純に空戦で基地外じみた強さ』の機。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。